二番目の悪者

  • 小さい書房
4.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907474010

作品紹介・あらすじ

金色のたてがみを持つ金ライオンは、一国の王になりたかった。
自分こそが王にふさわしいと思っていた。
ところが、街はずれに住む優しい銀のライオンが
「次の王様候補」と噂に聞く。
ある日、金のライオンはとんでもないことを始めた-―。
登場するのは動物ばかり。人間はひとりも出てきません。
けれど1ページ目はこの言葉から始まります。
「これが全て作り話だと言い切れるだろうか」

感想・レビュー・書評

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  • 金のライオン、銀のライオン

    噂話、SNSの悪。

    昔話のようで、現代の話だった。

  • 考えさせられる内容ではある。悪意なき第三者が一番怖い。

  • 6-2 2024/03/13

  • 読み終わって、思わず胸を押さえた。
    想像以上に刺さる、というか、自分のことを棚に上げていられないな、という。

    金のライオンには悪意があった。
    安心して悪者にできる。

    でも悪気なくやってしまうこと、絶対ないなんてことない。
    「悪気がない」って、本当にやっかいだ。
    ・悪気はなかったんだ。
    ・悪気がなけりゃ何やっても良いのか?
    ・悪気はなかったんだから、許してやれよ。
    ・悪気がないのがわかるだけに強く言えない。

    デリカシーと、創造力、なのかな。
    自分のところで波紋を止められれば良いのかな。
    真偽にかかわらず、悪い噂は盛り上がるし広まる。

    自分の発言に責任を持て、ということでもあるな。
    悪気ない発言って大抵の場合、言った方は無頓着だ。

    いろいろと考えさせられる。

  • てのひらより少しだけ大きい絵本。いつもの絵本よりは小さ目。
    中身はがっつり大人向け……中学生ぐらいの子供向け?

    王様になりたい金のライオンは優しいと評判の銀のライオンの悪いうわさを流す。それを信じた他の動物たちは、金のライオンを王様にする。金のライオンは民の事を考えない劣悪な政治を行って、国を亡ぼすという物語。


    『これが全て作り話だと言い切れるだろうか?』

    最初のこの文が怖すぎる。

    『誰かにとって都合のよい嘘が世界を変えてしまうことさえある。
    だからこそ、なんどでもたしかめよう』

    最後の方のこの文章が、確かにそうなのだけど……と思う。
    特にインターネットの情報は嘘も本当も全て流れてくる。良くも悪くも、情報が何度も繰り返されると人は信じてしまう。もちろん、インターネットに限らず、テレビ、新聞も同じだけどインターネットは情報量が違う。



    ―信じたくなった時こそ、立ち止まる―



    という事は必要だろうなとは思う。でも、人間、そんなに賢くないし、現状『処理能力が追い付かないくらいの情報量』になっているような気がする。だから人は『信じたい情報だけを抜き取って蓄積する』

    私もそうなのだろうけど……。気をつけたいと思いつつ、それが難しい。

    含みがありすぎる絵本で怖い。


    でも、もう少し身近な話で『××さんが~』という陰口として考えるなら、それは単に『ちゃんと相手に確認しようね』だろうなとは思う。
    目の前に相手がいるなら、勝手に思い込まずに確認する。自分の目で見て感じることが一番大切な情報源だと思うから。

    それが出来なかったり、難しい情報源の判断が一番困る。

    この話は『身近な話』として書かれてるの?それとも、『確認しづらい情報』の話なのだろうか。政治として書かれてると、どちらかなのか、分かんなくなってしまった。

    中学生対象なら『お友達のこと』なのかな。私が考えすぎてるだけか。
    とにかく、考えてしまった絵本。

  • 絵が綺麗。
    こういう内容だとは知らなかった。
    幼児向けではない。
    中学生以上かな。

    意外にも内容は現代のネット社会に対する示唆を含んでいて、もちろん良かった。
    私はリツイートだ拡散だのには無縁の生活を送っていて、そういうものを見ることもないのだが。

  • 噂話は怖い。醜聞で意外性のある噂話は人々の心を掴み、人から人へ伝わっていく。それが真っ赤な嘘でも。
    動物たちしか登場しないけれど、人の世を映している。
    金のライオンは王様になりたかった。しかし、金のライオンは、銀のライオンを推す声を聞いて銀のライオンの悪い噂を流す。人々はそれを信じて銀のライオンは悪いやつだと噂し金のライオンが王様になるのだが。

    今も世界では独裁者がいる。戦争もある。フェイクニュースが見分け何つかないくらい巧妙に作られている。私たちになす術はあるのだろうか。

    2月23日の朝日新聞によると、能登半島地震で「中国人がマイクロバスで来て窃盗を働いている」とのデマがSNSで拡散されたという。
    安易に情報を拡散しないことだ。「だしいりたまご」思い出しましょう。

  • いい加減な噂話、悪意のある噂を安易に広めてしまう怖さ、子どもには難しい内容かもしれないが、知っていて欲しい。
    銀色のライオンさんが声をあげたらどうなっていただろうと考えてもみる。

  • メディアで世の中が操作されてる現代の、忠告本と感じた。この本を読むと、飛び交った情報を信じるか信じないかを決めるのは、いつだって自分であることが分かる。

  • 中・高生によいかも。自分で真実を見極める力を、のメッセージ。選挙とか、ネットリテラシーとか。

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著者プロフィール

詩人、絵本作家、作詞家、翻訳家。言葉遊びの分野でも活躍中。
詩集に『植星鉢』(土曜美術社)、絵本に『おおきなけやき』(鈴木出版)、
『ひだまり』(光村教育図書/産経児童出版文化賞産経新聞社賞)、
『みどりのほし』(童心社/児童ペン賞絵本賞)、
翻訳絵本に『でんごんでーす』(講談社)などがある。

「2022年 『まるがいいっ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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