〈リア充〉幻想―真実があるということの思い込み

著者 :
  • 明月堂書店
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本棚登録 : 153
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903145297

作品紹介・あらすじ

幸福はどこにある?溢れる言葉や情報の渦の中で、いったい私たちは何を求めて生きればよいのか?「真の○○」があるという幻想に囚われた現代ニッポンの閉塞状況を仲正昌樹が解体する!"孤独"であることを怖れないための入門書。

感想・レビュー・書評

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  • テーマが微妙に古い。そして考察が浅い、というより甘い。

    リア充/非リア、モテ/非モテ、オタク、インターネット、加藤事件など。
    もっと示唆に富む考察を期待してたんだけど…
    例えば「モテ/非モテ」を承認欲求の見地から解説したり、なんというか使い古されてヨボヨボになった言説をさも斬新な解釈かのように語っていて読むのが辛かった。
    モテがネットでよく語られるようになって若者の意識に刷り込まれた、ってさ、そもそもなぜ取り上げられるようになったか学術的な視点から知りたいから読んだのにガッカリ。3点。

  • 2008年の秋葉原通り魔事件と、その犯人と同じ苦しみを抱いている若い人びとについて、政治思想史の研究者として知られる仲正昌樹にインタビューした内容をまとめた本です。

    仲正は、現代の社会の中で生きづらさを感じている人たちにとって、生きづらさの原因を「リア充」や「モテ/非モテ」、「人間力」といった当人の人間的属性に求めるような語り方が抑圧的な効果を生んでいることを指摘します。そのうえで、そうした「幻想」に悩んで生きづらさを感じるくらいなら「孤独」に開きなおって他人の目を気にせずに生きればいいのではないか、というスタンスを示しています。

    ただ、リア充に対するルサンチマンを募らせている相手に、リア充などというのは「幻想」だから捨ててしまえ、といわれると、余計に反発される危険性もあるのではないか、という気がします。後生大事に抱え込んでいる、リア充に対するルサンチマンまで奪いとられたとき、そのひとに何が残るのだろうかと考えると、著者のいうように開きなおることができるほど強くないひとだっているのではないでしょうか。そんなわけで、どっちに転んでも生きづらいことに代わりはないのか、と思ったりしました。

    ところで、著者たちが出かけた「メイド喫茶S」というのは、どこなんでしょう。

  • 表紙とタイトルだけで手にとってみた。予想外の中身にびっくり。てっきりオタク論?(リア充がどうとか、オタクがどうとか、)的な話かと思っていたら、秋葉原無差別殺人の犯人kの犯罪心理だった。
    事件についてある程度は知っていても、本書までの知識はなく、本書を読むに当たって必要な知識が足りていないことを痛感しながら読むことになった。
    自分とはかけ離れた人物について、と思って油断していると、ところどころ引っかかる言葉がある。考えさせられる、気になる話がある。
    しかし、何せ理解しきれていないことをひしひしと感じつつ読んでいたので、せっかくの引っかかりも淡いものとなってしまった。
    この著者の別の本でも読んでみようか。

    編集者との対談形式だが、私は読みにくいと感じる。編集者が興味を持った所と違うところが気になってもそこは触れてもらえない。話し言葉を読んでいるので、なかなか分かりにくく、疲れてしまうとおもう。実際に自分が著者にインタビューし、一緒に理解を深めていくならば良いのだが、何せついていけなかったことがキツかった。

  • 京都女子大学図書館での請求番号は、「367.6/N35」です。

    ★2013年度11月テーマ「藤花祭・教室展示本Best5」★

    教室展示テーマ「世界のあれこれ」
    (教室展示・学生選書コーナーより)
    第3位(47票)

    近年よく耳にする「リア充」という言葉。タイトルにひかれて手に取る方が多かったようで藤花祭の教室展示本の中で人気第3位。
    表紙のかわいらしさからは一転、内容は「格差社会」や「人間力」などといった重めの題材。

  • 秋葉原事件は犯人の幻想から生まれた憎悪によって起こされたのではないか。
    正しいものが何かよくわからない時代ですから思い込みを減らしていき事件が起きないようになってほしいです。

  • 知的好奇心を満たすような出来の内容ではなかったので残念。
    新しい発見が得たかった。

  •  真の友情,真の幸福,真の恋愛,「人間力」。そういうものが存在するという幻想を抱いて自己とのギャップに苦しみ,潰れていく若者が後を絶たない。秋葉原通り魔事件等を題材に,そんな幻想を解体。
     こういう幻想をいつ捨てるかってなかなか難しいよなぁ。子供のころは理想をもって前向きに育ってほしいけど,社会に出るまでにはある程度世間を知っておく必要ってあるよね。娘だといろいろ心配。結構リアリストの妻がうまくサポートしてくれるかなぁ?

  • 非リア充だけど、特に不便はありません、的な本。
    結構、やっつけで書いた感あり。

  • ノートに感想記述(8)

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著者プロフィール

哲学者、金沢大学法学類教授。
1963年、広島県呉市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻研究博士課程修了(学術博士)。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。難解な哲学害を分かりやすく読み解くことに定評がある。
著書に、『危機の詩学─へルダリン、存在と言語』(作品社)、『歴史と正義』(御 茶の水書房)、『今こそア ーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『集中講義! 日本の現代思想』(N‌H‌K出版)、『ヘーゲルを越えるヘーゲル』(講談社現代新書)など多数。
訳書に、ハンナ・アーレント『完訳 カント政治哲学講義録』(明月堂書店)など多数。

「2021年 『哲学JAM[白版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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