クマにあったらどうするか―アイヌ民族最後の狩人姉崎等

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  • 木楽舎 (2002年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907818142

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クマにあったらどうするか―アイヌ民族最後の狩人姉崎等の感想・レビュー・書評

  • 近年、札幌市内でもヒグマの目撃例が急増している。
    北海道では昔から、ヒグマに人間が襲われるという事件が実際に起こっており、獰猛な生物であるとの印象が強い。
    しかしアイヌ民族クマ猟師の姉崎さんの見解では、ヒグマは人間を恐れているとの事なのだ。開発やレジャーのため、人間の方が本来のヒグマの生息地域に近づいており、ヒグマと人間の距離が近づきすぎた場合のみ、防衛本能により仕方なく人間を襲ってしまうのだ。
    ヒグマと人間の共存のルールを破っているのは、常に人間の方だという言葉が心に残った。

    本書はインタビュー形式で進んで行くが、エピローグで聞き手の片山さんと姉崎さんの印象的なやり取りがあった。
    片山さん「運悪くヒグマが覆いかぶさって来た場合は、諦めるしかないのですか?」
    姉崎さん「クマは人間を齧ろうと口をあけるから、クマの口の中に手を突っ込んでベロをつかんで押したり引っ張ったりする。」

    ・・・・・・・・無理無理無理無理!絶対無理!!

  • いい本とはこういう本だなと思った。語り部の方も凄い人だが、この人の話を本にしたいと一念発起した聞き書きの方も偉い。

  • クマに遭遇した時の対処法かな?と手に取ったが、ほとんどがマタギとしての体験談やアイヌ民族とクマとの関係について書かれていた。羆の基本性質をよく知った上で、「羆は危険ではない。羆の生活圏を追い詰めていく人間が悪い」と、野生動物を守る活動もされいたそうだ。姉崎さんは2013年10月に亡くなられていたそうです。御冥福をお祈り致します。

  • 片山龍峯が姉崎等にインタビューしたのをまとめたものです。
    といっても、数時間のインタビューではなく、何年かかけてじっくりと積み重ねてきた言葉と思いが詰まっています。

    アイヌ民族最後の、と紹介されていますが、実は姉崎さんのお父さんは日本人です。
    けれど、どちらに比重を置くかと言われたら自分はアイヌ人だ、と。

    子どもの頃に父親を亡くした姉崎さんは、母親の故郷であるアイヌの部落で育ちます。
    けれども混血であるということでいじめられたり、アイヌの風習なんかも教えてもらえなかったりしたそうです。
    それを、子どもの姉崎さんはじっと周りを観察することで身に着けていきます。

    後年クマハンターとして山に入ったときも、クマを観察し、クマを知ることで山を知り、山を知ることで山の恵みを受けたりするようになります。
    だから彼は「クマは師匠」と言うのです。

    もともと里山に棲み、草食に近い雑食のクマは、人間を恐がり人間の気配を感じるとじっと姿を隠してしまうのだそうです。
    人間が知らずに歩いているほんの数メートルのところに身を隠していることも実際あるそうなんです。
    でもクマは人を襲わない。人間が恐いから。

    人を襲うのは、逃げるものを見て反射的に追ってしまった時か、もっと怖いのはけがをして逃げきれないので最後の力を振り絞って「やられる前にやる」時です。
    数人のグループがクマと遭遇した時、クマに襲われたのは若くて元気でいちばん先に逃げた人なのだそうです。

    だから、山に入るときはクマに会わないように注意する。しかし万が一逢ってしまった時は、クマの目を見てじっと動かず、できれば大きな声で威嚇すればクマの方で逃げていくそうです。
    とはいえ、一度人間を襲ったことのあるクマは、実は人間は強くないと知ってしまうので、人間を恐がらず再び襲ってくるそうなのです。

    クマのエサが山になくなってしまったこと。
    人間がおいしいものをクマに教えてしまったこと。
    など、もともと近いテリトリーで住み分けていたクマと人間が、こんなにも接触事故が増えてしまうのなら、ただクマを恐がるだけではなく、クマのことを知らなければだめなのだと思います。
    そしてクマの住める場所をもう一度クマに返していくことも、考えて行かないといけないと思いました。

    洋の東西を問わず子どもがクマを好きなのは、大昔人間とクマが仲よく共存していたことがあったからかもしれませんね。

  • クマが語っているような本。血から狩人で65年間一度もクマに傷つけられたこともない姉崎等さんは、「クマが師匠」と断言する(p14など)。山に入っていき、クマや獣の身になって考える(p171「私がいイタチだったらこんなところは歩かないでここを歩く」など)という。そうしていると、狩人は獣になっていく。おそらく、自身が知らないうちにそうなってしまう。

    迷信深いわけではなく(p169「真に受けない」など)とても現実的に実証的に(p127の解体など)行動する。また、映画の撮影に協力したり、そもそもこの本のために協力しているし、大学の研究に協力して自身の「読み」が正しいことを証明してもらう(p283)など、偏屈なわけでもない。

    生き残るため、狩るために行動しているうちに、獣になる本。※カルロス・カスタネダとドン・ファンの対話と似ている。

  • 北海道で渓流釣りをしていると、クマの噂はしょっちゅう聞く。いつニアミスしても不思議はない。というわけで、クマにあったらどうするか、は切実。いろいろな意見があってよくわからなかったが、この本を読んでとにかく逃げちゃまずそうだとは思った。でもクマの口に手を突っ込んでベロ引っ張る、のは無理だわ。

    筆者は姉崎氏からどうしても「クマにあったらどうするか」を聞き出したくて、何度も聞く。で、とうとう答えを引き出すが、たぶんそれは「山で道に迷ったらどうするか」みたいに、一般論でしかないのだろうなと思う。まあ、一般論でもないよりはましなんだろうけど。

    聞き書きのなので若干読みにくい。整理をした上で、ドキュメンタリーとしてまとめてほしかったなあ。

  •  アイヌ最後のクマ撃ち(ハンター)が語るクマの生態。

     クマが自分の足跡をなぞってバックするとか、クマは山の奥ではなく人里近くに暮らす動物で人間に隠れて生活しているとか、驚く情報がてんこもり。クマは人を恐れており、クマに遭った時もそのことを頭に入れて行動することが重要である。
     クマの足跡を追い、クマに多くのことを学び、クマ目線でクマのことを語る姿に感銘を受ける。山でクマに遭った時の対処だけでなく、アイヌ文化や環境についての考え方など多くのことを学べる一冊。

  • 同じこの星に住むものどうしとして、お互いを尊重しあって
    暮らしていかなくてはならないですね。(∩.∩)
    ヒグマさんの事と人と動物の生命について
    勉強になりました。

  • この人のクマに対する見識はすごいものがある。非常に興味深かった。あとアイヌと東北のマタギの猟の方式は異なる模様。マタギは集団猟なのに対しアイヌは基本的に個人で猟をする模様

  • 暗闇の森で熊に遭遇し、ジッとするしかない緊張感が伝わってくる。

  • 人間に攻撃的なクマは、こうした方法で人間の選択圧を受けてきたため、人間を恐れる傾向のクマが生き残ってきたのではないかと。

    人間と無関係に本能だけで生きるのが野生動物だと思われがちだが、少なくとも人間の生活圏に近い野生の生き物はみな人間の何らかの影響の中で進化してきたのではないだろうかと。

  • そこらへんの大御所生態学者なんかの論文より真実が書いてるように思う。クマ撃ちの師匠はクマだった。人間と野生生物の共生を考える上での必読書かも。ちなみにこの本を読んで、アイヌ語に興味を持ち、カムイユーカラやウエペケレを読んでみたくなりました。

  • クマをただ恐れるだけでなく、クマのことを知って、共存してゆくべきだと思います。クマを恐れている人に是非読んで頂きたい1冊です。

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