- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908786
感想・レビュー・書評
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イスラム教を信仰してもいいかなと思えるくらい好感度が上がりました。
同性愛を認めないことだけがいただけませんが…。
イスラムとは、人と人との間に線引きをせず、弱い立場の人を放っておけず、最後の審判に備えて善行を積み、全てを神に委ねる人たち。
筆者の ムスリムたちへの愛、彼らをなんとか偏見から救いたいという強い思いを感じました。
大切なのは理解しようとすること。
まずは、自分から。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
類似した書を読んだことがないので、比較しようもないのだけど、”比較的”読みやすいのではないか。
イスラムの人ってそんなこわくないのね
イスラム教いいじゃない(豚肉大好きなので改宗はできないけど)
とかそういうことは思うけど、一方でいいことばかりが書いてあって、他の国に対してはずばずば言う感じで、それはその他の国の個性を尊重していない事になるし、読んでいていい気はしない。し、実際の報道とほ食い違い、「多くの人は」とかゆるく言ってくれていればまだしも、決め付けている事が多くて、「でもそうじゃなくない?そうじゃない人もいるよね?」って思ってしまって、素直に受け入れられない。
コーラン読んでみたくなった。イスラム教についてもっと学びたい。イスラム国についての本も読みたい。
この本だけではステレオタイプがすぎる。 -
下記に記す一部を除けば、イスラームに関する書籍の中でもお気に入りbest3に入るような良書。
ムスリムが移民として暮らすヨーロッパ社会
移住先でのイスラームアイデンティティの見出し型
イスラームの教義とそれに付随する文化
ハラール、ハラームの考え方
西欧社会とイスラーム教義の柔軟性
など、難しい話を分かりやすくまとめており、視点の置き方もハッとさせられるものが多くあった。
しかし、私が残念だったのは、「ムスリムは素晴らしい人々」と過剰に褒め称えて書いてあるところだ。
題名にも表れているように、ムスリムに対する日本人の、世界中の偏見を取り払おう、という意図はわかるのだが、あまりに一部のムスリムを誇張して書いてあるのは頂けない。
どの宗教でも、教義通りかつ時代に即した解釈をして正しく過ごせば、みんないい人になるのは当然だ。
それはムスリムに限らないし、ムスリム全員がそのような行動をできるわけでもない。
あまりにムスリムのいいイメージばかり植え付けすぎても現実との乖離に驚いてしまう人がでてくると思った。
ただ、最後に強調するが、全体としては、イスラームを理解するため、そして、非イスラーム圏で生きるムスリムを理解するためにも、必読と言えるくらいの良書である。 -
非常にわかりやすい。こういう、イスラムの側から見た世界がどんなものかってのは、現在の情勢を読み解く上では必須であろうと感じる。
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ひとを肩書などの色眼鏡で見ず、女性や子どもなど弱い立場の者を助けたり、来世を信じて善行を積もうとする面倒見のいい人たち。それがイスラム教徒らしい。
ISISの言動は常軌を逸してるし、なぜ神に命を捧げられるのかわからない。イスラム教って謎に満ちてると思いませんか。本書を読むまで、私はまさにそんな感じでした。
でも読んだら目からウロコ。美容院のお姉さんがイスラム圏でのひとり旅で信じられないほど親切にしてもらったと言っていてとても不思議だったのですが、その理由がわかりました。イスラム教徒が悪いのではない、イスラム国がおかしいのだと。
報道されない事実、偏ったマスメディア。国家が戦争を生むことで、たくさんの罪なき人たちが命を失っていく。いつ世界が壊れてもおかしくないこの時代だからこそ、お互いを認め合うことに解決の道がある。権力や暴力に依存しない世界。そんな未来を世界の人すべてが目指していけますように。 -
小さな解釈の違いが積み重なると全く違うものになってしまう。
きちんとお互いの文化や歴史、宗教の意味を理解しあい、受け容れあう必要がある。
価値観が真逆だから武力で争い抑えつけるのは間違っている。
イスラムだけでなく、個々人の間でもお互いの価値観を認め合い相手の考えを想像せず、一方的におしつけてしまう事でいじめや不正行為などが起きる。
まずは皆んなが知る必要があると思う。 -
2017/7/10読了
イスラムについて、私はずいぶん、色眼鏡でみていた。考え方は素晴らしいじゃない。また、細かくいろいろ定まっていること、神様に全部ゆだねるから人間は自由でいられるという考え方。羨ましい。日本人、無宗教なんだから、こういう良い考え方だけ取り入れれば良いじゃない。
イスラムについて、(あとがき より)
1.人間が一番えらいと思わない人
2.人と人との間に線引きをしない人
3.弱い立場の人を助けずにはいられない人
4.神の定めたルールの下では存分に生活をエンジョイする人
5.死後の来世を信じて、楽園(天国)に入れてもらえるように善行を積もうとする人 -
読めば読むほどハテナが尽きない。
「人間どうしの間に線を引かない」というが、イスラム教徒と異教徒との違いはどのように思っているのか?
「物事の結果は神様による」のだとしたら死後楽園に行くかどうか、そもそも神に従うかどうかも、神様が決める、という考えにはならないのか?
原則「ウソはいけない」と定められているのなら、何故「「約束を守らない」という印象になるときもある」のか。
それでもおもしろかった。
また「イスラム教徒が身近にやってきたら」という視点の話が多いのもわかりやすかった。
話し合って理解できることできないこと。
理解できなくても、そういうものだとお互い知って呑み込み、譲歩しあえるようになるといいと思う。 -
副題~世界の3人に1人がイスラム教になる時代~~①人間が一番えらいと思わない人、②人と人のあいだに線引きをしない人、③弱い立場の人を助けずにはいられない人、④神の定めたルールの下では存分に生活をエンジョイする人、⑤死後の来世を信じて、楽園(天国)に入れてもらえるように善行を積もうとする人。それがムスリムだ…と。オランダは極端な個人主義で、社会生活を基本とするムスリムを排撃する。フランスは自由・平等・博愛の進歩を受け入れないムスリムを目の敵にする。ドイツは民族主義的な考え方から抜け出せずにいる。イスラム国を生んだのはヨーロッパの不寛容だが、なにより悪いのは難民を生み出したイスラム教国の方にある。そもそも国民国家という枠でイスラム教徒を括ることはできず、カリフ制度の復活を望む~良い本だ! 自分が非イスラムであるという自覚の許で、わかりやすく納得させる。1956年生まれ東大卒、同志社大大学院教授でトルコに家を持つ
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イスラム教徒はどうしてそういう考え方をするのか、ということが少しわかるようになった気がする。
「イスラム」とは唯一絶対の神アッラーに従うことだが、欧米では「神に絶対的に服する」からイスラムは人間の主体性というものを認めない、理性というものを認めない宗教だろうと思いこむ。著者はこれは欧米の誤解のひとつであると言う(p.57)
この世のすべてのことを神にゆだねるのだから物事の結果をすべて神様に丸投げしている。そういう意味で気楽な宗教なのだ。そもそもそういう楽な面がないとイスラム教徒が増えるわけがない(p.58)…なるほど、と思う
「アラビアのロレンス」でロレンスが案内人の男と旅をしていて井戸の水を飲んだところで、その井戸の持ち主が案内人の男を撃ち殺す場面。こういうシーンがいまだに続く西洋のイスラムイメージを作り上げたと言う。
「沙漠といういわば大海で会った相手に対して、オレのテリトリーに入ってきたな、撃ち殺すぞ、というのはまったくの見当違いの理解であるということは知っておいていただきたい。ここは自分の土地だというのは農耕民の発想です。」(p.64)
ーなるほど。確かにイスラム圏を旅していて、イスラム教徒の人達がとても親切であることは何度も感じてきたことだ。
このほか、ハラール認証のおかしさについての説ももっともだと思ったし、イスラム国が出現してきた経緯についてもなるほどと思うところがあった。
イスラムの規範と近代西欧に生まれた規範のあいだには根本的な違いがある。
「西欧諸国がイスラム世界を啓蒙するのだと言い張り、一方のイスラム世界は、その啓蒙を拒む。結果、テロリストが増えるだけ…。これは、思考の体系が異なるのに、一方をごりごりと相手に押しつければ、相手が変わるだろうというありえない思い込みによるものです。この不毛な連鎖を断ち切らなくてはいけません。」(p.223)
-確かに、まず相手のことをもっとよく知ろうとすることが必要だと思う。