花あかりともして

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  • 出版ワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907108083

作品紹介・あらすじ

12歳のわたしが昭和18年、ユウガオの花咲く季節へ。
70年の時をこえる不思議な夢で出会ったのは、出征する父と、その帰りを待つ家族の歴史だった……。
花禁止令や京都空襲など、いまだ知られざる史実に光をあてた物語を、人気児童文学作家がみずみずしい感性で現代の読者たちにおくります。

花禁止令とは…昭和16年10月の農地作付統制規則公布により、食料以外の農作物を育てることが制限されました。違反者には国家総動員法による罰則がありました。実施の度合いは地域で差がありましたが、戦局の悪化や、昭和18年8月の第2次食糧増産対策要綱の閣議決定により、「不急作物」とされた花を育てることへの統制はさらに厳しくなりました。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公が自分と同じ年齢の頃の祖母の生活を夢で見る物語。ちょうどその頃は、太平洋戦争真っ只中だった。必要最低限の食物以外(食べられない花など)は育てるなという「花禁止令」があることを初めて知った。京都での生活の様子や人々のやり取りを分かりやすくかつ切なく書いてあって、平和な時代に生まれて良かったとつくづく思う。また、平和について考えさせられる物語だった。

  • 5年生の“お花はん”こと草野花
    入院した祖母を見舞ったときにふしぎな夢の世界に入りこむ
    それは70年前の昭和18年、祖母が子ども時代をすごした京都の田舎だった

    花の好きな家族とふりかかる戦争の影
    父に届いた召集令状と家族をしばる「花禁止令」

    苦しい時代を生き抜いた人々と、オーバーラップする現在の花の悩み

    花に託した願いが時代をこえてつながっていく
    ユウガオをモチーフにした家族の物

  • 児童書で戦争もので、わりと明るそうなお話だなと思って読んだ本。お花を育ててはいけないという決まりがあったことを初めて知りました。
    作中の「花は誰に見られるわけでもないのに咲く。隣で別の花が咲いているのに、それを羨ましがることもなく、自分の花を咲かせてえらいね」という台詞が心に残りました。
    お花は食べれるわけでもないし生きていく上で絶対に必要なものではないけど、それを省いていくような人間にはなりたくないなって思いました。読書も同じだなあと。読まなくても生きてはいけるけど、あれば人生が豊かになる。無駄な時間かもしれないけど、こういう無駄な時間を楽しめるような人でありたいです。

  •  「花」という名前を付けてくれたのは、おばあちゃん。おばあちゃんは花の世話が大好きだから、女の子が生まれたら付けると決めていたみたい。

     おばあちゃんが体調を崩して入院した。お見舞いに付き添った時に花が見た夢は、おばあちゃんが京都地方で過ごした少女時代のできごとだった。
     花が知らなかった戦争時の暮しのこと、ひいおじいちゃんのこと、おばあちゃんがなぜ花の世話を一生懸命にしてきたのかが分かった。

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著者プロフィール

京都府綾部市出身・京都市在住。『グッバイ!グランパ』で第19回福島正実記念SF童話賞大賞受賞。主な作品に「四年一組ミラクル教室」「ここは京まち、不思議まち」「トキメキ❤図書館」「もしも、この町で」シリーズ『卒業うどん』『たまたま たまちゃん―うちは食べものやさん!―』(以上講談社)『さらば、シッコザウルス』『おたんじょうび、もらったの』(共に岩崎書店)など多数。

「2019年 『はじめまして、茶道部!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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