江戸の平和力: 戦争をしなかった江戸の250年 (日本歴史私の最新講義 18)

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  • 敬文舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906822188

作品紹介・あらすじ

江戸の250年には、平和を創造していく時代の意志が力となってはたらいていた!!日本列島に生きた人々の声が聞こえてくる!

感想・レビュー・書評

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  • 日本史上2世紀半におよんだ稀有な江戸の平和は、一体全体なんであったのか。
    時代区分「近世」のしがらみを取り払って日常のディーテールに向かい合ったとき、どのような時代像が浮かびあがってくるのか。
    著者の半世紀にわたるフィールドワークに依拠したオリジナルな江戸の平和力につらなる定点観測と分析である。
    序章 乱世の記憶と平和への願い
    第1章 田畑を所有し家を建て先祖を祀る
    第2章 一人前と読み書き算用―後継者の育成
      江戸のライフサイクル
      子どもから大人へ ― 一人前 
      読み書き算用の習得
      村と手習い塾
    第3章 拝領と献上 ― 贈答・互酬の社会
      由緒の幕藩制秩序
      犬山城成瀬家の拝領と献上
      「御大名出世双六」の世界
    第4章 紛争とその収拾
      遺産相続をめぐる争い
      村や町のトラブルの収拾
      江戸の訴訟―内済で済まぬ江戸訴訟
    第5章 支配秩序とアウトロー
      幕府のアウトロー支配
      アウトロー社会の成立
    第6章 結社とネットワーク社会の江戸
      俳諧の結社とネットワーク
      在村剣術と武芸のネットワーク
    第7章 旅する人びと
    終章 辞世を刻む

    という内容でした。
    マイナンバー制度などにより国家権力による究極の締め付けが始まる現代社会。
    それに引き換え、江戸の平和は、究極の補完性の原理のように思った。
    自律する市民が、お互い様の原理で、身分制度が建前ではあるが、身分を超えてネットワーキングしていた。
    法令遵守の無機質な運用で、機能停止社会となってしまっている現代。
    アウトローな社会ともギリギリ折れ合いをつけていたような江戸幕藩体制。
    それでないと、婦女子が安心して旅ができるような社会の創造は出来るはずがない。
    著者の半世紀にわたるフィールドワークがあり、きちんとした「ものさし」をあて、きちんと分析された内容で読んでいてとっても楽しい本でした。  
      

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著者プロフィール

1940年静岡県生まれ。国立歴史民俗博物館名誉教授。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。群馬大学教育学部教授、国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授を歴任。文学博士。専門は近世教育・社会史、アウトロー研究。著書に、『日本民衆教育史研究』(未来社)、『国定忠治の時代』(ちくま文庫)、『江戸の教育力』(ちくま新書)、『江戸の訴訟』『清水次郎長』『一茶の相続争い』(岩波新書)、『清水次郎長と幕末維新』(岩波書店)、他多数。

「2020年 『江戸のコレラ騒動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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