SWISS

  • 52人登録
  • 4.00評価
    • (7)
    • (6)
    • (4)
    • (0)
    • (1)
  • 7レビュー
著者 : 長島有里枝
  • 赤々舍 (2010年8月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903545592

SWISSの感想・レビュー・書評

  • さいしょは
    ずきずき痛い。
    まだ生々しい、寂しさとか、弱い強さとか。

    それから、
    すとんと豊かなきもちを受けとる。

    素晴らしい本。
    写真も文章も、瑞々しくて「ほんとう」で、はっとさせられる。

    植物。
    愛について。


    ニュートラルになりたいときに、開きたいと思う。

  • この人のことは僕は文章から入っている。のだけど、もう久しぶりにこんなにすんごくいい写真集を見たな、と感じた。とてもとても、いい。手元に置いておきたいなぁ、これは、と思った。潔くて、でも、佇んでいる部分があって、いろんなものを噛み締めていて。とてもよかった。(11/10/1)

  • センチメンタルジャーニー。な写真。

  • 流行通信の連載も好きだったけど、文字と写真の距離が良い。

  • 「異国にいる「孤独」が浮かびあがらせたもの」

    彼女のこれまでの仕事を知っている人は、この写真集を開いてホントに長島有里枝?と首を傾げるかもしれない。1993年、大学生のときに「アーバナート」展でパルコ賞を受賞しデビュー、受賞作は家族のヌードという、それまでの写真表現の枠を破るような過激な内容だった。
    審査の会場で長島の作品に目を付けたのは荒木経惟だった。候補作からもれていたのを、遅れて審査の場にやって来た彼が「これを入れなきゃだめじゃない」と主張して審査の流れが変り受賞したという半ば伝説化したエピソードがある。それから17年、『SWISS』と題されたこの写真集には、つねに生きることを問うてきたこの写真家の生の温度と、自分を「他者」として見つめる冷徹な視線とが脈打っている。

    写真と言葉を一緒に載せた本は多いが、両者の関係がうまくいっていると感じる例は案外少ないものだ。両方の必然性がぎりぎりまで切り詰められ、問い直されている本書では、言葉でなければ表せないことと、写真でなければ伝わらないものが、まさにここでしかないという地点を探って手をつなぎあっているのを感じる。写真というメディアを考え抜いてきた彼女の一つの到達点を示していると言えるのではないだろうか。

    野草のような黄色い花のアップではじまる。つぎは群生する白い花。それをめくると薄紙に文章が印刷されており、見出しには「1st WEEK DAY 1 2007.07.23」とある。散文詩のようなストロークの短い文がつづき、「わたしと息子 ここで3週間やっていけるだろうか」という言葉に出会う。

    詳しい説明はなされてないが、スイスの田舎にある大きな庭のある家に「わたしと息子」はたどり着いたところのようである。ひとりだったり、子連れだったり、カップルだったりするアーチストが共同生活しながら創作をしている「アーチスト・イン・レジデンス」と呼ばれるプログラムである。

    2日目の文章には「ここに連れてきた大切なもの 男の子 祖母の撮った花の写真 ヘルマン・ヘッセの「庭仕事の楽しみ」とある。そして花の写真を貼り付けた壁の写真。明らかに日本の庭とわかる。祖母の撮った花の写真とはこれだろう。花作りが好きで、花が咲くと写真に撮り溜めていた。目の前に広がるすばらしい庭を眺めながら、画質の悪い10円プリントに写っている祖母の花を、「わたし」はいま「美しい」と感じている。

    彼女が庭で撮った草花の写真がつづくが、一見して日本のものとちがう。それは花の種類ではなく、色である。ちがう土と光のもとでは花はちがう色の花を付け、それを写した写真もまたちがう色を発する。風土のちがいとレンズの集めた光によって二重に異化された「現実」。冷たく乾いた澄んだ空気がコクのある色彩から伝わってくる。

    文章の頭には日付がふってあり、そこでの出来事や心のありようが綴られているが、滞在中につけていた日記をそのまま引き写したようなものとはちがう。撮れた写真をセレクトして写真集を編むように、記録したことのなかから活かすものと捨てるものを選び出し、吟味し彫琢した言葉によって流れを作り上げていく。

    5日目の日記にはっとさせられた。いつもなら食後に庭でみんなと雑談するのに、ひとりだけ場ちがいな気がして「わたし」は部屋に引き返す。「涙が出そうなほど寂しい」。小さな子がそばにいることで彼女はその寂しさを「夕日を受けて長くのびた影」のように大きく感じる。「こんな気持ちになったことはほとんどないのに 遮るものが無さすぎて 見ないふりができない」。

    守られている場所から引き離された孤独。その孤独は幼い子どもとともにいることで濃さを増している。無理強いされたわけでなく、彼女自身が選んだ孤独にもかかわらず、いや、それだからこそ... 続きを読む

  • 表紙のバリエーションが20色!!
    迷って桜色。
    それだけでなく、紙の選択から、挟まっているものから、たいへん凝った丁寧な造り。
    目と頭と指先で味わう本だった。
    一人の女性と子どもの三週間の物語だった。
    単なる写真集と思っていたので少し驚いた。

    正直で誠実でかたくなな人物を感じた。
    途中で閉じるのが失礼なような気持ちになった。
    語り手の気持ちを追いかけて行きたかっただけかも知れない。

全7件中 1 - 7件を表示

SWISSを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

SWISSはこんな本です

ツイートする