ザ・万字固め

著者 :
  • ミシマ社
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本棚登録 : 857
感想 : 148
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908410

感想・レビュー・書評

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  • 「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」「偉大なる、しゅららぼん」「プリンセス・トヨトミ」どれを取っても”まきめ”ワールド全開で不思議で意味不明しかも毎作ヘンテコなキーワードや呪文とどんな思いつきなのか普通の人間の想像を超越する設定等毎作毎作期待を裏切らない作家さんの最新エッセイ集がミシマ社から出版されました。

     ミシマ社は自由が丘にオフィスを構えて京都の普通の民家ではオフィス兼本屋をも運営している取次ぎを通さない出版社として有名で希少な興味深い単行本を次々と出版されている会社です。

     書評に戻りますが、”ホルモォォォォォ~”や”しゅららぼん・・・”、鹿がしゃべったり・小オニが街を闊歩する、大阪城の地下には大阪国の本丸だったりと、、、著者の計り知れない想像力に感心すると同時に現実世界でもこんな気持ちで生きられると楽しいかも知れない等と不謹慎な想いになってしまいます。

     やはり本エッセイも破格の常識はずれな何だそれ本でした。ひょんな事から(いや著者の人生は全てひょんな事から始まっているのかも知れない・・・)ひょうたんの種を購入しあまりの熱中さは全日本愛瓢会(あいびょうかいと読みます)会員になるというセンスには感動です!!! どこを切り取っても楽しく読めるエッセイです。

     奥付けの瓢箪親子のイラストがとても可愛いです!

  • ひょうたんを育てたり、戦国大名でサッカーチームを組んだりする面白エッセイ。印象深かったのは間違いなく、東京電力の株主総会に出席した話だ。

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    2010年12月に東京電力の株、5000株を980万円で購入した万城目さん。その後はぬくぬくと配当金をもらい続ける予定だったが、2011年3月にあの大きな地震と津波によって東京電力の原発は事故を起こした。
    東京電力の株価は連日ストップ安を記録、3月末に万城目さんが株を売りに出すと、734万円の損失が確定した。

    防波堤を作るべき金を配当金に回していた会社と株主たち、彼らに加わった強欲な自分に罰を喰らったのだ、と思う万城目さんのもとに東京電力から株主総会の通知が届く。

    興味本位で参加した万城目さんは6時間に及んだ総会で、東京電力の勝俣会長の頭脳と胆力に驚嘆する。ひとりで議事をコントロールし、受けた質問は担当役員に振り分ける。左右に座る社長、副社長に相談することもなく、会場の悪意すべてを受け続けた勝俣会長を、万城目さんは「妖怪」と表現した。そして、妖怪が率いる東京電力は自らが育てた原子力という「怪物」と戦わなければならない、と万城目さんは続けた。

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    20011年3月11日以降、地震と津波で被害に遭われた方々や、原発事故のために避難している方々の話などを何度も目にしてきた。テレビやネットのニュース、本や新聞、多くのメディアで様々な情報が流されてきた。
    しかし、東京電力の株主(だった)ひと目線の話は、今回初めて読んだ。なるほど、当時こんなことが起こっていたのか、と大変興味深かった。

    あのとりかえしのつかない大事故からもうすぐ10年が経つ。いまだに故郷に帰れない人もいる。原発作業員として少ない賃金で働くひとたちの問題も続いている。
    「怪物」である原子力はまた稼働し始めている。
    電力という恩恵を受けながら、東京電力を批判することが正しいのかどうかわからない。実際に働いている方々はとても頑張ってくれているはずで、とても頭が上がらない。
    でも、やはり自分としては、とんでもない大事故を起こした原子力発電をまた稼働させることに、賛同するのは難しい。
    完全にコントロールできる、もしくは事故が起きた際にも安全にリカバリーできる、という保証の上で稼働させるべきなんじゃないかな。また同じことが起きたら、また同じようにたくさんのひとたちを苦しませてしまうわけだし。

  • 本読んだことなかったけど
    脳内どうなってるって感じで面白かった〜
    ひょうたんに歴史に株の話に…引き出しすごい

    • ぬーやんさん
      万城目さんの鴨川ホルモーおもしろかった
      万城目さんの鴨川ホルモーおもしろかった
      2020/06/14
    • まえぴさん
      いつもコメントいいねありが㌧
      マキメさんて読むことも初めて知った笑 面白いんや〜読む!!
      いつもコメントいいねありが㌧
      マキメさんて読むことも初めて知った笑 面白いんや〜読む!!
      2020/06/15
  • 万城目さんって、アジアでも売れてるんだね〜。鴨川小鬼って、笑えた^ ^

  • 万城目学氏のエッセイ集.
    氏にかかれば日常が面白いものに思えてくるから不思議だ.
    どうやら万字固めにあったらしい.

  • 2013.12.04読了。リアル侍JAPANのサッカー。絶対見ることはできんけど、見てみたいし、想像できるさすがの万城目ワールド!

  • 万城目さんのエッセイにも、震災の話が出てくるとは。
    まさか東電の株主総会の話で、予想ナナメ上。「え、そこなの!?」という切り取り方と、どっか醒めた観察眼が冴えまくりでした。

    戦国武将でリアル侍ジャパンを妄想する話に爆笑。
    スポーツに疎いので、これまで観戦記では少々おいてけぼりをくらっていましたが(知らなくても面白いけど)、今回は「うんうん、わかるー」と、一緒に妄想してしまいました。

    食べ物エッセイあり、掴みどころのない短編ありで、雑多ではあるけれど色々な万城目さんが見られて満足。
    「とっぴんぱらりの風太郎」のエピソードも語られているので、小説と合わせて読むべし。
    万城目さん、やっぱりひょうたん好きなんじゃん(笑)

  •  この本は「偉大なるしゅららぼん」「プリンセス・トヨトミ」「鹿男あをによし」「鴨川ホルモー」で知られる万城目学さんのエッセイ。

     台湾で「偉大なるしゅららぼん」の翻訳版が出版されたときの、台湾でのサイン会の話とか、少年時代の「遠投げ(とおなげ)」の話とか、どの話も面白かったですが、なんといっても、東京電力の株主総会。万城目さん電力株なんてやっていたのかよという軽い驚きと、人の不幸は蜜の味的な、いやあ万城目さん大変だったねえと言いつつ口の端が上がってしまうダークな笑い(笑)
     あのニュースにもなった株主総会の様子を、淡々と書かれていながらすごく面白い。万城目さんらしい文章です。

     万城目さんの小説を読んでいれば、あっあれね、とすぐに思い出して面白いし、読んでない方にも笑えるポイントがたくさんあります。

  • このひとの文章にはいつもうなってしまいます。ひょうたんのことを書いていても、台湾でサイン会旅行に行っても、つねに観察者の目と思索者の視点をはずさないので。エッセイなのだけど、きちんと作っている。小説っぽい万城目さんのエッセイは独特です。
    建築のはいまひとつだったのでがっかりしてましたが、これは久々に楽しい読書でした。だんだん冴えてきてます。

  • 最初の章は万城目ワールドだったんだけど、だんだんパンチが弱くなってる。
    挿絵といい、ちょっと春樹の香りが…。気のせい?

    「藤堂高虎とあそんでみる」の妄想ぶりはさすがです。「どうぶつ関ヶ原」と照らして読み直してみたり。
    「デアルカ弾炸裂!」に吹き出しかける。デアルカ!

    「わんちぇんむぅがやってくる」
    台湾握手会リポート
    台湾をこういうふうに考えたことがなかったので面白かった。
    年配作家の書いた実態とかけ離れた若者会話文を発見した時は、なんともたまらん気持ちになる。には今まで感じてた違和感がこれだ!とストンときた。文化の違いも楽しいけど、知らないと怖いな。

    「やけどのあと」
    今回、シリアスなエッセイが多い印象。中でもこれはジリジリと焦げる感じ。読み終わってため息が出る。
    我が家もやられました。万城目さんほどではないけれども。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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