電通 洗脳広告代理店

著者 :
  • サイゾー
3.30
  • (23)
  • (53)
  • (62)
  • (30)
  • (8)
本棚登録 : 617
感想 : 83
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904209196

作品紹介・あらすじ

東日本大震災の報道によって露になった、広告主(スポンサー企業)とメディア、そして広告代理店の癒着構造。この構造を作り上げ、独占的に支配する巨大広告代理店・電通のメディア洗脳戦略を暴き出す。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 正しいかは分からないし割と当たり前といえば当たり前の話だけども、メディアと言うバイオパワーが大きく働いている業界から出てくる情報に対して疑ってかかる姿勢は忘れてはいけないなと改めて思わされました。

  • エキセントリックなルックスから、色モノ的に見られがちな著者であるが、権力支配、メディア支配に対する高い問題意識を持った硬派な思想の持ち主である事が分かる。

    本書を読んだ事の最大の収穫は、哲学者・心理学者のミシェル・フーコーによる、バイオパワー(生一権力)という概念を知ったことだろう。フーコーの「監獄の誕生」という著書の中で、提唱された概念であり、”監視されているという暗黙のプレッシャーによって、囚人は実際には監視されていなくても監視されているかの如く振る舞う”現象である。監視されているというプレッシャーが、模範的な行動を促すということだ。本書のテーマである電通という広告代理店を通じたメディア支配の本質は、そうした業界内にある暗黙のバイオパワーによってもたらされており、誰か特定の個人や集団の意思によって直接的になされているものではないということだ。

    この概念は、戦時の日本に醸造された国民一丸となった戦争協力の空気が説明できるであろう。憲兵による監視というプレシャーで、国民の本来の意思とは裏腹に、徴兵の赤紙を受け取るとバンザイをし、それに対して賛同しなければ非国民のレッテルを貼られていた当時の空気は、正にバイオパワーであろう。更に古く遡れば、豊臣秀吉時代の五人組制度や、村八分などといった地域社会的慣習も、バイオパワーという概念で説明がつく。

    本書の中で、電通の歴史を紐解くくだりで、戦後のGHQ、CIAとの関わりが大胆な仮説を元に提示されている。
    敗戦後のGHQによる、WGIP(War Guilt Information Program)によって、敗戦は日本の指導者が誤った選択をした結果であり、米国は悪くないという価値観が日本人に植え付けられたということだ。そして、電通がこのプログラムの遂行に大きな役割を果たしたということだ。あながち、否定できる話でもないだろう。一方、書中、アメリカのメディア支配の陰謀的な話が出てくるが、このへんは少し眉唾もののような気がする。オバマ大統領が、ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズなどのアメリカの主要IT企業のTOPを食事に招待したという話が、アメリカの外交的覇権についての協力を求めたという話は飛躍しすぎであろう。上場企業であるそうした会社のTOPをそれだけの大人数を集めて、国家の利権について協力を求め、それを全員が快諾するなどという発想はかなりの暴論だ。経済学的な、企業と個人のインセンティブを考えると機能するとは考えにくい。こうした話も混ざるから、本書や著者が胡散臭く感じるのであろう。

    一方、本書の主題である電通が、監査役に、元大臣、公正取引委員会、銀行役員をそれぞれ迎え入れているという指摘がある。政治、行政、金融の分野からの人脈を確保し、うまく通ずるというしたたかな戦略である。この程度の事は、実際どの大手企業もやっていることであろう。

    電通のメディア支配構造は多かれ少なかれあると思われるが、冒頭に指摘されている通り、何らかの意思があるものではなく、バイオパワーによって暗黙の元に存在する掴みどころない空気のようなものなのであろう。著者が巻末で提唱しているように、電通の分割、メディアの代理と広告主の代理を禁止するなどという政治、立法的な解決策が、こうした状況を変えるであろうが、実現は著者も指摘しているように簡単ではないだろう。

  • エキセントリックなルックスから、色モノ的に見られがちな著者であるが、権力支配、メディア支配に対する高い問題意識を持った硬派な思想の持ち主である事が分かる。

    本書を読んだ事の最大の収穫は、哲学者・心理学者のミシェル・フーコーによる、バイオパワー(生一権力)という概念を知ったことだろう。フーコーの「監獄の誕生」という著書の中で、提唱された概念であり、”監視されているという暗黙のプレッシャーによって、囚人は実際には監視されていなくても監視されているかの如く振る舞う”現象である。監視されているというプレッシャーが、模範的な行動を促すということだ。本書のテーマである、電通という広告代理店を通じたメディア支配の本質は、そうした業界内にある暗黙のバイオパワーによってもたらされており、誰か特定の個人や集団の意思によって直接的になされているものではないということだ。

    この概念は、戦時の日本に醸造された国民一眼となった戦争協力の空気が説明できるであろう。憲兵による監視というプレシャーで、国民の本来の意思とは裏腹に、徴兵の赤紙を受け取るとバンザイをし、それに対して賛同しなければ非国民のレッテルを貼られていた当時の空気は、正にバイオパワーであろう。更に古く遡れば、豊臣秀吉時代の五人組制度や、村八分などといった地域社会的慣習も、バイオパワーという概念で説明がつく。

    本書の中で、電通の歴史を紐解くくだりで、戦後のGHQ、CIAとの関わりが大胆な仮説を元に提示されている。
    敗戦後のGHQによる、WGIP(War Guilt Information Program)によって、敗戦は日本の指導者が誤った選択をした結果であり、米国は悪くないという価値観が日本人に植え付けられたということだ。そして、電通がこのプログラムの遂行に大きな役割を果たしたということだ。あながち、否定できる話でもないだろう。一方、書中、アメリカのメディア支配の陰謀的な話が出てくるが、このへんは少し眉唾もののような気がする。オバマ大統領が、ザッカーバーグやスティーブ・ジョブズなどのアメリカの主要IT企業のTOPを食事に招待したという話が、アメリカの外交的覇権についての協力を求めたという話は飛躍しすぎであろう。上場企業であるそうした会社のTOPをそれだけの大人数を集めて、国家の利権について協力を求め、それを全員が快諾するなどという発想は、かなりの暴論だ。経済学的な、企業と個人のインセンティブを考えると機能するとは考えにくい。こうした話も混ざるから、本書や著者が胡散臭く感じるのであろう。

    一方、本書の主役である電通であるが、監査役に、元大臣、公正取引委員会、銀行役員をそれぞれ迎え入れているという指摘がある。政治、行政、金融の分野からの人脈を確保し、うまく通ずるというしたたかな戦略である。この程度の事は、実際どの大手企業もやっていることであろう。

    電通のメディア支配構造は多かれ少なかれあると思われるが、冒頭に指摘されている通り、何らかの意思があるものではなく、バイオパワーによって暗黙の元に存在する掴みどころない空気のようなものなのであろう。著者が巻末で提唱しているように、電通の分割、メディアの代理と広告主の代理を禁止するなどという政治、立法的な解決策が、こうした状況を変えるであろうが、実現は著者も指摘しているように簡単ではないだろう。

  • 比較広告がない、という日本独特の慣習が電通をのさばらせたことがわかった。独占禁止法にかけるべき。

  • タイトルほどの内容ではない。根拠が弱い。しかも前半部分は電通のことがあまり書かれていない。批判しているわけでもなく、悪口をいってるのでもない。
    現代の日本の民放テレビはCMによって我々を洗脳しており、それをコントロールしているのは電通だという事。当たり前といえば当たり前。
    立ち読みで充分。

  • 目次
    序章  私たちを支配する黒幕とは
    第一章 メディア洗脳の恐怖
    第二章 広告代理店とは何か
    第三章 洗脳代理店「電通」の闇
    第四章 メディア新時代の電通
    第五章 メディア洗脳防衛策
    終章  いまこそメディアを私たちの手に取り戻せ

  • 東日本大震災時に、政府に罵声を浴びせていた記者達が、東京電力には紳士淑女だった。東京電力は大スポンサー。企業記者は大人しく、フリーの記者は罵声を言っていた。
    →報道部分だけ見てるとなかなか裏まで見えづらい。

    大口スポンサーは意にそぐわない報道されればスポンサーを降りるぞと圧力をかける。トヨタ自動車の社長が報復してやろうかと座上で発言して勢いが弱まったこともある。
    →企業だから利益第一で当然といえば当然なのかも。

    アメリカの新聞社は経営権と編集権が完全に独立しているため、全てテレビ局の一員な日本みたいな事は起きない。
    →独立って会社が違うのかな?

    プロダクトプレイスメントという手法。さりげなくドラマで乗る車のメーカーが決まってたりする。
    →映画で企業ロゴが露骨に出てきた記憶。

    小泉首相の洗脳戦略として、選挙で郵政民営化だけ言い続けて、争点をそこだけに絞ってIQの低い層の指示を得た。

    TBSと電通は株を持ち合っている。TBSには電通の役員が送り込まれている。支配されるなというのが無理な話。
    →権力に逆らうのは無理よね。

    視聴率はビデオリサーチ社しかない。筆頭株主は電通。公平な視聴率調査が出来るわけない。
    →株主のところまで知ってる人はなかなかいない。

    比較広告を避けるようにしている。比較広告が作れればa社b社は違う広告代理店に依頼する。
    →比較広告を避けてるってことは今の業者たちがこのままでどこも美味しいってこと。

    編集者は会社に属するサラリーマン。


    2011年の書籍なため、まだまだ広告代理店の闇が表に出る前だった。今読んでみるとかなりネット上で周知されているものだったので、この本は当時先駆けだったのでしょうかね。
    ちょっと読むのが遅かったかな。

  • 2012年刊行。著者の来歴肩書は色々あって絞れない…。


     東電批判=電通大口顧客に楯突いた山本太郎氏の芸能活動頓挫(後に議員)。電通をストレートに批判した森田実氏のマスコミからの追放(2006年頃。ただし関西テレビでは14年まで近畿ローカルニュース番組のコメンテーター。同局番組担当の矜持であれば脱帽するしかない)。

     というように本書の指摘する事実から、TV・新聞業界で隠然とした力を有していると窺うことが出来る広告代理店「電通」の内幕を、公刊情報とそこからの推測(明示的)で暴こうと試みる書である。

     正直、叙述の内容に意外性は少ない。
    ➀公取委委員長の天下り先。➁電通の保有株式の内実。➂BPO関連で物議を醸したニュース?番組を放映する某局の出資元。➃電通の大口顧客の化学・薬害事件における報道管制とポジティブキャンペーンの内幕。➄某自動車メーカー相談役かつ「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」座長氏(当時)による、消えた年金問題におけるメディアの批判的報道への応答とその帰結。➅米国TVCMに関し、そのエージェンシーは「一業種一社」かつ「一代理店一業態」が貫徹され、適度な棲み分けと適度な競争環境下にある。
    という情報以外には意外性は多くはなかった。

     もちろん意外性がなくとも本書から得られるものはある。つまり、本書からは、テレビ放映内容をそのまま鵜呑みにせず、見る機会を減らせば害は少ないのではという印象を招来してしまいそう。
     一方で、本書はネットによる報道的情報提供を評価する。しかし、個人的には、本書に言うほど礼賛できないのが実情というところか。フェイクニュース他、発信者の情報精査能力と誠実性如何が露わになってきているし、かつ安価で黒幕支配が可能になる媒体だからだが…。

     ともあれ、日本における報道・広告媒体の影響を考えるに当たり、本書は一読に如くはないだろう。

  • 素晴らしい内容。最近ニュースで

  • 表紙をいそいそと隠しながら読みましたw


    (私たちはどの情報を信じればいいのか?
    よく吟味し、自ら判断する…)

    テレビっ子、バライティ大好き、テレビで言ってたもん‼︎‼︎‼︎
    まんまと洗脳されてんな〜って思いました。

    震災後、ACのCMのみが流れていた時の違和感。
    いかにさまざまなCMが流れていて、ちょー無意識に働きかけていたんだなぁ…って。

    新聞があって、雑誌、テレビ、インターネット、SNSなどなど…たくさんある手段のなかで、テレビで報道されるものが絶対的な感覚、芸能人がブログであげてる商品などなど…まずは疑って入らないとな。そんでもって色々な場所から情報を調べて、自ら判断する。

    あきくんに言われた事だΣ( ꒪□꒪)‼

    本当大切な事だし…。無意識に流れるテレビを見てても頭にはしっかり残ってる…恐怖に感じなきゃいけないくらい、私は少しテレビを疑ったほうがいいと思いました。

    なんか恐い=͟͟͞͞(๑º ロ º๑)www

全83件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。
カーネギーメロン大学博士( Ph.D)、同 CyLab フェロー、ジョージメイソン大学C4I&サイバー研究所研究教授、公益社団法人日本ジャーナリスト協会代表理事、日本外交政策学会会長、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO 兼基礎研究所長。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社、財務担当者としてロックフェラーセンター買収等を経験、三菱地所在籍のままフルブライト全額給付特待生としてイェール大学大学院計算機科学博士課程に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学と人工知能の世界最高峰カーネギーメロン大学大学院博士課程に転入。計算機科学部機械翻訳研究所(現 Language Technologies Institute)等に在籍し、人工知能、自然言語処理、ニューラルネットワーク等を研究、全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員、早稲田大学研究院客員教授などを歴任。また、晩年のルー・タイスの右腕として活動、ルー・タイスの指示により米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「 TPIE」、「 PX2」、「 TICE」コーチングなどの開発を担当。その後、全世界での普及にルー・タイスと共に活動。現在もルー・タイスの遺言によりコーチング普及及び後継者として全世界で活動中。一般財団法人サヴォイア王家諸騎士団日本代表、聖マウリツィオ・ラザロ騎士団大十字騎士。近年では、サヴォイア王家によるジュニアナイト養成コーチングプログラムも開発。日本でも完全無償のボランティアプログラムとして「PX2」と並行して普及活動中。

「2023年 『新・夢が勝手にかなう手帳 2023年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

苫米地英人の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
苫米地 英人
ルー・タイス
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×