シェールガスの真実―革命か、線香花火か?- (石油通信社新書)

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制作 : 石油通信社 
  • 石油通信社 (2014年7月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907493011

シェールガスの真実―革命か、線香花火か?- (石油通信社新書)の感想・レビュー・書評

  • 産油国世界一となったアメリカ。
    シェールについてわかりやすく解説。

  • 今(2015)米国では所謂「シェールガス・オイル革命」が進行中のようで、天然ガスも原油生産も世界一の産出になるようです。特に現在の米国の貿易赤字の半分程度を占める原油輸入がなくなると米国のエネルギーコストがかなり下がって強いアメリカの復活という声も聞かれています。

    世の中にはシェールガス・オイルの華やかな本が満載で私も何冊か読んできました。そんな中で、少し冷静な視点から書かれているのがこの本です。

    シェールガス・オイルは昔から存在は知られていましたが、それらが騒がれるようになったのはこの数年のこと。それは新技術開発によって採算上に合う採掘方法が見つかったからのようです。

    この本ではシェールガスに関する懸念点も書かれている本で、現時点では新鮮に感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・非在来型ガスの確認埋蔵量は、各操業者会社は開発地区で個別に評価し監督官庁に報告しているものの、統一した評価システムがない(p25)

    ・石油の用途は、日本では輸送用消費のシェアは42%だが、米国では66%、奥州では52%、輸送燃料としての石油の利便性・優位性は当分揺るがないだろう(p32)

    ・燃える氷と呼ばれるメタンハイドレードとは、低温高圧下で5,6個の水分子がゲストのメタン分子を籠状に取り込んだ、見かけはシャーベットのような固体状の物質。(p45)

    ・2013.3.12未明に水中ポンプで水をくみ上げ減圧を開始して、世界で初めてとなるメタンハイドレードの分解メタンガスで確認された(p53)

    ・日本周辺海域に広く分布して原始資源量は膨大だが、回収率は極めて小さい懸念がある(p54)

    ・水圧破砕は、タイトサンドガス開発で使われていた高価な大規模水圧破砕法を転用していたが、SWFでは地下で高粘度化するように増粘剤を加えた流体を高圧、高速で圧入するようになった、これと長距離水平掘削技術

    ・マイクロ音波炭素技術等と結びつき大量生産が可能となった(p64)

    ・非在来型のガス井の生産減退率は高く、商業生産のためには多くの井戸数を要する。複雑な技術(2キロを超える水平抗井、水平部分へ20ステップの多段階水圧破砕)も必要(p74)

    ・過去5年あまりの短いシェールガスの生産実績から、今後30年にわたるバラ色のシェールガスの生産見通しは疑わしい。生産見通しは、高い油価に連動したガスの高価格に支えられている(p84)

    ・我が国の輸入LNG価格は、米国内でのガス価格の4-5倍(p87)

    ・2011年以降には、ドライシェールガス井は採算取れずに閉鎖し、ウェットシェールガスや、タイトオイルを求めて採掘地域がシフトした。(p89)

    ・米国はかつて天然ガスの2割をカタールからのLNG輸入をする計画だったが、不要になってきたので、カタールのLNGは欧州に流出した。これを輸入できたので東日本大震災の急場をしのげた(p114)

    ・ロシアには政変リスク、ブラジルには不良債権リスク、シェールガス革命によってそれらの問題が表面化する可能性が大きい。勝組は資源の大消費地となるインドである(p117)

    ・アメリカの天然ガス輸入は2005年以降60%減少し、現在ではメキシコとカナダに供給している。さらにこの60年間で初めて石油製品の輸出が輸入を上回るようになった。(p119)

    ・米国ではシェールガスの開発が進み、これを原料にした大型エチレンプラントが2016-17年に相次いで始動する見込み(p120)

    ・ダウ・ケミカルや、エクソンモービルが、シェールガス成分である割安のエタンを使ってエチレンを製造する大型設備の建設を計画している。数年後には日本の年産能力である750万トンに匹敵すると予想され... 続きを読む

  • 【仕事】シェールガスの真実/藤田和男、吉武惇二/20150202(15/299)<227/3050>
    ◆きっかけ
    ・タイトルに惹かれて、仕事上読まねば

    ◆感想
    ・米国のシェール開発は米国以外では何処に波及するのかについては話題になるが、そもそも米国の石油産業の歴史的背景があいまって今の革命と呼ぶにふさわしい事象が起きている点には納得。
    ・非在来型資源の埋蔵量の定義とその扱い方に問題があるのも納得。もともとexict scienceでないものをscience化すること、それがあまり認識されていないことも背景か。

    ◆引用
    ・シェールガス開発は、世界で一番長い石油・ガス開発企業の歴史に有しエネルギー・ジオポリティクスの経験と技術伝承を持つ米国のみに許された一過性の魔術。北米以外ではPLはほとんど敷設されておらず、建設にも膨大な費用が必要。また、高度な水平掘り仕上げや最先端のフラクチャリングサービス等の請負業者も存在しない。海外から業者を連れてきても、二番煎じの業者レベルより劣るのではないか。また、水、砂の調達、需要が近場にあるか等の問題あり、これらを勘案すると、シェール革命は150年あまりの石油開発の歴史を持つ米国だからこそ起こり得た僥倖。
    ・技術が進歩しても、非在来型資源が、在来型を凌駕することはありえない。エントロピー増大の法則に反する。希薄なエネルギーから濃縮されたエネルギーを取りだすには、大量のエネルギーが必要となるから。お金の投資効率から見てもあり得ない。
    ・シェールの栄華は30年もたない。シェールのように非在来型で質の悪い資源ほど、ピークが早まり減対立も大きい。
    ・とはいえ、このトレンドは日本にとって好機であり利用すべき。やがては水素エネルギー利用への橋渡しを暗示。
    ・非在来型資源の埋蔵量の定義(①)とその扱い方(②)が問題。在来型の確認埋蔵量は油層工学に基づくシュミレーションモデルによる生産量予測計算により合理的に評価された回収量。信頼度は90%であることから、銀行の融資対象となる鉱物資産となる。
    ・非在来型の定義は今のところ長期的に取り出せる技術があるわけでではなく、経済的合理性をもって確実に取り出せる保証がないため、石油会社は確認埋蔵量による数字を各社個別の確実性に基づき、評価報告している。
    ・確率の信頼度が90%と言えるかは不明。非在来型の資源量には、技術的回収可能量を用いているが、信頼度は50%の推定埋蔵量。数字の信頼度が低いので、可採年数が何年あると算定できる確たる証拠があるわけではない。
    ・問題①:埋蔵量に関する公刊統計の数字に、こうしたあやふやな非在来の資源量の記載を巡り考え方が定まっていないこと。Bp統計で、カナダとベネズエラの確認埋蔵量に、莫大な非在来のみ確認資源量を加え、両国がサウジに匹敵する巨大埋蔵量保有国に突如変身する異変が生じている。
    ・問題②:可採年数を算出する際の生産量を商業生産量(=生産量からNGLを分離したり、僻地の為生薬した量を指し引いた)を使っている点。商業生産量は生産量の80%程度にすぎず、可採年数はこのためかさ上げされてしまう。
    ・減退率の例:マーセラスでは60%@3カ月、70%@1年、5年間でその井戸の推定究極回収量の70%~90%が回収済み、その後は低レートの非効率生産となり、操業費をカバーできなければ休止。リース期間が5年と短いのも納得。それ故に掘削基地(パット)から、目標生産維持のために、次々に生産ラインを追加しなければならない。

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シェールガスの真実―革命か、線香花火か?- (石油通信社新書)の作品紹介

福島原発事故、最近ではウクライナ問題で、シェールガスが大きく注目されている。だが、シェール革命は本当に世界を変えるのだろうか。米国のシェール井戸は増産に次ぐ増産で生産レートが急速に下がっている。水圧破砕法による環境破壊も顕在化しつつある。油価高騰のバブルがいつかは弾け、シェールガスの安価維持が続かない可能性もある。シェール革命の光と陰双方を初めて明らかにした待望の著。

シェールガスの真実―革命か、線香花火か?- (石油通信社新書)はこんな本です

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