混合診療 「市場原理」が医療を破壊する

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  • 医薬経済社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902968422

作品紹介・あらすじ

医療の現場と制度の変遷を約20年にわたり取材してきた科学ジャーナリスト賞受賞の新聞記者が、具体的な訴訟事例などを通じ混合診療の問題点を詳しくそしてわかりやすく解説。混合診療の全面解禁に警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • 賛否両論から丁寧に論を拾っているのが好印象である。ただし,少し古く小泉総理の頃の議論に頁を割いており,現在の状況に合わせたアップデートが望まれる。同様のことは,粒子線に関しても言える。2018。1時点でこうだ。https://www.asahi.com/articles/ASL1H74C2L1HUBQU012.html
    厚生労働省の専門家会議は15日、がんの放射線治療の一種「粒子線治療」について、前立腺がんと口やのどの中にできる「頭頸部(けいぶ)腫瘍(しゅよう)」に対し、公的医療保険の適用が妥当だと評価した。厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」が月内にも、正式に認める見通し。
     粒子線治療には、炭素原子を使う「重粒子線治療」と、水素の原子核(陽子)を用いる「陽子線治療」がある。X線を使う従来の放射線治療と比べ、がん細胞を狙い撃ちできる利点がある。費用は300万円前後で、これまで小児がんや筋肉、脂肪組織にできる「骨軟部腫瘍」で保険適用になっている。
     専門家会議は、最新の実績を検討し、有効性と安全性が認められると評価した。前立腺がんでは現在、入院費など一部に保険が適用される「先進医療」として年間約1700人が粒子線治療を受けている。頭頸部腫瘍のうち、口腔(こうくう)、咽喉(いんこう)頭の扁平(へんぺい)上皮がんは対象外となる。
    http://www.nptc.city.nagoya.jp/center/performance.html
    この点,名古屋陽子線治療センターの現在

    また,第一章で結論が分かれた訴訟は,法律専門家の立場からすれば,いかなることを求めたかということと,相手方を国にするか(行政訴訟),病院にするかで(民事訴訟)事案が異なるために,結論が割れたもので,その辺は記者としての限界を感じる。同様のことは医療に関してもあるのではなかろうか。

  • 第1章33ページ

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著者プロフィール

ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。
1960年、長野県生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。
著書
『ルポ 医療事故』(朝日新聞出版、2009年。科学ジャーナリスト賞2009受賞)
『混合診療』(医薬経済社、2013年)
『ルポ 医療犯罪』(朝日新聞出版、2014年)
ルポライター鎌田慧氏の聞き書き『声なき人々の戦後史』(藤原書店、2017年。第16回パピルス賞受賞)
『事例検証 臨床研究と患者の人権』(医薬経済社、2021年)
共著
橳島次郎氏との共著『移植医療』(岩波書店、2014年)

「2023年 『おろそかにされた死因究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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