エネルギー問題入門―カリフォルニア大学バークレー校特別講義

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制作 : Richard A. Muller  二階堂 行彦 
  • 楽工社 (2014年7月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903063652

エネルギー問題入門―カリフォルニア大学バークレー校特別講義の感想・レビュー・書評

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  • 著者・リチャード・ムラー先生は、米カリフォルニア大学バークレー校の物理学教授。米国エネルギー省顧問。本書は、ムラー先生のエネルギー問題解説書。私には難しかったが、内容は重要で知っておきたいことがたくさん。辞書のように手元に置いて調べたり参考にするのが最適。

    自分の力量ではまとめきれないので、以下簡単な要点をメモ書き程度に。

    ・世界の国々にとってエネルギー危機とは2つの原因から起こる。それはエネルギー安全保障と地球温暖化。
    エネルギー安全保障の危機はエネルギー不足そのものが問題なのではなく、国内の資源不足から起きる。石油生産率などの資源供給と需要がミスマッチしていることが原因。
    地球は温暖化しており、これは科学的事実。その原因は主に人間の活動のせい。特に発展途上国での石炭の使用増加が大きな要因。二酸化炭素排出を減らすにはこうした国々に石炭から天然ガスへの転換を促すことが重要。


    ・将来エネルギー問題に対して重要な技術となるもの。
    1)エネルギー生産性(っていうか省エネ)。これはやせ我慢ではない。動機と効率がよければ大きな利益を上げることができる。エネルギー生産性の向上は3つのメリットがある。お金を節約し、輸入を減らし、経済を活性化する。省エネルギーは生活水準を下げることじゃない。エネルギー生産性に投資すれば、これといった変化を感じることなく、お金をもうけることができる。
    2)ハイブリッド車。(ハイブリット車は、間違いなく普及する。)
    3)シェールガス。
    4)合成燃料(ガスや石炭から作られる液体燃料)。
    5)シェールオイル。
    6)スマートグリッド。電力網とベンチャービジネス投資:送電網の改良に投資すれば、風力・太陽光発電よりずっと利用しやすく収益も上がる。助成金が役立つのは、その産業が助成金によってすみやかに成長して競争力をつけることができる場合に限られる。



    ・急発展する可能性がある技術。
    1)太陽光発電。
    2)風力発電。
    3)原子力。原子力はすでに安全でクリーンで、発展途上国から排出される二酸化炭素削減のために非常に重要。新しい第三世代・四世代の原子力発電所は貧しい国にこそ適している。核廃棄物貯蔵の問題は技術的には解決済み。問題は公共認識と政治的駆け引き。(って言われてもねえ・・・。)
    4)電池(太陽光や風力のバックアップ用)。
    5)バイオ燃料。
    6)燃料電池。
    7)フライホイール。


    ・問題解決にあんまり役立たない、というか期待するな的な技術。
    1)完全電気自動車とプラグ・イン・ハイブリッド車。
    プラグ・イン・ハイブリット車が未来のエネルギー源に貢献することはない。電池の技術が発展すれば話は別だが期待しないほうがいい。完全電気自動車にも補助金も奨励も期待もしないこと。これは電池交換にかかる高いコストゆえ。電池コストが下落すれば未来に期待がもてるがこれは大きな難問。電池価格はすぐ下がらないし、化石燃料と価格が並ぶようになるにはまだ時間がかかる。二酸化炭素削減にも貢献しない。石炭発電所から供給される電気で再充電した場合、完全電気自動車はガソリンより多くの二酸化炭素を出すことに注意しましょう。
    2)コーンからつくるエタノール。
    3)太陽熱発電。
    4)地熱。
    5)波力と潮力。
    6)メタンハイドレード。
    ※流行りものに注意。すべての技術が楽観的な見通しでうまくいくわけじゃない。水素。地熱。波力発電、潮力発電には大きな発展は見込めません。


    地球温暖化は事実で、多くは人間の活動のせい。これを抑制するためには中国などの発展途上国から排出される二酸化炭素を削減する必要がある。それには削減するための低コストの方法を見つけないといけない。中国に限れば、二酸化炭素を多く排出する石炭からシェールガスへ転換する手助けを先進各国がすることが重要である。

    シェールガスなどの資源がすみやかに開発できれば、中国で起きている健康被害を防ぐことにもなり、地球温暖化に懐疑的な人でも石炭から天然ガスへの転換は人道的見地から実現するだけの価値があるし支持してほしい。


    以下、政治家や一国の指導者が注意すべきこと。(国民も知っておくべきこと)

    ・リスク便益計算に要注意。単純化された計算は誤解を生む。CO2排出の結果生じる間接的コストを見通すことは難しい。自分が望む答えに都合のいい偏った論理に陥る危険がある。何事もいいことばかりであったり、悪いことばかりであったりすることはない。

    ・予防原則に注意。誤った判断であったとしても、安全のためにはいい。問題は「予防」という言葉の意味が、それを支持する人たちの恣意的な解釈に左右される。その結果予防原則が現実の場面で役に立たないものになっている。

    ・楽観主義バイアスと懐疑主義バイアスに注意。楽観主義バイアスは自分の好きな技術はすぐ進歩すると思い込む。逆に自分が嫌いな技術には問題は克服できないと思い込む。自分の意見が正しいと強く信じている人たちは、ある特定の事実は重視するが、別の事実は頭から否定する。信念に基づく主張は、客観的分析に基づく主張のような正当な根拠があるわけでない。

    ・スローガンに注意。世の中には人を惑わすスローガンがある。「地球にやさしい」「クリーン」「再生可能」といった言葉を使うエネルギー源に期待するのはやめましょう。せめて「持続可能」「代替エネルギー」。もっともらしいけど、実際には役に立たないスローガンはたくさんある。

    ・真に持続可能であるためには、利益をもたらすものでないとだめ。

    ・一国の指導者が気をつけねばならないエネルギー問題は、地球温暖化対策とエネルギー安全保障を両立すること。短期的な目標に取り組むのでなく、科学と客観的分析を信用し、長期的視野に立って考えねばならない。

  • 現代、大きなテーマとなっているエネルギー問題
    その論争の的を様々なカテゴリーで紹介してくれている
    どのエネルギーには長所、短所があり、前途有望なのか、など細かく説明されてて良かった
    やはり日本は原発を完全停止させるべきじゃなかったなと改めて思った
    今後石油に取って代わると筆者が述べている天然ガス、たしかに魅力的ではある
    ただそれを超え、より優った(二酸化炭素排出しない)エネルギーの台頭を待ち望んでいる

  • エネルギー問題の本は数多くあるが、この本が特殊なのは、将来国のリーダー、例えばアメリカ大統領などになる人に向けた特別講義であるという点である。副題に「カリフォルニア大学バークレー校特別講義」とある。一国の指導者として、エネルギー問題にどう向き合うのか、何に配慮しなければならないかという講義録である。
    常に冷静に事実を見極め、そして経済への影響を視野に入れて、国を豊かな未来へ導くために知っておくべきこととして、エネルギー問題を様々角度から俯瞰し、アドバイスをしている。
    あらためて、我々にとってのエネルギーとはそういう存在であるのか、またどういう状況にあるのかを振り返ってみる一助になるのではないだろうか。視点を変えてみればエネルギー問題も、こういう捉え方ができるのかという点においてもなかなかに興味深い。

  • 辞書的に使う

  • エネルギー問題について科学と経済面から説明した本。

    単に「環境にやさしいから」といった理由で採用すべきエネルギーを決めている訳ではなく、コストの観点も重要視して書いてある点がとてもバランスがとれていて、非常に参考になりました。

    テレビなどで目にするエネルギー問題は、多くが環境の観点でのみ語られがちな気がしています。
    コストの観点からも考えるのは当たり前の話ですが、その当たり前ができていなかったことに気付きました。

  • エネルギー問題入門 読了.問題は大きく安全保障と気候変動に分けられる.安全保障も枯渇懸念は石油であり,石油社会インフラからの転換コストが馬鹿高いために懸念と.気候変動の懸念は途上国のCO2排出量.総排出量をどう抑えていくのか.

    代替エネの競争相手は基本的には天然ガス.オイルはまた別だが.天然ガスはコストもCO2排出量も優れもの.天然ガスより有意でないと普及させるメリットはあまりない.

    デンバー線量年間3ミリシーベルト

    地球温暖化はほぼ確実に人為的原因で起きている。co2濃度はここ数百年で280ppmから392ppmに上昇。気温はここ50年で0.64度(陸地では0.9度)上昇。約2/3の地域で上昇が観測(1/3では下降が観測)。

    開発すべき技術は、途上国で導入できる低コストで高効果が見込める技術か。あとはどうコンセンサスをとっていくか。

  • かつて鯨油が代表的な油だった19世紀の米国において、鯨の捕獲量が減少し鯨油が枯渇した際に、ペンシルバニア州で算出した石油が代替的に用いられるようになった。すなわち、ほんの1世紀前は、石油こそが代替エネルギーだったのだ。

    バークレーの物理学教授による包括的なエネルギー論。「エネルギー災害」「エネルギー景観」「代替エネルギー」「エネルギーとは何か」の4部構成。

    エネルギーとは、人間の生活・生産活動の根源をなすが、各人が異なる考えを持っている分野である。この本は、データに裏打ちされた説明をしていて断片的な知識を整理することができた。

    ハードな内容なので傍線を引きながらの読書となったが非常に内容が濃い。

    先進国と新興国の政策上のコンフリクト、米国シェールガス増産による中東産油国への政治上の影響、各代替エネルギー源のコストや技術上の論点などについても詳述。電気自動車についての論評は、バッテリー交換コストを考慮すると非合理的な選択肢でしかないと結論。

    同僚M氏の推薦本。初版(2014年7月)。

  • 本書では、種類ごとのエネルギーの特質の説明に多くページを割いています。そして、それらのエネルギーの中で有望なものとそうではないものとに区別して、今後のエネルギーがどうなっていくかを考察しています。本書は、未来のリーダーが自国のエネルギー政策を決める時の指針となるように書かれています。まず、本書において重要な点は、国のエネルギー政策を決める上での大原則は「エネルギー安全保障」と「温暖化対策」のバランスをどうとるかということです。しかし、本書に「誇張された意見が一般的なイメージとして定着すると、政策を偏らせ、弊害をもたらす可能性もあります。」とあるように、必ずしも合理的な判断のもとで政策が決まるわけではありません。合理的な判断をするためには、基本的な知識と冷静な判断が必要になります。本書は、その基本的な知識をカバーしてくれる入門書だといえるでしょう。入門書とは言っても包括的で最新の知見に基づいている点も好感できました。

  • 【新着図書ピックアップ!】カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)のリチャード・ムラー物理学教授(Prof. Richard A. Muller)による特別講義『エネルギー問題入門(Energy for Future Presidents)』がこの7月に単行本になりました。
    未来の子供たちにクリーンで安全で持続可能な地球環境を残したいと願っているあなた!必読書です。This book is a mustーread!

  • 東日本大震災後に、エネルギーの供給方法について各国で議論がなされている。本書を読むことによって、エネルギーに対する考え方が身につくと考えたから。

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50102728&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

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