剃刀日記 ― シリーズ 日本語の醍醐味 (2)

著者 :
  • 烏有書林
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904596036

作品紹介・あらすじ

「死人の顔を一度剃ったことがあった。」(「薔薇」より)
嘘か真か、日常に虚構がまぎれ込む、石川桂郎面目躍如の珠玉短編集。

 家業の理髪店を営むかたわら、小説や随筆をものした俳人・石川桂郎の第一著作集『剃刀日記』は、一見淡々とした日常を描いているように見えて「ほとんどがつまり虚構の作」という驚嘆の短編集である。虚実のあわいを自在に行き来する作風がゆえに、次作『妻の温泉』は直木賞候補にあがりながらも小説とみなされず賞を逃す。そんな石川桂郎が、版が変わるごとに手を入れ続けた『剃刀日記』の最終形28作品と、初期の版のみに収録され姿を消した9作品および後記を拾遺し、一冊にまとめた。

※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。

感想・レビュー・書評

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  • 横光利一の序文が言い得て妙。
    夢のような綺麗な情景が浮かぶ前半。こういうのを文章が美しい、とか、言葉に力があると言うのかな。解説にもありましたが、女性を神秘的に描くのが上手い。文の奥にオーラが見える、見えるぞ!
    石川桂郎という人の、繊細でお人好し、どこか欠けてるけど逆に魅力的な人柄が透けて見えます。

    他の著書も復刊してほしい、そして超贅沢を言えば文庫化してほしい。文庫で持ち歩いてちょこちょこ読めれば、幸せだろうな…。

  • 俳人かつ理髪師である筆者の、鋭い目線と巧みなる言葉の選択から生み出された珠玉の文章の数々(おまけに序文は横光利一)。もったいないので少しずつ読んだ。

  • 横光利一さんの序のとおり、走り読みできない、一文字一文字、味わいながら、景色に佇みながら読む一冊でした。
    著者は理髪店を営みながらの俳人。
    本作は、主に理髪店の主人の日常を描いた短編集です。
    理髪店だから剃刀。

    エッセイ集に見えて創作が大半だそうです。
    私にはミステリの分類。

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著者プロフィール

1909年、東京三田生まれ。本名一雄。家業の理髪店を営むかたわら、1934年杉田久女門に入る。1937年に石田波郷、石塚友二らの『鶴』同人となり 投句をはじめ、小説は横光利一に師事、1939年に同誌に発表した小説「蝶」が永井龍男に認められる。戦後は『馬酔木』同人、『俳句』『俳句研究』などの 編集長を務め、1960年から『風土』の編集、1964年より同誌の主宰となる。1975年、食道癌のため死去。主な著書に『剃刀日記』(協栄出版社ほか)、『妻の温泉』(俳句研究社)、『含羞』(琅玕洞)、『俳人風狂列伝』(角川書店)などがあり、「佐渡行」他で 俳人協会賞、『俳人風狂列伝』で読売文学賞随筆紀行賞、『高蘆』(牧羊社)以後の作品で蛇笏賞を受賞、『妻の温泉』が直木賞候補になっている。

「2011年 『剃刀日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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