となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代

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著者 : 内藤正典
  • ミシマ社 (2016年7月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908786

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代の感想・レビュー・書評

  • 副題~世界の3人に1人がイスラム教になる時代~~①人間が一番えらいと思わない人、②人と人のあいだに線引きをしない人、③弱い立場の人を助けずにはいられない人、④神の定めたルールの下では存分に生活をエンジョイする人、⑤死後の来世を信じて、楽園(天国)に入れてもらえるように善行を積もうとする人。それがムスリムだ…と。オランダは極端な個人主義で、社会生活を基本とするムスリムを排撃する。フランスは自由・平等・博愛の進歩を受け入れないムスリムを目の敵にする。ドイツは民族主義的な考え方から抜け出せずにいる。イスラム国を生んだのはヨーロッパの不寛容だが、なにより悪いのは難民を生み出したイスラム教国の方にある。そもそも国民国家という枠でイスラム教徒を括ることはできず、カリフ制度の復活を望む~良い本だ! 自分が非イスラムであるという自覚の許で、わかりやすく納得させる。1956年生まれ東大卒、同志社大大学院教授でトルコに家を持つ

  • イスラム教徒はどうしてそういう考え方をするのか、ということが少しわかるようになった気がする。
    「イスラム」とは唯一絶対の神アッラーに従うことだが、欧米では「神に絶対的に服する」からイスラムは人間の主体性というものを認めない、理性というものを認めない宗教だろうと思いこむ。著者はこれは欧米の誤解のひとつであると言う(p.57)
    この世のすべてのことを神にゆだねるのだから物事の結果をすべて神様に丸投げしている。そういう意味で気楽な宗教なのだ。そもそもそういう楽な面がないとイスラム教徒が増えるわけがない(p.58)…なるほど、と思う

    「アラビアのロレンス」でロレンスが案内人の男と旅をしていて井戸の水を飲んだところで、その井戸の持ち主が案内人の男を撃ち殺す場面。こういうシーンがいまだに続く西洋のイスラムイメージを作り上げたと言う。
    「沙漠といういわば大海で会った相手に対して、オレのテリトリーに入ってきたな、撃ち殺すぞ、というのはまったくの見当違いの理解であるということは知っておいていただきたい。ここは自分の土地だというのは農耕民の発想です。」(p.64)
    ーなるほど。確かにイスラム圏を旅していて、イスラム教徒の人達がとても親切であることは何度も感じてきたことだ。

    このほか、ハラール認証のおかしさについての説ももっともだと思ったし、イスラム国が出現してきた経緯についてもなるほどと思うところがあった。

    イスラムの規範と近代西欧に生まれた規範のあいだには根本的な違いがある。
    「西欧諸国がイスラム世界を啓蒙するのだと言い張り、一方のイスラム世界は、その啓蒙を拒む。結果、テロリストが増えるだけ…。これは、思考の体系が異なるのに、一方をごりごりと相手に押しつければ、相手が変わるだろうというありえない思い込みによるものです。この不毛な連鎖を断ち切らなくてはいけません。」(p.223)
    -確かに、まず相手のことをもっとよく知ろうとすることが必要だと思う。

  • 船橋図書館
    たしかにシャルリって何様
    エマニュエル・トッドさんもシャルリを批判
    フランスの自由平等博愛は多民族多人種は認めてもイスラム教には極めて非寛容

  • 表層でしか捉えていなかったイスラムの考え方。
    イスラムに限らず、他者との向き合い方の大きなヒントになった。

  • なかなか勉強になったし、視点がかわりそう

  • いい本だと思う。よく知らないし、知ろうともしないイスラム教徒の人間像とイスラム社会を、大学院教授がわかりやすく説明している。理由もなく毛嫌いして、これ以上イスラム世界との関係をとげとげしいものにしないことを目的にしている著者の思いが溢れている。欧州でイスラム教徒の立場が悪くなっている背景が、それぞれの国で違うことも興味深い。

  • 西欧的近代の価値観に否と言えるのは今しイスラムくらいなのかも。
    反転して見る視点は面白いと思った。

    著者から見て、という語り口はわかりやすくすらすら読めて良いが、イスラムの是が強くでて否はあまり語られないという印象だった。(世間的に否の部分が多く取り上げられている分、あえてそうしてるのかもしれないが)

  • イスラム教を長年研究されてきた著者が、イスラム教の発祥や他宗教との歴史、その教えや思想、生活習慣まで広く解説しています。日本人にとっては普段馴染みの薄いイスラム教を、平易な文章で語りかけるような表現で書いてくれているのでとても分かり易いです。

    2016年夏に刊行された本書には、現在もなお世界の課題となっているヨーロッパ圏に急増しているイスラム移民や、イスラム教徒=過激思想であるという偏見と迫害の差別意識など時事的な問題にも触れています。

    イスラム教への理解が読む前より断然深まったと同時に、少なくとも「よく分からない」→「感覚的に怖い」という負の印象は払拭されました。私自身は特定の宗教に入信している立場ではありませんが、イスラム教の考えの中で素敵だな、こうゆう考え方は大事だな、と学ぶ部分も多くありました。「イスラム教ってこうゆうものだよ。お互い違いを理解し合って仲良くしよう」という著者の想いが、柔らかく、熱く伝わってくる良い一冊です。
    となりの文化に対し、排他でもなく、拒否でもなく、弾圧でもなく、まずは理解を。

  • イスラム地域の研究者で、長年現地の人々と親しくつき合い続けてきた著者がイスラムについて解説した本。
    イスラム世界の歴史や宗教観、習俗、ヨーロッパで暮らす移民たちの実情、多発するテロの原因なども考察し、イスラム教徒と仲良く共存する道を説いている。
    視点がイスラム寄りではあるが平易でわかりやすいし、お互いに根本から理解し合うことは無理でも普通に仲良くしていくことはできるはず、と思える内容だった。もし隣にイスラム教徒が引っ越して来てつき合うという場合にも、大変役立つ本である。
    移民たちがヨーロッパに溶け込めなかった事情が国ごとに異なるというのは面白いと思った。

  • 「イスラムについて」だけでなく宗教全般について。
    本当にもう、なぜこれほどまでに無関心で生きてこられたのか?
    自分自身の中にあった偏見(思い込み)にも驚いたし不勉強であったことが恥ずかしい。
    「イスラム」の考え方を通じて一神教のことや歴史を見ると視点が変わるし、これまで見えなかったこと、大きく言えばこれからの時代を生きる「人類が共存するため」に取り組むべきことが見えてくるような気がする。(懸念されるイスラム国についても詳しく解説されている)
    私たち非イスラム教徒がイスラム教徒と向き合うときは「正直である」こと。
    具体的な疑問、隣人としての対応のしかたのヒントも盛りだくさん。実用書としても直ぐに役に立ちそうだ。

  • イスラームってなんだろう?という疑問に、読みやすいかたちで答えてくれそうと感じて手に取りました。

    人権の尊重と対立する教えもあるようですが、基本的には人を大事にする宗教のようです。

    テロ活動が活発なために、イスラームについ偏見を持ってしまいそうな世相ですが、ひとくくりにするのではなく、お互いに理解し、許容しあう関係であればいいなと思います。

  • きっかけは、豪州に住む知人がある日突然イスラム批判を始めたこと。とうとうここまで来たかと。足が突然波に浸るような衝撃だった。重い腰を上げ、以前挫折したイスラムの勉強を再開。タイミング良く、お勧め本を紹介してくれた人がいた。

    この手のテーマで、読みやすい、とっつきやすいというのは本当に貴重。イスラムへの誤解や偏見に立ち向かうことに生命を削ってきた人なんだなということが文章から滲み出ている。立場がかなりイスラム側に寄っている、イスラム好きなんだなぁと伝わってくるけれど、そういう個人の視点って逆にあまり今の日本では聞けることがないから新鮮だなぁと思う。

    テロに向かうほどの若者の絶望、それを生み出しているイスラム圏の現在とはどれほどのものなのか?リベラルだったはずのヨーロッパで排外主義が高まるのは?どれもこれも、イスラムの根本的な部分が分かっていないと話が進まない。ここまで教育を受けてこられた大人の1人として、知っていねば、考えねばならないと思った。

  • 同志社のグロスタで一度講演を聞いたのが懐かしい、詳しくは覚えてないけど。著者が実際に見て聞いて研究した「となりのイスラム」を紹介することを通して、多くの人々の頭のなかにある「イスラムは怖い」という思い込みを解いていこうと書かれた一冊。全般的な知識情報は、終始あるある内容だけど、7章と終章で「イスラム国」との向き合い方?へ流れるなどは、新書的な構成で一冊としては読みやすい。

  • いろんな勘違いが自分の中にもたくさんあった。本当はやさしいひとたちなのに。世界がもっと、みんなにやさしくなってほしい。

  • たいへん読みやすくわかりやすい。イスラム教の人と知り合うと、本当に人をわけ隔てせずに付き合う人ばかりだし、その人たちは「ISはイスラムの教えに反する」と言っているのに、一体どこをどうひねればISになるのか疑問だったが、その謎もある程度この本で解けた。
     (先日『京都ぎらい』を読んだせいか)拝観料を取り、檀家を囲い、部外者は受け付けず、法事ばかり気にする日本の仏教界と比べると、モスクのなんと開かれていることか。
    イスラム教に魅力があるからこそ15億ともいわれる人々が信じているわけで、入信しなくても、ある程度その魅力を理解し、排除せず付き合っていくことが世界平和につながると思う。
    フランスでは公共の場でスカーフが禁止されたが、それをスカート丈の問題(性的羞恥心)と同じだという説明が良かった。ミニスカートが平気な人ばかりだから、ズボンでなければ嫌な人にもミニスカートを強要する、なんてことが自由なんてとんでもないこと。
    イスラムに偏見のある人は特に読んだ方がいい本。

  • まさに、となりにイスラムの人が引っ越してきたとしたら....読めばスッキリ上手に付き合っていけるように優しく教えてくれている本。沢山の人に読んでほしい。

    イスラム教徒は、
    神アッラーに従い、委ね、物事の結果は神様による。判断は神。神から離れて人間が自由になるという観念も感覚もまったくない。
    「ハディーズ」「コーラン」を守る。
    弱者に対して優しくする。人が人に対して敵対しない。線を引かない。
    この教えを守ることがイスラムすること→ムスリム。
    教会組織もなく、モスクはただの集団礼拝堂。
    聖職者という坊さんみたいな人もいない。学者のランクがあり指導者といのはいる。人間どうしの間に身分の差を認めない。

    移民としてヨーロッパじゅうに広がったイスラムの人々は
    教えを守ったために、染まらず世俗化できなかった。
    孤立化からの疎外が始まる。
    (世俗化するキリスト教とは大違いだ。)

    サイクス=ピコ協定
    もともとある国を無視して、中東を分割なんてことをするから、そりゃもめるわ。

    しかし、古めかしさなんてなく、イスラムの経済の考え方は、今の理にかなっているような気がする。
    勉強してみる必要あり。

  • 新聞の書評で見て気になっていた本。
    イスラム教について何も知らないので、少しは知りたいと思った。

    イスラムの教え、イスラム教徒とはどういう人なのか、というあたりは読んで理解できたし、ほほうそうなのかーと興味深く読めたけど、紀元前から続く古い歴史~近現代史についての話になると、どうにも難しくて。
    いやもう、どこから手をつけたらいいかわからないほどのわが無知っぷりに、情けなくなる始末。

    著者の方の書きぶりはイスラム擁護、ヨーロッパ批判が強すぎるように感じるところもあったけど、今のイスラムのたたかれっぷりが、そのくらい書いてちょうどいいくらいということかもしれない。

    それにしても、「知る」ことは大事だけど、知れば知るほど、心の中にもくもくと暗雲のようなものが広がっていくのはどうしたものか。
    原発もしかり。沖縄の問題もしかり。
    ことが大きすぎて、重大すぎて、自分の力ではどうにもならない。
    知って重苦しく絶望的な気分になるくらいなら、知らずに楽しいことだけ見ていたほうがいいんじゃないか、なんて気持ちにもなる。

    いやいや、違うだろう。知らずに決めつけるより、知ってもやもやして考えたほうがいい。良い方法が見つからずとも、胸を痛めたり頭を悩ませたりしたほうがいい。思いを馳せたほうがいい。それが正しく生きる道なんだ。たぶん、きっと、うまく言えないけど、違うかもしれないけど、そう思う。

    イスラム教とはどんなものなのか、なぜISが生まれたのか、世界が怯えるテロはなぜ起こるのか、などなど、わかりやすくて貴重な本だと思う。
    今回は図書館で借りたけど、手元において、また読み返してみたい

  • 読みきれなかった…

  • イスラム教やイスラム教徒に対する誤解,偏見があったこと,世界史の授業で分かったつもりになっていた中東における様々な問題が一面的にしか見えていなかったことがよく分かる良本。

    イスラム教と基本的人権の尊重の原理との関係など自分の中でまだ消化し切れていない問題はあるので,より理解を薦めるための参考文献が記載されていれば,よりよかった。

  • イスラム教徒たちは、何を考え、どのように生活しているのか、著者が見たイスラム教徒たちについて書かれている。
    また、イスラム教徒たちの価値観の原点なども書かれていて面白い。
    イスラム教徒に親近感を持ち、少し身近になったように思う。

  • イスラム教徒とは、いったい何者なのか? 現代イスラム地域を30年以上見つめつづけてきた研究者が、「一夫多妻制って?」などの日常的な話題から、「イスラム国」がなぜ生まれたか、といった世界情勢の見方や「テロを本当になくすために必要なこと」まで、わかりやすく解説する。

    序章 世界を救える国はどこか?
    第1章 衝突は「今」起きたわけではない
    第2章 イスラム教徒とは、どういう人か
    第3章 西欧世界とイスラム世界はもとは同じ
    第4章 となりのイスラム教徒と共に
    第5章 ほんとはやさしいイスラム教徒
    第6章 日本人が気になる12の疑問
    第7章 イスラムの「病」を癒すために
    終章 戦争、テロが起きないために私たちができること

  • タイトル・装丁が可愛らしくてハードルを下げてるのがよい。高校生以上の方、もちろん社会人の方にも入口としてオススメの本。

    先日、読書会で長倉洋海著『マスードの戦い』を紹介したところ、あまり良い反応が得られなかったのでガックシ。さらに「あのへんの問題はわかりづらい」ときたもんだ。
    いや、わからないから勉強する、本を読むんでしょうに。わからないから怖い、誤解して嫌いになる、差別や偏見を生む。
    たぶん町山さんだったら「じゃあ勉強しろバカ!」と一刀両断すると思うw

    そもそもスンニー派とシーア派すら知らない人が多い。国によってまるっきり状況が違うのだけど、『マスードの戦い』→アフガニスタン史で言うと、英国とロシアのグレートゲームの緩衝地帯、つまり西欧列強の帝国主義によって、勝手に国境線を引かれて分割されたのが諸問題の発祥。
    他の国、パレスチナ問題も同じ。本書でもその事について触れられている。……というか、基本だから触れないわけにはいかんのだけど。

    「わかりにくい問題」を、こうしてわかりやすく解説してくれる本は本当に貴重。序盤、すごく良い本に出会えたなあと思って震えるほどだった。

    しかし(本書の目的がそもそもそうなのだが)、あまりにもイスラム世界擁護なのがちょっと……もう少しそこの問題点も詳しく書いて欲しかったところ。著者曰く、国によって違うなら、それぞれの国における問題点を解説して欲しかった。
    アフガニスタンについては今回完全にスルーされてるし(構成上、頁数上しょうがないけど)、21頁の地図がおかしくて、アフガニスタンとパキスタンのところが海になってる。完全に間違いw
    想像どおり、著者本人があとがきでも書いていたが、同じ事を繰り返し言ってるそうなので、各国の状況について深めるなら、他の本を読むなり、読んだ人自身の掘り下げが必要だと思う。

    あと、トルコが鍵となる国なら、トルコが親日か否かについても書いて欲しかったけど、これも具体的データを出せない点が多いのかも。

    中盤のまさに「となりのイスラム」的に、風習や日本ではどうかの解説は、個人的にはあまり面白く感じなかったが、構成としては必要なんだと思う。
    繰り返しになるが、入門書としてはかなり良い本だったと思う。

    一番ウケたのは、内藤先生って百田尚樹に似てるなあと思ってたら、百田尚樹がNHKの経営委員を辞めたときに「朗報。これで間違われずにすむ」とTweetしてたことですw

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