進化するアートマネージメント

著者 :
  • レイライン
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902550016

作品紹介・あらすじ

アメリカ・コロンビア大学大学院で日本人として初めて「アートマネージメント」を学び、その言葉と概念を日本に定着させる先駆けとなった林容子の、10年に及ぶ「アートマネージメント」のすべてを網羅し、著者の「アートマネージメント」に対する情熱をあますことなく書き記した1冊。「アートマネージメント」の最前線で活躍する著者の実感に即した内容は、単なるテキストを超え、人間の生き方と社会のあり方を問うものになっている。

感想・レビュー・書評

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  • 肝は、日常に美を介入すること
    そしてその必要性を知覚する感性を育成すること
    この2点にあるのではという暫定的結論。

    ●以下引用

    医療、福祉の場で受けての喜びを眼中にいれて、作家が真摯に制作に取り組むとき、アート本来の力が再確認される。

    人間はお世話をされてばかりでは、自己の能力に対する自身が喪失してしまう。

    人は本気で自分に関心を持ってくれる人に心を開く

    人生の底にある人たちを愛とユーモアで包み込む

    知というものが目的を立てていかに早くそこに到達するかを問題にしている

    モラルの欠如した好奇心

    アートは日常化に対する抵抗。次第に慣らされ異常なことを異常と感じなくなる。

    私たちの日常の認識は各々の感覚と体験によって制限されている。『海』という言葉を聴いても、実際にそれを見たことがある人と無い人では、その認識は全く異なるだろう。湘南の海を知っている人なら、湘南の海を、地中海の海を知る人なら、地中海の海を思い浮かべる。物事の存在そのものは、私たちの記憶によって想起される。しかし私たちはそれぞれの個別的体験により。それを絶対唯一の真実だと思ってしまう傾向がある。しかし、作家は、独自の感性で作家が描く対象、、つまり私たちが認識している現実そのものを変えていく力を持つ。人間は優れた芸術に触れ、感じることによって、自らの持つ感覚を研ぎ澄ますことが出来る。私たちは、私たちを取りまく環境を理解し、その意味を解釈することに追われているが、何よりもアーティストははそれを直観的に感じ取る。その芸術は理解する者でなく、私たちの感覚や感性に作用する。

    言葉は(中略)論理に基づくので、その文章を読み解くことは分析になる。しかし、詩人は、新しい言葉を作り、私たちの知っている言葉をたくみに組み合わせることにより、ありきたりであった日常の風景や出来事を、豊かな感性で美しく歌い上げる。それに触れた時、我々の眠っていた感性は呼びおこされ、輝きを見出す。それまで気にも留めなかった日常がそこに再確認され、共感や感動を感じるのだ。

  • アートマネージメントについて始めに読むにはとても分かりやすく読みやすい本。

  • 芸術・創造・デザインなどをする人、その人たちをサポートしようとする人、文化政策を志す人は読んでおくべき本だと思う。

  • 林先生の授業で使った本

  • 企業や社会がこんなにいろんなことをしているなんて思ってなかった。もっとアートがうまい具合に使われて、貢献できると良いんだけどなぁ。。「所詮は自己表現」って冷めた目で見られることが日本は多い気がする。

  • 非常に参考になる本。
    今の状況を的確に伝えてくれて、
    問題点も的確。
    なので、なにをするべきかが分かる本。
    繰り返し読むことになると思う。

  • 林ようこさん、ほんとかっこいい。この本、大きなきっかけになりました。

  • 初心者にとって、イチから教えてくれる親切設計がありがたい一冊。でも誤字などは相当目立ちます、急いで出版したのかな?総論なので、各論がもっと知りたいかんじ。一般論に終わっている感があります。でも、今現在の美術界が抱える問題など、わかりやすく書かれています。

  • 「アート」になんらかのかかわりがある場合、読むと「今」のわかりやすさに脱帽する一冊。

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著者プロフィール

■林 容子(ハヤシ ヨウコ)
一般社団法人アーツアライブ代表理事。
国際基督教大学、米国デューク大学を経て、コロンビア大学大学院にて、芸術経営学で日本人初のMFA(芸術学修士)を取得。
帰国後はキュレーターとして国内外のアートプロジェクトの企画運営に携わったのち、一般社団法人アーツアライブを立ち上げ、認知症当事者を含む高齢者を対象としたアートプログラムや、ビジネスパーソンのためのアートを活用した企業研修を行う。
尚美学園大学大学院芸術情報研究科准教授。一橋大学大学院、武蔵野美術大学講師。

「2020年 『アートリップ入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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