- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908073311
作品紹介・あらすじ
日本在住の外国人記者二人による迫真のルポルタージュ。東日本大震災を生き延びた6人の証言者(タイ系アメリカ人英語教師、保育園の調理師、漁師、高校生、桜井勝延南相馬市長、原発作業員)への震災直後のインタビューを中心に、客観的視点からバランス良くまとめ、2012年アメリカで出版され話題となる。「民」の驚くべき底力と、政府、東京電力を中心とした「官」と大手マスコミの脆弱、醜悪ぶりが、淡々とした筆致によって鮮やかに浮かび上がる。市民グループ有志の翻訳を元に日本語版として改めて問う。
感想・レビュー・書評
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本書は、日本在住の2人の外国人ジャーナリストによる東日本大震災のルポルタージュで、震災翌年(2012)にアメリカで出版されました。
ある市民団体の読書会メンバーが邦訳し、ひとり出版社〈えにし書房〉が2016年に日本で刊行。もっと早く出会いたかったと心底思う良書でした。
読んでいて、外国人のフィルター越しという印象もなく、事実を誇張・虚飾し、困難に立ち向かう単なる感動記録でもありません。
ここにあるのは、綿密な取材と被災者に寄り添ったインタビューを基に、被災者目線でそれぞれの人生にまで深く立ち入り、悲しみ・怒りなどの感情を丁寧に掬い上げた迫真の記録の積み重ねです。
また、地震・津波・原発の過去の記録、メカニズム、震災前の対策とその後の対応まで、日本のメディアが伝えてこなかった事実、多岐にわたる反省点にも踏み込んで取り上げています。
本書が埋もれたままでは不憫です。全国の公立図書館に置いて、震災を知らない若い世代へ届いて欲しいと願うとともに、震災の姿を世界に伝えた2人のジャーナリストに感謝したいです。
余談ですが、元日の能登半島地震の被災者の方々に、3.11の教訓はどれだけ生かされているのか、国の在り方を見直しているのか、検証が待たれます。
これまで、災害発生時の日本人の冷静さわ忍耐強さ、規律正しさに、世界中から度々賞賛の声が寄せられました。これは日本人の気質として、長所であり誇れる部分でしょうが、悪く言えば現状への自己主張をしない、無関心で事なかれ主義の側面の裏返しでもあるような気がします。
2人のジャーナリストは、この辺の日本人のプラスとマイナス両方の特性を見抜きながら、エールを送ってくれている気がしてなりませんでした。
日本、日本人が問われているようです。「震災の記憶」の風化と戦っていく必要がありそうですね。
内容も、宮沢賢治の精神を継ぐ『雨ニモマケズ』(原題 : STRONG IN THE RAIN)のタイトルも、胸に響く一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
外国人記者ならではの視点で書かれたりもしていて、初めて知ることもありました(フライ人など)。大体の本でもそうですが“国トップの政治家”“東電のトップ”“大手マスコミ”には本当に怒りを覚えます。原発に対する考え方もこの本を読んで、私は変わりました。東日本大震災関連の本は涙なくしては読めないものばかりですね。この本ももっともっと多く方々に読んでもらいたいと思います。あの大きな災害からあまり変わっていない日本、良くも悪くも「やっぱり“日本”だなぁ」と思いました。
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当事者の方々の証言を読み何度も涙が溢れた。誰も止めることが出来ない自然災害、道が一つ違っていたら助かっていたかもしれない命、その中で助け合う人達。
政府や東電への疑問、批判もあり、すんなり読める本では無かったが、正確な事実を報道できない日本社会のまずさは感じた