勝ち続ける組織の作り方 -青森山田高校サッカー部の名将が明かす指導・教育・育成・改革論-
- キノブックス (2017年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908059629
感想・レビュー・書評
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・部活動はあくまでも教育であり、人間教育も兼ねるという大前提が、その後の選手たちの活躍に繋がっているということに納得感を感じる。良い指導者である前に、良い教育者である必要があると。Jユースとの対比が何度か登場したあたりからも、非常に大事にしていてこだわりがあるポイントなんだなと思った。
・得意を伸ばすのではなく、苦手を克服する方が出来ることが増えて、結果的に総合力が上がるというコメントも、人によっては意見の違いが出そうだしケースバイケースなのだろうが、教育者としての軸を感じる。特にこの年代は苦手に向き合い克服するという経験を通して、メンタル的にも1つタフになるのだろうし、成長するのだろうなと思う。
・柴崎岳の遠征バスでの行動には驚いた。やはり一流になる選手は、負けず嫌いで向上心があり、自分を客観視して目標を定め、ゴールに向かっていくことが当然のように出来るのだなと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本は、今夢に向かって努力している方、目の前の物事にひたむきに打ち込んでいる方はもちろん、「今夢を追いかけているが、このまま追いかけて大丈夫なのかな」と不安に思っている方、時流的に「夢を追うこと」「好きなことを仕事にする」ということに対して、そんな浮ついた考えで上手くいくのか?と違和感を感じている方にぜひとも読んでほしい本です。
著者は、平成最後の大会でもあった、第97回全国高校サッカー選手権大会の覇者でもある、青森山田高校の監督黒田剛氏。
元ホテルマンで、監督経験なしという異例の経歴を持つ。
しかしながら、1年の3分の1は雪に覆われてしまうグラウンドという環境下において、県内18年無敗の常勝軍団を作り上げ、過去数えきれないほどの有名選手を輩出した監督の「育成論・経験論・指導論・教育論・改革論」を惜しむことなく開示してくれています!
2019年始まってまだ2か月と立っていませんが、おそらく今年でトップ10に入る本に出会ってしまいました。
正直全体的に良すぎて、いい点をピックアップしているとそれだけでワードで何枚にもなってしまいました(笑)
ということで、夢(目標)を追うには圧倒的な努力が必要ということ、耐え忍ぶ経験(失敗や挫折)をするからこそ、「ここ一番の勝負どころ」で戦えるようになる、ということを再認識させてもらった部分だけ、抜粋して紹介します。
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厳しい環境であればあるほど、人は成長できるということを証明してくれる。
どのような環境においても、思考を働かせ、工夫を凝らし、ひたすら行動していくことで、忍耐力や判断力などを身につけられる。
時代とともに大きく損なわれてきたもの
「ハングリー精神」
インターネット、スマホの普及で何でも便利に。おかげで、我慢、辛抱することにストレスを抱き、一つのことに信念を持って取り組めなくなった。欲しいものが容易に手に入れらてしまうため、その分飽きっぽくもなった。
「夢を追う」子供が増えた。
夢を追い求めるのは悪いことではない。
ただ
急増している「夢を追う」子供とは、現実から目を背け、具体的な数値目標を立てず、努力もしないまま、いわば妄想しているだけという子供。
夢実現のための行動が伴っていない。
ウィークポイントを改善、克服することが「努力」であり、それをしらみつぶしに実行した先にプロとしての道が待っている。
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しびれますね。しびれまくりです。「ハングリー精神」というと、世間一般的には時代遅れといった考え方の方が主流な気がしますが、やはり結果を、それも瞬間風速的な短期的なものではなく、長期的に結果を出し続けていくためには上記のような観点が非常に重要になってくると思います。
ちなみに、蛇足ですが世界でも比類なき強さを誇る日本刀のことをふと思い出したので紹介させていただきます。
日本刀は、「玉鋼」と言われる鋼を用いており、重ねては叩いて伸ばしてを繰り返す「折り返し鍛錬」工程を経ることで、硬くしなやかで切れ味の鋭い鋼の刀身を鍛え上げることができるようです。
また、これ以外の製法で作られたものは日本刀とは認められていというから驚きです。
西洋剣にも日本刀と同じような製法にのものもあるようですが、基本は溶かした鉄を流し込んで剣の形するだけのようです。
特に刀に詳しいわけではないので、ここでこの話は終わろうと思います。
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私自身は、様々な経験を乗り越えることで、何度もたたかれ、錬られ、折りたたまれる中で、磨かれ身の詰まった人間になっていこうと改めて決めました。 -
青森山田高校の前監督であり、今年J2でぶっちぎり優勝をした町田ゼルビア現監督。
ステージは違えど、勝ち続ける組織を作っている人のノウハウや考えを知りたくて読んだ。モチベーターとは聞いていたけど、なんかそんな感じはする。
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当然のことながら、出来ていないと改めて気付かされました。
どんなトレーニングをしても、それを取り組む姿勢や考え方は日々の生活とリンクしている。
結果を出すためには、トレーニングの時間(オンの時間)だけでなく、日々の生活時間(オフの時間)をいかに有効に使うかがポイントになってくる。 -
書いてあることは様々な指導書と似たり寄ったり。特にこれと言って特色のないリーダー論やチーム論だった。ただ、保護者が過干渉することにより、子どもの自立が遅れるという記述には思わず頷いてしまう。
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Jリーグユースチームより強い。選手が毎年替わっても強さが維持できる。セレクションで少数精鋭を選抜するわけでもなく、多くの行きたい!と思う子どもを引き受ける。
強さが維持できる理由、それが知りたかった。
そしてその答えを、著者が持っていて、とても共感できた。
指導論、組織論、どれも共感、納得できました。
そしてそれは他の著名なサッカー指導者と共通する部分も多かった。
著者の一番の強みは
「言葉の持つ意味、違いを理解し、それを上手に伝えていること」
・・・だと思います。
将来、ここでやれるかどうかはわからないし
試合に出続けられるチームに入って欲しいけれど、
子どもは自ら考えて、こうした指導者の下で学んで欲しい。
そう思いました。
全てのスポーツに関わる人が読んで欲しい本です。