いちべついらい 田村和子さんのこと

著者 :
制作 : 武田 花 
  • 夏葉社
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本棚登録 : 106
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904816141

感想・レビュー・書評

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  • 誰ひとり、知らないのだけど(いばって言えない)、
    どことなく身近な狂気の世界。

    愚かで、獰猛で、制御不能な恋心。
    いくつになってもそれに忠実に突き動かされている登場人物たちの日常。

    実存の、しかも文化人や彼らを取り巻く人々ってのが納得だし、
    ノンフィクションというか、このエッセイのおもしろさ。


    思想家の吉本隆明が「人間は孤独でかわいそうなもんですよ」と言っていた、その本能ばっかりで動くとこうなるのかな。


    詩人・田村隆一と妻和子。和子の恋人(恋人ってなんだよ)の詩人・北村との不思議な関係。彼らのそばで長きに渡り、和子を支えた著者、橋口幸子。
    この本は、橋口幸子の筆力により、惚れっぽい和子が実にさわやかに描かれている。普通なら、カオスダークネスですぞ。

  • 激しく生きる人て、いるよね。

  • さらさらと沁み入る、水のような本だった。

    詩人田村隆一とその妻和子、和子の恋人の詩人北村との不思議な関係。そして彼らの傍で数十年に渡り和子を支えた著者、橋口幸子。多情な和子は幸子の夫とも関係があったことが仄めかされる。それでもかけがえのない女友達としてそばに居続けたふたり。

    数十年に渡る怒涛の日々がみな昇華されて、いまは全てが愛おしい記憶。人と人との間のことは、本当のところは本人たちにしかわからない。当の本人だって只中にあってはきっとわからない。そして今こんなに素敵な本となったのだ。

    長く余韻を残す。

  • 2015/08/23 読了。

    《珈琲とエクレアと詩人》のあとに読みました。

著者プロフィール

橋口幸子(はしぐち・ゆきこ)
鹿児島生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。退社後はフリーの校正者として六十歳まで働く。著書に『珈琲とエクレアと詩人ースケッチ 北村太郎ー』(港の人・2011)。『いちべついらい 田村和子さんのこと』(夏葉社・2015)。

「2020年 『こんこん狐に誘われて 田村隆一さんのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橋口幸子の作品

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