塹壕の戦争: 1914-1918

  • 共和国
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784907986124

作品紹介・あらすじ

第一次世界大戦の《リアル》を徹底的に描き出して、「コミックのアカデミー賞」と呼ばれるアイズナー賞を受賞したフランスの巨匠タルディの代表作、ついに日本初上陸。この戦場の《リアル》を直視するところから、いま、私たちの現代史は幕を開ける。



作中の兵士のひとりはこう自問自答する。「なぜこんな酷いことになったのか?……惨憺たる結果にして恥辱、文明の退行ではないか」。
「平和」を目的として勃発したこの戦争は世界中に破壊と殺戮を蔓延させ、 1000万人もの戦死者を出した。「なぜ」このような戦争が足かけ 5年も続いたのか──フランスを代表する漫画家タルディは、本作をもってこの「なぜ」に挑む。前線に掘られた暗く泥まみれの塹壕でたたかう兵士のひとりひとりを主人公に据えたタルディの視線は、きわめて低い。その低さゆえに、この漫画に描かれるのが、まさに自分自身であり、身近な誰かであることを予感させるのである。

感想・レビュー・書評

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  • BOOKMARK2から。訳者あとがきにもあるけど、やっぱりフランス人とは感じられるものが違うんだろうな、という。実際に書かれたのはだいぶ前ってことなんだけど、日本の漫画についてもクラシックは苦手なのに、いわんやバンドデシネをや。

  • 死者たちによる証言録。
    本邦初紹介ということで、その価値は大きい。
    ●「今なお私たちはあの塹壕にいるのではないか?東であれ西であれ、まだ戦場に、要するに「ノーマンズ・ランド」にいるのではないだろうか?・・・激しい戦闘が繰り広げられる前線と前線のはざまにいるのではないか!そう、本当に怖いのは、1914-1918年の第一次世界大戦というよりも、大文字の「戦争」そのものだ・・・」

  • 【久保田和男先生】
    この本は、戦争漫画である。戦争漫画というと、ヒーローがライバルと丁々発止のやりとりをする。新兵器や智恵によって善が悪を倒す。この漫画は違う。舞台は第一次世界大戦、西部戦線のフランス軍である。主人公は、無名の下級兵士たち。塹壕の中で、三年も戦っており、戦いの意味すら分からなくなっている。生き残るために様々な工夫をするが、大体は最後に殺される。しかも、味方にやられる。フランス語が分からず、突撃しなかったために命令違反で殺される離島出身者。ユダヤ人というだけで、攻撃失敗の責任をとらされ処刑されるもの。あるものは味方の誤射によって塹壕陣地が砲撃されて死ぬ。非常にリアルに描かれているフランスの戦場漫画である。リアルな戦場にはヒーローは存在しない。

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著者プロフィール

1946年、フランス・リヨン生まれ。フランスを代表するバンド・デシネ作家のひとり。リヨン美術学校、パリ装飾美術学校に学ぶ。
1969年、『パイロット Pilote』誌で漫画家としてデビュー。以後、50点以上の単行本、6点のイラスト集のほか、イラストレーターとしても活躍している。1985年にアングレーム・コミックフェスティヴァルでグランプリ受賞、2011年には本作でアイズナー漫画賞(最優秀実話作品賞)を受賞するなど、国際的な名声を博している。
代表作『アデル・ブラン=セックの奇妙な冒険』は2007年までに全9巻を刊行し、2010年にはリュック・ベッソン監督により映画化。
2013年にはレジオン・ドヌール勲章の受勲を拒否して話題になった。

「2016年 『汚れた戦争 1914-1918』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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