酒井若菜と8人の男たち

著者 :
  • キノブックス
4.09
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本棚登録 : 207
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908059322

作品紹介・あらすじ

笑い、涙、驚き、感動がギュウギュウにつまった対談&エッセイ。8人の男たちと親交のある著者にしか、聞けない、描けない、知られざる話の数々!

感想・レビュー・書評

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  • 軽い気持ちで手に取ったが、とんでもない本を読んでしまった。「酒井若菜」は怪物だ。彼女については「膠原病」という病。加えてメンタル疾患などからの休業。その程度しか持たずに読み始めた。まず対談相手の豪華さに面食らう。そして、対談した8人の男たちとガッシリと繋がり彼らを丸裸にする酒井若菜。「板尾創路」という名前だけでもひるんでしまいそうなのに、その懐に入り込んでいる酒井若菜。何といっても「岡村隆史」との対談は涙無しでは読めない。岡村隆史がメンタルを病み、休業していた時に酒井若菜は動いた。「私が救います」という言葉の有言実行に愛だとか友情だとか超えた世界を見た。あの、唯一無二の存在「岡村隆史」を「自分が救う」という発想が自然に出てくる彼女は何者なのだ。そして本当に救ってしまうところまでとこんと付き合う。常に「死」を漂わせながらも無垢な笑いの彼女と8人の男たち。思わぬ良作に出会った興奮感で思わず人に勧めたくなる。

  • ―ーー私があらたに患ったこの「幸福」という病に関してのみ言えば、これだけは不治の病であればいいのにーーー

    生きてるうちにお葬式をやりたい。
    コンセプトは「逆弔辞」。
    酒井若菜が愛した男たちと心ゆくままお喋りしている。
    よそでは聞けない、この距離感だからこそ聞ける話がわんさかあることもさることながら、自身で編集をした、ということがほんとうにすごい。見出しがない(つけられなかった)のがいい。
    男のひとも女のひとも、意外とうふふって笑うんだなとか。

    【マギー】
    序章。
    酒井若菜の兄的存在。
    何年会ってなくてもこないだ遊んだ感じで会えるひと。
    結婚に関してのカードゲームの例えがしっくりときた。
    酒井若菜といまの関係性になれた理由もなるほどと納得。

    【ユースケ・サンタマリア】
    プライベートで一番会っているひと。
    平成教育委員会で発した「どこへでも行けるけど、どこにも帰れない」の名言。
    聞かない力。
    ひとの痛みを、ひとが欲しい優しさを、知っているひと。

    【板尾創路】
    酒井を小さい女の子だと思っているひと。
    めーと呼んでいた時期。呼ばなくなった理由。
    お墓に名前を彫らない。
    新喜劇のハプニングから生まれるギャグ。
    死生観。

    【サンボマスター 山口隆】
    躓いたふりして抱きつこうかと思った。
    童貞パワー。
    恋の門で共演。
    コスメの話をしたい。
    カメラ壊していいですか。

    【佐藤隆太】
    人生初の男友達。
    付き合わないけど、結婚すると思っていた。
    「好きだよ」と言い合う関係。

    【日村勇紀】
    生粋の太陽。
    「なんとなくいる」を積み重ねていま、のバナナマン。
    設楽と酒井は似ている。
    「やりたいやりたい」を叶えちゃうタイプ。
    努力でどうにもなんないものもある。
    日本の芸能界みんなで守ってあげないといけない、岡村隆史。

    【岡村隆史】
    お姉ちゃんと弟のような秘密の関係。
    休業中のはなし。
    キーパーソンは赤の他人。
    その役を買って出た酒井と岡村の当時のはなし。
    コドモが秘密を打ち明けあっているような対談。
    これを読んだあとに27時間の岡村の涙を思い出す。
    めちゃイケ新メンバーオーディションのエンディングでかかってきた電話。
    大泣きしながら「嬉しかったのかもしれない」

    【水道橋博士】
    くよくよしたって始まる!
    誤解から始まった関係。
    ポジションが違うけど、プロ球団にいる気持ち。
    想像してた未来よりずっといい。
    ネットもやらないで生きていける生き方(ダウンタウンの浜田のような)すっごい羨ましい。
    悪文から見る作家性。
    たけしさんじゃくてもいい、俺は。
    シーザーを知るためには、シーザーにならなくてもいい。
    我を忘れて読書をする人が好き。


    濃密なお葬式だった。
    そしてあとがきに現れる0人目の男。
    刮目せよ。

  • 読みながら、ヴォネガットの「だれにとってもいちばん不幸なことがあるとしたら、それはだれにもなにごとにも利用されないことである」と言う一節と、ブルハーツの「馴れ合いは好きじゃないから誤解されてもしょうがない それでも僕は君のこといつだって思い出すだろう(終わらない歌)」がアタマを流れていた。楽しかった。また、泣いた。
    そして、愛や親切は生き辛さの原因となり得るがゆえに誰かにとって寛容でいること、社会の寛容さの代表としてその前に存在すること。そうすることが自分の使命、幸福であると思える時があるんじゃないかと改めて感じた。「木更津キャッツアイ」以来、この女優さんに感じていた魅力とそれを支えるようにあった危うさの訳もわかった。読み終わった今、「酒井若菜が好きだ」と思い切って言おう。

  • 「素顔の岡村隆史」に一箇所だけ酒井若菜の名が載っていて、こちらの本にさかのぼった。岡村が休業中の話をすることはあっても酒井に触れることはなかったように思う。
    こんなに好きな男が多いのは幸せなのか不幸なのかわからないけど、男気あふれる女、酒井若菜。とは言えると思う。この生き方を貫くなら独身じゃないとムリよね。

  • ファンじゃないと彼女には共感できないのかな。
    対談相手が全員男性て言うのもどことなく意図を感じる。
    マギー、ユースケサンタマリア辺りまでは頑張って読んだ。サンボの山口さん、佐藤隆太は面白かったし、この二人は著者の事を少し引いて第三者目線で見てるのが対談ぽい。岡村隆史においては、、、うーん、ごめんなさい気持ち悪い。というか結婚したらいいんじゃない?二人とも随分こじらせてるから上手く行くと思う。辛辣になってしまったが、演技自体は好きな女優さんなので深いところは知らなくて良かったかなと思った。

  • あぁ。泣いてしまった。。
    二度も。

    「岡村隆史」
    「水道橋博士」

    この二人のところで、溢れた!

    こんなに必死に誰かと向き合ったことがあるだろうか?8人の男達を私は選べるのだろうか?

    酒井若菜さんに、
    「それでいいんだよ」と「相手の懐に入ってみな」を教えてもらった気がした。

  • 2017.2.1
    やっと読み終わった。それが一番の感想。
    いくつか気に入った言葉があった。
    公開はしないけど。

  • ビビビときた文章は秘密メモに。

  • 心がおぼつかない夜にという酒井若菜さんの本を読んで、とても感動した。
    他にも酒井若菜さんの本があることを知っていたので、それも読みたいと思った。
    さらに僕はナイナイの岡村さんのファンなので、酒井若菜さんの本に岡村さんとの対談があるということも知っていたので、心がおぼつかない夜にを読み終えてすぐ、ネットで注文した。
    心がおぼつかない夜にも泣いたのだけど、この本も泣いた。
    そして、心がおぼつかない夜に、とも繋がっているところがあったので、さらに心に入り込んできた。
    もしもこの本を読みたいと思っている方がいれば、是非心がおぼつかない夜にを読んでから、この本を読んでみてほしい。

  • すごいカロリーを消費する対談本だ。

    芸能人の対談本は自分の生き様の肯定、プロモーション、暴露など
    話したい筋が少し見え隠れしててそれを確認する作業なのだと思っていたが
    この本はその筋道からは逸れる。

    好きな映画はなんですか?
    男女の友情は成立すると思う?

    そのような言葉だけが強いやり取りではなく
    一見無意味に見えるやり取りをしているように見えるが
    最後にはここに出ている人達を前よりも好きになっていた。

    それを引き出している酒井若菜という
    女優の事も見間違えてたという事を思い知らされた。

  • 8人の男たちとの関係そのものを主なテーマとした対談集。
    やさしさと、つよさがたくさんつまっている。
    もっと酒井若菜を好きになる一冊。

  • 友人から借りた本。
    彼女から酒井さんのブログもメルマガも教わって、素晴らしい書き手さんだと知った。
    今回は対談本ゆえ、彼女らしい透明感に溢れた文章が並んでいるわけではない。
    が、対談後に添えられた数ページずつの文が、対談を先に読むことによって、一層彼女らしい見方や捉え方が浮き彫りになるようで。

    かなりのボリュームだし、内容も濃いので、速読派の自分ですら、少しずつしか読み進めることができなかった。
    一回読み終わったところで、ちょっと脱力している。
    今、二回目に進む元気を集めているところ。

  • 情報量満載でなかなか読み終わらず3か月ほどかけてようやく読了。随所に女性らしさを感じさせる細やかな表現が。若干内輪ネタ的な部分も否めないが読み手を置いてけぼりにするほどでもなく。次作がもしあるなら初めて会う人たちとの対談集なんて言うのも緊張感があって良いのではないかしらん。

  • タイトル通り、8人の男性との対談と
    その人にまつわるエッセイ。
    編集も本人が手掛けたらしく
    なだらかにはせずあえて凸凹を残したような文体で
    良くも悪くもサラリとは読み進めさせない。

    ブログも遡って少し読んでみたが
    それをまとめた本も読んでみたくなった。

    【図書館・初読・6月15日読了】

  • 簡単にレビューが書けない。
    酒井さんがあそこまで言葉を大切にしてる、と分かったから尚更。見られる訳ではないはずなのに、なんだか緊張なのだ。それが敬意なような気もしている。

    ブログも拝見した事なかったし、休業の事も知らなかった。ただ、最近はエッセイが好きなのでミーハー心で読んでみたかった。対談相手に好きな方が多かったのも魅力的だった。
    そうしたら、予想外の分厚さに、まず驚いた。
    ご自身も仰るとおり、タレント本にありがちなもっと読みたい!とならない圧倒的な分量。
    酒井さんとの関係もあるから出てきたお話もたくさんあり、今まで知らなかった側面を知る事ができた。
    岡村さんとの対談は深かった。
    日村さんの太陽な魅力がとても印象的だった。

    正直いって、この熱量は面倒くさい女の匂いもする。ちょっと自分と重なる長文。。
    でも、だからこそ築けた魅力的な男達との関係、そして濃い対談。そして、何かを乗り越えたからこその大きな器。
    ブログも拝見したら結構哲学的な長文が多かったのに、エッセイの文章は的確に削られていて、上手だなと思い、酒井さんの事をもっと知りたくなった。
    酒井さんと素敵な男達の事をもっと知りたいから、また読みたい。

  • あの時の言葉や将来への約束が今の自分を救ってくれている。
    その言葉の中には自分が人のために言った言葉も含まれている。
    酒井若菜の言葉は耳なじみが良く、言い回しがとても好き。
    切ない笑いの言葉で埋めることのできない闇でだからこそ共感できたり、
    自分の存在を叫んで認めてくれたり、
    ネガティブな過去にも自分を救ってくれる部分があったり、
    本人が否定したい部分でも誰かの希望になったりする。
    未来の約束ほど不安なものはない。
    だけど約束があるから「いつか」を見て生きていける気がする。
    岡村隆史の章は何度も泣いてしまった。
    努力が自分を追いつめたとしても、奇跡を起こして勝ち続ける。

  • 薄っぺらい内容なのだろうなあなんて思っていたが、読み出したら鼻血が止まらなくなるぐらいに濃い内容。出てきた人の優しさが伝わり人間っていいなあってなった。

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著者プロフィール

酒井若菜(さかい・わかな)
女優、作家。
96年デビュー。ドラマ『木更津キャッツアイ』や『シングルマザーズ』、映画『恋の門』『遺体 明日への十日間』など
数多くの作品に出演し、最近の出演作にはNHK『透明なゆりかご』などがある。
08年には初の著書となる小説『こぼれる』、12年にはエッセイ集『心がおぼつかない夜に』を発売。
16年には対談+エッセイ集『酒井若菜と8人の男たち』を刊行した。

「2018年 『うたかたのエッセイ集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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