- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908885
作品紹介・あらすじ
その、なんか正しい感じに私は憧れる
普段、表に出ることのない10軒の名店の人々。
「サービス」では永久にたどりつかない何かを探った。
昭和の時代をつくってきた人々の、そしてそれを継ぐ者たちの、技・心・そして…
時代とともに消えゆこうとするその灯火を丹念に追った、著者渾身のノンフィクション。
好評ロングセラーとなった『シェフを「つづける」ということ』に並ぶ名作、誕生。
感想・レビュー・書評
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ことばえらびがすてき
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飲食店を開業する前に読めて良かった。収益性とは別軸の商売をする上で大切にすべきこと、その商売をする意味について考えるきっかけになる。
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それぞれ信念を持っていて、どの信念も素敵でした。
閉店してしまったお店もあるようでとても残念。 -
673.9
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世の中がどう変わろうとも、本質を求め続けた人たちの話は尊い。本質は何かを自問自答し続けた人の姿は凛としているのだと思う。そして、それは昭和に限った話ではなく、今も変わらない。流されてはいけないと思った。
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思わず「昭和やなぁ…」って呟く時、決まってそこには揶揄と憧憬が入り混じる。「コスパ」なんて言葉はなく、「グルメサイト」の評価基準に一喜一憂することもなく、精々寿司屋で粋がって符丁使う程度。そんな昭和の街には効率・価格等からはみ出る非合理的な事をむしろ大事にし、先代の教えを愚直なまで受け継ぎ営々と暖簾を守る店がある。
本書はいずれ劣らぬ名店10店を訪ね、店主の姿勢や心構えに焦点を当てる。各々料理も客層も異なる。共通するのは「居心地の良さ」に腐心されていること。人の手と意思で磨かれた清潔感。初顔も常連も分け隔てのない距離感。付かず離れず寄り添い見守るような配慮…。口を揃えて言う。「当たり前」のことをやってるまでのことです。この積み上げてきた姿勢は武道の「型」に似たものを感じる。
著者は名店のそんな有り様を丹念にすくい取りながら、❝背筋がしゃんと伸びた店❞の居ずまいを「昭和の店」と深い敬意を込めて呼ぶ。そこにはノスタルジーさの微塵もない。
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飲食業が飲食産業に乗り替わっていく時間の中で産業化しなかったお店たちの小さな物語。いや、お店の人たちの職業観の記録。直前に読んだ「消費社会から格差社会へ」で上野千鶴子が「日本の消費社会化の世界に誇れる達成は、コンビニとファミレス。コミュニケーションスキルのない人でも生きていけるインフラを作ったのだから。すごい達成ですよ。」と言っていましたが、本書に登場するお店の人たちがつくっているのはお客さんたちとのハイコンテクストなコミュニケーションなのだ、と思いました。ところで昭和再発見はこの時代に結構気分ですが、「バラック」や「東日本大地震」についても注釈をつけるこの本のスタイルは、「なんとなくクリスタル」のカタログ感を思い出させ、ちょっと居心地悪かったです。