- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784902769159
感想・レビュー・書評
-
とらねこタムの夏祭り
千田ふみ子さんの長編童話です。
童話集「エンゼルうさぎ空をとぶ」から3年ぶりの出版です。
本の帯には「とら猫タムはぼんやり猫。かわいいけれど大丈夫かな。みんなとうまくやっていけるかしら。ぼんやりだって、失敗やらかしたって、助け合って、みんなの胸にぽっっり灯がともる。」とあります。
岩崎京子さんが「千田ふみ子さんワールド」と題する後書きを書かれています。
本の帯には「スリル満点。わくわくどきどき。読み終わると、あなたはちょっと違ったあなたになったんじゃないでしょうか。」とまとめられています。
岩崎京子さんは85歳、「かさこ地蔵」の作者としても知られています。
私の地域に馴染みのある「久留米がすりのうた」も書かれています。
松谷みよ子さんと並ぶ児童文学の大御所です。
松谷みよ子さんは今年2月の「週刊ブックレビュー」に出演されました。
松谷みよ子さんは今年82歳ということでしたが、岩崎京子さんも85歳で素晴らしい後書きを書かれています。
高齢で活躍されている方を見ると、自分もこうありたいと切に思います。
「とらねこタムの夏祭り」は160ページほどありますが、物語の中に引き込まれました。
一気に読んでしまいました。
何百のザリガニたちの行進と歌は迫力がありました。
姿が目に見えるようです。
せみの子供との出会いも印象的です。
せみの子供にとってはもぐらは怪獣です。
タムはもぐらを追い払います。
タムは月猫(白猫ベル)とムーンの行方をやまばとに尋ねますが、やまばとが猫に襲われないよう高い枝に飛び上がって答えるところ、ヤギのお母さんが猫たちが赤ちゃんヤギに近寄らないように注意しているところはリアルで面白いと思いました。
オオカミとの攻防はスリル満点です。
ヤギにもらった隠れ蓑でタムはピンチを脱出しますが、この場面を読み終えて安堵しました。
オオカミが「素直に出てこないと生きたままたべてやるぞお。素直に出てきたら殺してからたべてやろう」と言い、「オオカミの目がぎらぎらともえています」と書かれているところは迫力があります。
子供向けとなっていますが、大人でも面白く読むことが出来ます。
多感な中学生、高校生にもお勧めです。
読み終わったあとで考えさせられる作品でもあります。
千田ふみ子さんの次の作品を期待したいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示