ナツェラットの男

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著者 : 山浦玄嗣
  • ぷねうま舎 (2013年7月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906791170

ナツェラットの男の感想・レビュー・書評

  • 今年のNo.1。久しぶりに、本に集中するあまり地下鉄を乗り過ごしてしまった。イエスさまと、人々のやり取りが本当に目の前でされているようだ。その優しさに、何度も涙が出そうになる。ユダの解釈については賛否あるだろうけれど、解釈としては、この解釈だってあり得ない訳ではない。まさに、神のみぞ知る。

  • きちんと聖書を読んではいないが、小説や絵画や音楽、映画でほとんどのエピソードは知っているという程度なのだが、今まで見知ってきたキリストより、かなり人間としての魅力を持ったキリスト像だった。
    西洋絵画で描かれるキリストは、穏やかで、優しく、あるいは厳しく、幼少期を過ぎてからは伏し目がちなイメージがあったが、このキリストは表情豊かで、生気に溢れている。
    弟子たちの人物像もリアリティがあって納得が行く。
    語り手を次々に変える手法も面白い。
    聖書が読みにくいのは、同じ名前の人物がたくさん出てくる点、サマリア人、パリサイ人など当時の国や政治や宗教に基づいた表記が分かりにくい点の二つが大きいと思うが、この本はさりげなく何度も説明してくれるので、聖書のバックグラウンドや基礎知識が、初めてきちんと頭に入った。
    ユダに関しては独自の解釈で、救われる書き方をしている。
    聖書を物語にした本はたくさんあるが、これは本当に分かりやすくて面白いのでおすすめ。

  •  聖書には、キリスト教にはまったく昏いのではあるが、泥臭い、ある意味青年漫画くさいイエスの生涯は面白く読めた。どこまでナニに忠実なのかとかはさっぱり判らないが、面白い小説には違いない。
     最後のユダが活躍する場面なんぞスパイ小説ばりのスリリングさ。

  • (2014.09.24読了)(2014.09.18借入)
    第24回「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」受賞作です。受賞のニュースを見て、郷土の著述家の作品なので、読んでみようと図書館で探して借りてきました。
    選考委員の伊藤比呂美さんは、以下のように評しています。
    この『ナツェラットの男』。
     不思議な読後感だった。完成されているかというとそうでもない。語りの力で読ませるかというともう一息である。むしろなんだかとても野暮ったい。ださいとすら思う。でも魅力がある。無造作で、無鉄砲で、無頓着で、無邪気で、無垢で、無限で。わたしはやみくもに感動して、人に勧めた。勧めまくった。すごいですよ、こんなにださい小説はめったにありませんよ、と。
     文学を作ろうと志せば、たいていは、まあ、まず、既製の文学を読む。そして「それらしいもの」を作ろうとする。みんな逸脱したいと思っているのに、逸脱はとてもむずかしい。でも『ナツェラットの男』は、逸脱も何も、最初から「それらしいもの」など何も考えていないようだ。
    (選評より)
    読んでみて、確かに文学作品としてのできは、そんなにいいものではなさそうです。人に面白いから読んでみてとは、勧め難い本です。でも、キリストの物語としては、かなり新鮮な印象はあります。
    「ナツェラットの男」とは、聞きなれた言い方で言いかえるとナザレの男イエスということになります。キリストの物語です。
    遠藤周作に読ませたら、きっと面白がってくれるだろうと思われる作品です。
    各章ごとに、語り手が変わります。キリストがいた現場にたまたま居合わせた人が、そのときに見たことを語る、という形になっています。誰に語っているのか不明ですが。
    人の名前や都市の名前が、耳慣れたものと違うので、とまどいがあるのですが、括弧つきで、耳慣れた名称が示してあるので、あああれのことかと納得しながら読み進めるのですが。例えば、ベト・レヘム(=ベツレヘム)、シェロモー(=ソロモン)、ミリアム(=マリア)、イェルゥシャライム(=エルサレム)、イェホシューア(=イエス)通称イェシュー、といった感じです。
    キリストの生涯において、いろんな逸話が伝えられていますが、それが、独特の視点で描かれています。伝えられた逸話とほぼ同じなのがほとんどですが、水を酒にかえたというのに関しては、村人たちが、酒をこっそり寄付したというような形にしています。
    最後のほうの章は、使徒行伝でしょうか。弟子たちの話と思われるものが書かれています。

    【目次】
    飼い葉桶
    村わらべ
    イェリコの宿屋
    ある序章
    ナイムの村はずれ
    カナの結婚式
    しつこい女
    七匹の悪霊
    故郷
    ある雨の日
    井戸のほとり
    鬼千匹
    テュロスにて
    木の上の男
    水がめを運ぶ男
    穢れ谷
    鶏鳴
    テオーム
    無能な男
    満月の夜

    ☆関連図書(既読)
    「ケセンの歌」山浦玄嗣著、共和印刷、1988.01.16
    「ヒタカミ黄金伝説」山浦玄嗣著、共和印刷企画センター、1991.07.13
    「みんなのケセン語 (1)」山浦玄嗣著、共和印刷企画センター、1992.10.31
    「みんなのケセン語 (2)」山浦玄嗣著、共和印刷企画センター、1992.12.25
    (2014年10月1日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    大地の匂いと人の息づかいの中に、新しい色彩をまとってイエスの物語がよみがえった。「ケセン語訳聖書」の訳業を踏まえた、福音書の新たな読み。

  • これは活き活きとしたイエス像!自分の一人の村人としていけるイエスと出合えるような、ぐいぐい引き込まれる筆致!

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ナツェラットの男に関連する談話室の質問

ナツェラットの男の作品紹介

■ 立ちのぼる大地の匂いと人の息づかいの中に、新しい色彩をもって福音書
 の物語がよみがえった。

■ 泣き、笑い、怒り……磊落にして繊細、男の色気を発散するイェシュー、
 粗忽者の岩男ケファ、威厳あるミグダルのミリアム、都会人ユダ──
 見事に描き分けられた群像が、イェシュー物語をダイナミックな活劇に変え
 た。

■ ユダは裏切ってすらいない。病者・被差別者たちが巣くう穢れ谷に生きて、
 復活のイェシューと出会い、展開していく原始教団を裏側から支えたのだ。
 人間のドラマに浮かび上がる、ぎりぎりの〈信〉の姿。

ナツェラットの男はこんな本です

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