自閉っ子、こういう風にできてます!

  • 花風社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907725631

作品紹介・あらすじ

自閉の翻訳家と作家が今こそ語る独特の身体感覚と世界観。読む人が増えれば、理解の輪が広がる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 意外なところに自分との共通点を感じるも、不思議なところも多い。
    改めて多様性について考える。

    おふたりとも大変な毎日をがんばって生きている。誰でもそれぞれがんばっている。

  • 本書は二人の自閉症当事者の方が語られた実体験なので順を追って想像しやすく、考えが深まりました。自閉の方の考え方や物の捉え方、反応までが実は身体機能障害の問題からきているものだと解説されています。「自閉の身体障害的側面」に目を向けたことで、これまでのなぜ?が、繋がった場面がいくつかあります。定型発達の人が無意識にできている身体機能調節を、自閉症者は毎度意識を向けて自分でコントロールしようと働きかけなければならないことに驚きました。『二十四時間ピラティス状態』と表現されていたように、身体機能調節をマニュアルでこなさなければいけないことが多いので、自閉の方はとても疲れやすく、苛立つことが増えるのかもしれないと思いました。
    自閉症の方が「自分には背中がない」とずっと思っていたという表現が心に残りました。見えるものはあるが、見えない物はない、という世界観に生きる自閉の方にとっては、いかに視覚に訴えかけていくかがやはり重要です。知ることから理解に繋がるので、他の方の書かれた書籍も読んでみたいです。

  • 自閉症と方言の関してはここでも語られていたのだ…と今更気づく。身体感覚の話は実に興味深く感じる。

  • ・最近になって、父親という概念を知った私は、少しずつ彼との関わりを自分から持つようになりました。
    正直に言ってしまうと、それまでの私にとって、彼の存在は「八時になると家を出て行く人で、たまに突然帰ってきては出て行き、“ただいま”と言いながら、夕方六時ごろ帰ってきて、私が宿題している間に寝ているので、私との共演が少ない配役」でしかありませんでした。
    …父にそのことを話すと、かなりショックを受けたようで、しばらく彼はふさぎこんでしまいました。
    これまでの私だったら、「…? いきなり、しょ気た」としか考えられず、しらっと部屋を出て行っただろうと思います。
    でも、私は驚くべき行動に出たのです!
    私はしばらく考えたあと、父に「それは、私があなたの娘で、娘の私が“お父さんの存在の意味が分からない”って言ったから、私とつながっている父親として、しょ気てるの…ですか?」とたずねました。
    要するに、「私の父親だから悲しいの?」と聞いてみたわけです。
    このあたりの気持ちはリサーチ中なので、私も失礼ながら、その場で父に質問返しをしてしまいました。
    彼はふさぎこんでいる最中だというのに。
    すると彼は、「…そう」と答えました。
    びっくりしたことが、ここで二つ。
    今までの彼ならば、憤慨して背中を向けて、私の質問に答えてくれることなどありませんでした。
    でも、今では私が「わからないから聞いている」ということを徐々に覚えてくれているので、一言でも返事をくれる、ということ。
    そして、もうひとつは、自分に対してのびっくりでした。
    私はいったのです。
    「でも、今から“父親”のこと知っていくから、しょ気ないで…」と。
    すると父は、肩を落としたままであっても、コクリとうなずいてくれました。
    自閉傾向の強い娘と、その娘の父親である彼が、ちゃんと意思疎通できた瞬間でした。

    ・一時ニキさんについて、ネット上でほうぼうに書き込んでいた人がいますよね。「ニキ・リンコは実在しない。花風社のでっちあげで、花風社の社長がニキ・リンコを演じている」って。あのときはどう思いました?

    「そうか、私はいないのか」って思ってしまいました。それで、浅見さんから電話がかかってくるのが怖かったです。自分は浅見さんのはずなのにどうして自分から電話がかかるのだろう、って混乱して、浅見さんが出た大学のキャンパスの様子とか思い出そうとしたけれども思い出せなくて、どうしてだろう、って思ったり。

    ・講演に行った先でも、自閉の子どもが「殺す」とか口走って困る、というお母様からの質問を受けたことがあります。そのときも「どこかで聞いた言葉を繰り返しているだけかもしれない」と答えました。一つ問題だなぁと思うのは、多大なストレスを受けて、それを表す言葉が、「殺す」になってしまっている世の中の現状だな、と。

    ・想像力の障害って、不便だけど。「有料放送無料!」とか書いてあると、キャンペーン期間だってわかるまではうろたえるし。ホテルの部屋に入って「お客様のお声をお聞かせ下さい」っていうカードがあると「わーっ」とか叫んで、しばらくして、なんかちがうな、って気づいたりするし。

    ・抗うつ剤(SSRI)をさぼらずに飲んでいるときには、たとえばスーパーに行って同じBGMが繰り返されていたりしてもあまり腹が立たなくなります。

  • あえて評価はナシで。
    発達障害当事者のお二方と定型発達代表の社長さんとの対談形式。
    発達障害当事者の感覚をイメージすると言うには良いのかも知れませんが~…
    『この人たちの感覚とは180度違うよ~そんなの体験したことないよ~』と言うまったくタイプの違う当事者の方もいらっしゃいますので、そこらへん注意です!mokoiも発達障害グレー当事者ですが、ちょっとあまりにも中身がぶっ飛んでてビックリしちゃいました(・。・;

  • 所蔵あり  493.76-ジヘ-1 300040938
    「ナスやピーマン、曲ったキュウリ・・・食べられないのは”マズイ”じゃなくて”気持ち悪い・・・”。もっと早く知っていれば、居残り給食を回避できたのに・・・・。自閉っ子の不思議な”感覚”の世界が読めます。」

    コメントをありがとうございました! 
    (黒板書架「当事者の心を知る」特集コメント ”あなたのおススメ本を教えてください”より)

  • 特性がある人の生きづらさを、「社会性」「コミュニケーションのしょうがい」「一点集中型の想像力」だけでなく『身体感覚』という視点から解説。
    「どうしてこんなに困った行動をこの子は取るのかな?」と困っている親御さんにオススメ。医療従事者や支援者も支援・臨床の参考になります。

  • 某非定型発達のご本人の著作を読んで色々考えるところがあったので読んでみた。所々に「へえ」と思うところがあった。

  • (2013.12.15読了)
    職場に変わった子がいて、もしかして…と思って読んでみました。
    程度の差はありますが、思い当たることがたくさんあります。
    やっぱり説得しようとしても無理なんだなぁ、と思いました。
    もう少し優しくできそうな気がします。

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著者プロフィール

ニキ リンコ
 翻訳者。訳書にジェフ・ワイズ『奇跡の生還を科学する』(青土社)、キャスリン・アースキン『モッキンバード』(明石書店)、モリー・バーンバウム『アノスミア』(勁草書房)、アーヴィング・ケネス・ゾラ『ミッシング・ピーシズ』(生活書院)など。

「2023年 『塩とコインと元カノと シャドウライフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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