菜飯屋春秋

著者 :
  • 駒草出版
3.15
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本棚登録 : 127
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905447498

作品紹介・あらすじ

菜飯屋の春秋には、人との出会いや縁を育むたましいの処方箋(レシピ)が綴られている。

感想・レビュー・書評

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  • 同郷だというのに全く知らない作家さんでした・・・。
    いやまさか、これほどの力を持った作家がこれほどまでに日の目を見ないでいるなんて!
    地元の本屋さんに特設コーナー作れってお願いしたい気分です、はい。

    これこそ大人の小説。
    大人の小説と言うか中年のための小説と言うか。
    多分この本を10年前に読んだとしても全然よさが分からなかったと思う。
    滋味深い山菜の味や旬の野菜の瑞々しさがさほど重要でなかったように、若いころにはこの本のよさがきっとわからない。

    物語の主人公は東京で菜飯屋を一人営む夏子。
    15年連れ添った夫と別れた後に開いた小さな店。
    気取った料理ではなく季節ごとの野菜をふんだんに取り入れたお総菜が出てくるご飯やさん。
    それぞれの客の気持ちに寄り添って暖かいご飯をそっと差し出す夏子。

    いやー、いいなぁ、こんなご飯やんあったら毎日でも通いたくなっちゃう。ここのお客さんがなっちゃんについつい甘えちゃうのも分かるよ、うん。

    でも夏子だって人間だし一人の女性。
    四季折々季節が変わっていくように、夏子の心情も晴れの日もあれば雨の日もある。
    時には人恋しいし、中年の恋に破れる日もある。
    そんな夏子の日常が丁寧に丁寧に描かれる。

    それに夏子を取り巻く人々の個性豊かなこと!
    商店街のしがらみもあるし、うっとおしい人間関係だってある。
    いい人ばっかりじゃないし、裏の面だってある。
    それでもなんだか人って良いなって思わせれくれる。

    とってもいい作品。
    淡々とした日常が続いて行くだけなのになごむし、前向きになれる。
    中年、人生半ば、それもなんだか悪くない。
    じたばたしながら歩いて行こうじゃないか、そんな気持ちになりました。

    それにしてもご飯がおいしそう~

    • だいさん
      おばん菜 ってやつですかね
      滋味に イイ味出てます

      地域(作家)おこし頑張ってください
      おばん菜 ってやつですかね
      滋味に イイ味出てます

      地域(作家)おこし頑張ってください
      2016/08/04
  • 魚住陽子さん死去 作家:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/128357

  • タイトルと表紙に惹かれて、図書館から連れて帰ってきた本(^^)生きていくってしんどいな(--;)という話がずーっと続くのに、スルスル読んでしまう(´・ω・`)?旬の食材を使った料理が素敵だからかな?(^^;)浄土ヶ浜にもう一度行きたくなった( ´△`)

  • 出てくるお食事ともども、滋味深い1冊。
    人生のアレコレを経て、
    歳を重ねていっても、
    ままならないことはままならない。
    ままならさをままならさとして飲み込んで受け入れていく強さを身につけていくことができるのかもしれない。

  • 初期の作品の世界観が好きだったので普通になってしまった
    途中さやという人物が登場して期待したけどちょっと残念

  • 豆や野菜、たまに魚な小料理屋の話。
    一人で営む女主人は四十後半のバツイチで、そんな彼女の周囲に現れる人々に料理を振る舞っていく。
    一筋縄でいかない、勝手だったりずるかったり図々しかったり、でも踏み込まないから一線は超えないような感じ。
    離婚などの別れや病院、女主人が悩むシーンが多いため、ちょっと重くて読むのに疲れた。
    料理シーンも美味しそうと言うよりは淡々としているし、野菜の瑞々しさを感じるより、主人公としては〆て捌いているような心持ちなので負の印象が強い。
    悪くは無いけれど、お腹が減るより精神的に胃もたれした。

  • とても良かった。こんなお店が近くにあったらなあ。この作家さん、ちょっと追っかけてみようと思います。

  • とにかく美味しそうで。
    最近の食事の手抜き感が恥ずかしくなって、ちゃんとした和定食を作ってたべました。

    小さなお店の中にあるさまざまな人生模様がじわりとしみて素敵でした。
    最後の最後に地元が出てくるとは思わなかったのでびっくり。

    丁寧にご飯が作りたくなる本です。
    そして丁寧に生きなくてはなぁとも思える本でした。

  • 感想が難しい本だったなー、
    淡々としてるかと思えば、妙に艶かしくなったして。

  • 表紙の豆がおいしそうで手に取った本。
    こんなふうに丁寧な料理ができるようになりたいなと思ったけど

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著者プロフィール

魚住 陽子(うおずみ ようこ)1951年、埼玉県生まれ。埼玉県立小川高校札業後、書店や出版社勤務を経て作家に。1989年「静かな家」で第101回芥川賞候補。1990年「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞受賞。1991年「別々の皿」で第105回芥川賞候補など。2000年頃から俳句を作り、『俳壇』などに作品を発表。2004年、腎臓移植後、2006年に個人誌『花眼』を発行。著書に『奇術師の家』(朝日新聞社)、『雪の絵』、『公園』、『動く箱』(新潮社)、『水の出会う場所』、『菜飯屋春秋』(ともに駒草出版)がある。2021年8月に腎不全のため死去。

「2022年 『夢の家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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