別冊サンガジャパン2 タイ・ミャンマー人物名鑑 (シリーズ現代の世界仏教1)
- サンガ (2015年2月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784905425717
感想・レビュー・書評
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現代仏教に携わる宗教家の人物名鑑特集。日本の宗教家もほとんど知らないのに、タイ・ミャンマーともなるとわからない名前ばかりだろうとしり込みしましたが、これも本との縁だと読んでみました。
わからないなりに、知り得た知識がいろいろとありました。
タイの国王といえば、ハリウッド映画『王様と私』のユル・ブリンナーを思い出します。改めて考えると、なぜ禿頭なんだろうと思いますが、彼が演じたタイ国王ラーマ四世となる人物、モンクリット親王は、即位前の27年間、テーラワーダ仏教の比丘として出家生活を送っていたのだそうです。
王よりも僧侶としての人生の方が長そうな気がします。
日本では、僧侶は寺で修行を積むものですが、タイには森林の中で仏教生活を営む出家者がおり、森林瞑想派と呼ばれるそうです。
もう一つのノーベル賞と言われる「ライト・ライブリフッド賞」は、現在の切羽詰まっている問題に対し実際的模範的な回答を示した者を表彰するもので、受賞した仏教家もいるそう。(日本では、1989年に生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、1997年に脱原子力運動家の故・高木仁三郎氏が受賞しているのみ)
藤川チンナワンソ清弘氏は、タイで14年修行し、日本で「オモロイ坊主を囲む会」として辻説法を行っている僧侶。かなりおもしろい半生を送っている方です。
また、宗教家が病に伏し、身体の自由が利かなくなっていった時に、どのように精神を高く維持していったかが語られており、心の在り方について大変勉強になりました。
大切なのは、「私の体には障害があるが、私自身は障害者ではない」という気付き。
体調を崩した際には、身体も心も、一気にいろんな事態に直面し、大変なエネルギーを要するため、その時になって心を鍛えようと思ってもなかなか難しいのだとか。
不幸に直面してからでは遅く、健康な時に心の鍛錬をやっておくべきだとのことです。
やはり宗教家としては、身体の苦しみよりも心の苦しみのほうに問題の重きを置いています。身体の苦しみは耐えられても、心の苦しみは耐えられない場合があるとか。
また、心の苦しみは体に影響を与えて、体調不良を引き起こすため、精神安定をはかることの大切さが説かれていました。
一見敷居の高さを感じますが、読んでみると、さほどタイ・ミャンマー仏教に関する知識がなくても問題なくまとめられている内容になっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示