いっとかなあかん神戸

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903993300

感想・レビュー・書評

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  • 紐解き始めると、頁を繰る手が停められなくなる。「続きは後刻…」という程度に本を離すタイミングを逸してしまうような勢いで一気に読了してしまった。
    飛行機に乗ると“機内誌”というようなモノが、座席の辺りのポケットに「安全のしおり」というようなモノと一緒に入っていて、随意に読めるようになっている。当該航空会社の使用機材や運航路線の紹介等が在る他、当該航空会社の便を利用して訪ねられる地域の紹介や、その他にも色々な話題が入っている。
    1月に神戸空港・新千歳空港のフライトを利用した際、その“機内誌”を眺めていた。神戸に関するエッセイが在り、南京町の話題が入っていた。南京町にも立寄った後なので興味深く拝読した。そして筆者の著書ということで、本書『いっとかなあかん神戸』を知り、入手してみたのだった。
    筆者は大阪で活動しているのだが、神戸に住んでいて、神戸でも色々な場所に立寄り、街の変遷を見詰め続けている。そういう目線で神戸に関して綴っている。
    「いっとかなあかん」として、様々な飲食店を挙げてはいる。一見「グルメガイド」であるのだが、「〇〇が美味しい」というような簡単な一言と店舗の住所等の情報が挙がっているような感じではない。或る御店の物語、立地している近隣の様子、訪ねてみての出会い等、もっと文字数の多いエッセイが多々連ねられている一冊である。
    神戸に関しては、長く培われたモノが在って、1980年代後半辺りのバブル経済の関係で少し様子が変わったようなことも在ったが、1995年の震災で大被害を受けて更に様子が変わったという経過が在る。そうした状況の故に、永年親しんでいたような場所が「何時の間にか?」という例も少なくないのだという。そうした複雑な想いの中、本書が登場した2017年頃の状況下、「ここは訪ねる価値が在ると思う」=「いっとかなあかん」を取上げているのだ。
    各エッセイは、或る御店を訪ねてみるというような内容が核にはなっているが、それだけでもなくそのエリアに関する事や、提供される料理一般に関する経過というような事柄等、「店」に留まらない「神戸」の談義である。
    自身、何度も神戸には立寄っているが、有名な飲食店を探して訪ねるようなことはしていない。そういう意味で、寧ろ地元の人達が親しんでいるような場所を取上げて、エリアに関する事を語るように店を取上げている本書は悉くが興味深かった。
    “機内誌”で読んだエッセイの筆者による本として興味を持って、そして出会った一冊だが、出会って善かったと思う。

  • また行ってみたいお店が増えた。
    江さんの文章からは、お店の空気感が伝わってくる。だからよけいに行ってみたくなる。

  • こういう本を読むと、近畿に帰って来て良かったなと思う。

  • そうそう、いっとかなあかん。

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著者プロフィール

1958年、大阪府岸和田市生まれ。編集者・著述家、神戸松蔭女子学院大学教授。89年『月刊ミーツ・リージョナル』を創刊に携わり、12年編集長を務める。ファッション・ページも長く担当。「街場」を起点に多彩な活動を繰り広げている。『K氏の大阪弁ブンガク論』(ミシマ社)、『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)、『いっとかなあかん店 大阪』(140B)など、大阪について書かれたもののほか、『「街的」ということ』(講談社)、『有次と庖丁』(新潮社)、『神戸と洋食』(神戸新聞総合出版センター)などの著書がある。

「2023年 『なんでそう着るの? 問い直しファッション考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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