仏教と脳科学: うつ病治療・セロトニンから呼吸法・坐禅、瞑想・解脱まで
- サンガ (2010年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904507537
感想・レビュー・書評
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テーラワーダ仏教と脳科学の第一人者の第一人者同士の対談ということで、興味深い。どちらの著者の作品も読んだことがあるので、対談の内容も比較的わかりやすかった。
ただし、スマナサーラ長老もあとがきで述べているように、多少話が噛み合っていないと感じる部分もあった。 -
私は科学の話が好きだ。
もちろん、科学の非力さ・いたらなさも踏まえたうえで、科学の話は興味深い。
セロトニン・アドレナリン・ノルアドレナリンについては、いろいろなところでよく聞く。
あるいは、幻覚についても、一般的に起こりうる脳の現象として、認識されている。
仏教の瞑想のなかで、それらはもちろん作用しているのだけれど、いわゆる「解脱」の段階はさらに奥が深そうだ、と感じた。
仏教は科学的だ、と思う。
日本の仏教でなく、原始仏教は。
心の安寧について、より多くのことが科学的にもわかれば、仏教について深く知らない人たちの生きづらさも、より緩和されるのではないか。
たとえ科学に限界があったとしても、それを求めていくのが人間なのだろうな、と思う。
生きとし生けるものが、皆、幸せでありますように。
それは、科学が望む世界でもあるのだろうな。
【memo】
P109 他者の心が自分の心と一致して、それによって共感で震えだすと、この前頭前野が動き出します。
泣く行動をやめたり、コントロールしようとしたりすると、その後、苦しみが残る。
セロトニンが重要!
P202 仏教は、厳密に客観的でなくてはダメ。
個人的な体験を論理的にとらえる、それが仏教。
「快」の存在という部分でもめている感じがした。 -
スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)の長老と脳生理学者が、仏教の瞑想と脳科学の接点を探った対談集。
著者の一人、有田は坐禅を脳科学的に分析する研究をつづけてきた人(その研究をうつ病治療などに役立てているらしい)。そうした蓄積をふまえ、スマナサーラに脳科学から見た瞑想についての疑問を、さまざまな角度から問うている。
部分的にはたいへん面白い本。たとえば、釈尊が悟りを得るために行なった瞑想の中身を、有田が科学の目から解説しようとしたくだりなどは目からウロコである。
だが、宗教的瞑想にはやはり科学では説明しきれない領域があるようで、話が噛み合っていない部分も多い。
また、全6章のうちの第4章「現代人の問題」は、瞑想とも脳科学とも関係ないたんなるお説教(それも、“ケータイやゲームに夢中になるのはよくない”みたいな陳腐なお説教)になってしまっている。この章はいらなかった気がする。
以下、付箋を打った箇所をメモがわりに引用しておく。
《スマナサーラ 先生がおっしゃっているセロトニン神経の働きは、仏教ではたった一語で説明できます。それは「サマーディ(禅定、統一)」という心理学的なある一つの状況です。それを司っているのです。肉体はどのあたりを感じているのか、機械的に見ればまだありますけれど。
もう一つ、〈智慧〉があります。それはこれからの研究で、智慧は脳のどの部分のどういう機能かを発見するかもしれませんし、しないかもしれません。》
《有田 お釈迦さまが六年の間修行して、苦やストレスを徹底的に観察し、そして山を下りて、坐禅を組んで瞑想を始めたころのことです。
お釈迦さまのところへマーラ(悪魔)の娘たちがやってきて、誘います。それが、ぼくの解釈では〈快〉です。ドーパミン神経の誘いなのです。
お釈迦さまは六年の歳月をかけ、ストレス実験をやっていました。ストレスの神経のテストをして、徹底的に見極めたのです。でも、いくらストレス実験をしても、満足のいく結果が得られなかった。
彼は山を下りて、セロトニン神経を活性化する行を始めました。そこにドーパミン神経の誘惑が襲いかかってきたのです。そういうふうに、ぼくには見えます。》
《スマナサーラ 脳は幻覚工場なので、結論を急ぐと、瞑想体験は単純な幻覚で終わってしまうのです。(中略)幻覚を現実だと思ってしまうと、真理を発見するどころか、原始時代に逆行してしまいます。》
《スマナサーラ われわれは花が散るのを見て、「ああ、無常だなあ」などと言ったりしますが、それは本物の無常ではありません。私に言わせると、花を見た瞬間でも無常でしたし、それから散っている過程でも無常でした。それに気づかず、咲いている花と散っている花を比較して無常というのは、本来の無常ではないのです。本物の無常は、比較的でも対照的でもありません。無常は無常なのです。いつでも無常です。常にある真理なのです。》 -
心の三原色については洗練された。悟りとはすべてを受け流すことです。ということは無気力とはネガティブな気力が満ちた状態でしょう。ということでうつって積極的。
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スマナサーラの迎合しない感が信頼でき、有田の誠実さが素晴らしい。
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セロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリンと禅の関係が興味深い。
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2人の話が噛み合っていないところもあったが、仏教ってなんだろう?ということと、脳の仕組みが分かりやすく話されていて、面白かった。
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言葉ってすごいな、
意味があって音(響き)があるのは大事だな、と思った
“思考は言語によって構成されている”
世界って不思議
究極は言葉を超えたところにあるんだけどw -
仏教は科学で理解しやすくなる