翼 (鉄筆文庫 し 1-1)

著者 :
  • 鉄筆
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本棚登録 : 1210
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907580001

作品紹介・あらすじ

東京の半導体メーカーに勤める田宮里江子は、ひょんな事がきっかけで、大学時代の親友の夫・長谷川岳志と10年ぶりに遭遇する。岳志は、親友の恋人でありながら、初対面でいきなりプロポーズしてきた男であった……。直木賞作家のTwitter連載小説として、新聞各紙(讀賣新聞、日本経済新聞)で取り上げられ話題となった恋愛小説。何度も読んで、何度も涙するという読者が続出した。鉄筆文庫の創刊第一作であり、直木賞作家・白石一文の文庫最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 久々の白石一文
    相変わらずどこかしこになつかしい。

    白石一文という作家は〜
    剥ぎ取って、剥いで、突き詰めて
    最後のさいごに残ったものを真実と吐露する。
    見詰めて、己を見詰めて見詰めすぎるくらい見詰めて〜


    確かに正しいかもしれない、
    真実は一つだから

    本文よりー
    「僕は、誰だって真実の人生を見つけることができると思ってる。
    真実の人生を手に入れさえすれば、こんな嘘だらけの人生ときれいさっぱり縁を切ることができるんだ」

    自分はいいかもしれないが、巻き込まれた人らはどうなる
    切り捨てられた周りは溜まったもんじゃない。
    嘘だらけと言われての家族。
    家族を不幸にしても手に入れたい真実って。

    それでも切るー
    途中の感想で中途半端だが。
    エゴだよね。

    福岡生まれの福岡育ちの自分は
    作者と同じ
    出てくる場所もいろんなことも
    手にもるようにわかる

    こう突き放してみたものの
    わかりすぎるところもあってこわい。
    自分も変わってるからよく分かる、

    本文より
    「僕は本当にすごいへンな人間なんだ」

    「ヘンすぎるから一生懸命にまともに振る舞ってる。」
    「物心ついた時から自分が仲間外れと覚った人間のことだよ。
    ホームラン五十本打てる人間は
    隠して人と同じに打ちたいように力を抑える

    すべての望みは
    この世界でひっそりと生きていきたいんだ。、普通の女の子、男の子になることなんだよ。」
    長谷川岳志、ー

    良すぎても、疎外感
    悪くても疎外感

    だったら世に言う天才、スボーツ界でのスーパスターは出ないね。
    ふーん。、傲慢じゃない。
    素直にモテる力発揮していいんじゃない。
    頭が良すぎる上での、苦しみ。
    生き方を複雑にしてる。
    生きる目的は、自分の感情だけではない、
    何のために生きてる?
    世のためとまでは言わないが
    長谷川岳志は医者だから
    充分できるのに〜

    ぜんぶひっくるめて
    幸不幸は別にして分かるのは分かる

    それぞれが好き勝手に真実を求め
    今ある基盤は嘘だとチャラにしたら
    どうなるのかしら?

    途中のレビューなんてろくなものじゃない〜
    だけど途中で書きたくなった。

    「ブクログの方に教わりたい。、おききしたい。)

    しかしかくいう自分も勝手にきって切りまくってきたかもしれないが。
    人を傷けた側だけどね。

    「翼」
    いろいろ聖子の人生
    主人公「田宮里江子」の人生
    長谷川岳志の人生
    里江子の義理の妹朝子の生き方
    なかなか
    おもしろかった。
    表題「翼」ーふーん。そうね

    田宮里江子は聡明で
    本当に賢かった。

    長谷川岳志に向かって
    「誰かの不幸を前提にした幸福なんて、この世界に存在できるはずがない。人を傷つけてまで幸せになる権利なんて誰にだって、絶対に、絶対に、ないわ」
    そして人の不幸の前に成り立つ幸福はないと断言できる。

    自分もつくづく真面目な人間だとおもう。
    しかし
    これを言える勇気を持ってる人がどれだけいるか
    煩悩に負け、感情に赴き
    そこにいろんなドラマが生まれる。

    最後まで読むと
    レビューは変わる。悲しすぎる。
    「わが心にも千億の翼を」

    「僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるわけじゃないよ。愛する人を幸せにするためにあるのだし、そして何より自分自身がしあわせになるためにあるのだ。」と、長谷川岳志はいう。

    あー未熟だなぁ、自分

    感情は数学でもない〜
    スパッと割り切れるものではない。
    最後は泣けた。理屈ではないからね。

    白石節炸裂
    また他の作品も読みたい。








     

  • 女性が主人公のお話でした
    帯の言葉はちょっとおおげさかなと感じました
    帯はまぁだいたいそんなもんと思っています
    過去と現在を織り交ぜて物語は展開しました
    男女のあれこれ
    解説を読むと、それを踏まえてもう一度読んだら
    もっと深く感じることができることがあるかもとは
    思いましたが・・・

  • たった1人の人と生涯を共にするのは難しいことだと感じました。人の考え方は変わるもので、永遠に続くものなんてないんだなあと思いました。

  • 私たちは手にした幸せより先に死ねれば、それが最高の人生なんでしょうね。

    俺たちは他人の心の中に自分という手紙を配って歩く配達人にすぎないのかもしれんなあ。配達人が郵便受けに差し込む手紙の中身を知らないように、俺たちも自分がどんな人間なのかちっとも知らずに、それを丸ごと人に預けてるだけなのかもしれん。

    人間は智恵や理性では絶対に行動しないからね。例外なく感情のままに行動する。

    僕たちの人生は誰かを不幸にしないためにあるのではないよ。愛する人を幸せにし、自分自身が幸福になるためにあるんだ。

    運命の相手とは出会うだけじゃきっと駄目なんだよ。最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断することだ。そう決める覚悟を持ったときに、初めてその相手は真実の運命の人になるんだと思う。

  • 岳志に対してなんだかずっともやもやとした思いを抱いてしまう。運命だと信じた愛を選ぶなら、家族とのことはケジメをつけてくれないと…。ずっと自分勝手な人だな、という印象。終わり方も…。
    女性の言葉は響くものがあった。期待しすぎたのか、あまりはまらなかった。

  • 白石一文さんの作品、初めて読みました。

    愛、人生、運命の人。
    それぞれの表現がびっくりするほど腑に落ちる。

    「誰かの不幸を前提にした幸福なんて、この世界に存在できるはずがない…」と言うりえこ。

    「僕たちの人生はだれかを不幸にしないためにあるわけじゃないよ…」と、岳志。

    「最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断すること」岳志。

    「きみだけがずっとそばにいてくれるのなら、それでもいいんじゃないか」岳志とりえこ。

    良いとか悪いとかではなくて、言葉にできない思いを持ってる人ってきっといると思う。
    決断かぁ…

  • まえによんだ白石さんの作品に不思議な面白さを感じたので
    また買ってみた。

    自分の周りの世界をいろいろ理解しているつもりでいてて、
    あるとき思いもかけない角度から新しいものが見えてしまう、
    しかもしれが以前の自分の認識を根底からひっくりかえす、
    そういうところが私にとっては不思議な面白さになっているのだと思う。
    20180331

  • 地に足がついていない人たち。読者がどこで泣くのか不明。登場人物の誰にも共感しないからかまったくピンとこなかった。責任感も、価値観と同じく、十人十色なんだな、と改めて思った。

  • 解説がイキリすぎ。商売である以上、作品は売れてこそ、だとは思うけど、売らんかなという姿勢が強すぎる感がある。

  • 「誰かの不幸を前提とした幸福などありえない。自分の幸せのために誰かを傷付けていいなんてことは、誰にだってない!絶対に!」

    果たしてそうなのだろうか。
    自分の為に、Aを選べばBが不幸になり、Bを選べばAが不幸なるということは、生きていれば幾らもある。
    ならばいっそ、AもBも選ばずに自己犠牲に満足すればいい。ただその選択をすることで、AもBも幸福にはなれず、結果、その自己満足はAとBの不幸を前提とした…と云うことになりはしないだろうか。

    人が生活を送るとき、故意の有る無しに関わらず、誰も傷付けていないなんてことはない。絶対に!

    人生の不都合、不条理、不幸な出来事に遭遇したとき、まず「自業自得」を念頭に、過去に自らが選んだ行動、言動を考え、納得したり、反省したりすることはできる。
    だけど、どうしたって、他人発信の「不〜」なことということもやはりあって、不平不満を唱えた後は、なんとか折り合いを付けて乗り越えなきゃ、前に進むことは出来ない。
    立ち止まった場所に幸せなんてないし、ましてや、誰かが幸せにしてくれるはず!なんて、そんな自動的やってる幸せなんてあるはずがない。

    自分の幸せを求めることは、エゴなのでしょうが、それを他人が笑っていいはずがない。蔑んでいいはずがない。哀れんでいいはずがない。
    幸福を求めることを止めたとき…人は何を選択するのでしょう。

    読書感想メモにしては…語りすぎましたね。
    だけど、ついこんなことを考えてしまう作品です。

    「人生は誰かを不幸にしないためにあるのではないよ。愛する人を幸せにし、自分自身が幸福になるためにあるんだ。」

    心の翼を広げることができなかった…
    そんな大人たちの物語。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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