絵本とジャーナリズム (「絵本で子育て」叢書 7)

著者 :
制作 : 大長 咲子 
  • NPO法人「絵本で子育て」センター
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本棚登録 : 14
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903607139

感想・レビュー・書評

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  • 心に残った言葉

    「希望は絶望のど真ん中にあるのだ」
    戦争を経験している人だから言えるセリフ。
    現代社会に生きる人の「絶望」と
    戦争がある時代に生きた人の、大き過ぎる抗えない「絶望」ではその深度が違うと感じる。特に平和ボケしてしまってる私のような日本人にとっては。

    遠征先の図書館で題名に惹かれて何気なく手に取った本だったけど、思っていたより「ジャーナリズム」の何たるかがか書かれていて勉強になった。

  • 百歳になんなんとするジャーナリストむのたけじが絵本を子育てに活用しようというNPO向けに語った講演に加筆したもの。
    なので絵本というテーマをがんばって絡めてはいるけれど、そんなに絵本の話ではない。
    ジャーナリズムや、自分の頭で考えろという話。

    なにかものすごく、ものごとをまっすぐに見る人だという印象を受けた。
    鵜呑みにするとか信じやすいということではない。疑う事の必要性も説いている。
    その疑い方が、信じるために疑う、確認するとでもいおうか。
    疑って考えて確認して選ぶために、問題を見て知って検証する。
    頭ごなしに否定したら検証して選ぶことはできない。
    理論的におかしくても実験して、その結果に従って理論を組み直す科学者のような強さを持っている。

    ジャーナリストになった昭和11年ごろに先輩に言われた言葉の話が印象に残った。
    「よく書きたければ、よく読め」と「ニュースとトピックスは違う」
    その話自体も有益だし、語り方も印象に残った。
    この話を若い記者にしたらきっちり受けとめてくれてショックを受けたと著者は書く。
    「昔は良かった」とか「若い奴らも捨てたもんじゃない」じゃなくて、素直にああすごいなあと驚くこの人がすごい。
    そんで、それを言った古い記者はすごいけれど、同時に委縮して自主規制をエスカレートさせて戦争を止めることができなかったその時代のことも書いてある。

    細かい部分は私と合わないところもあるけれど、そんなのはどうでもよくなるくらい、姿勢の美しい人だった。
    本の魅力よりこの人の魅力が強いから、本としてはやや落ちちゃう感じ。

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