雨ニモマケズ

  • えにし書房株式会社
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本棚登録 : 46
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908073311

作品紹介・あらすじ

日本在住の外国人記者二人による迫真のルポルタージュ。東日本大震災を生き延びた6人の証言者(タイ系アメリカ人英語教師、保育園の調理師、漁師、高校生、桜井勝延南相馬市長、原発作業員)への震災直後のインタビューを中心に、客観的視点からバランス良くまとめ、2012年アメリカで出版され話題となる。「民」の驚くべき底力と、政府、東京電力を中心とした「官」と大手マスコミの脆弱、醜悪ぶりが、淡々とした筆致によって鮮やかに浮かび上がる。市民グループ有志の翻訳を元に日本語版として改めて問う。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、日本在住の2人の外国人ジャーナリストによる東日本大震災のルポルタージュで、震災翌年(2012)にアメリカで出版されました。
     ある市民団体の読書会メンバーが邦訳し、ひとり出版社〈えにし書房〉が2016年に日本で刊行。もっと早く出会いたかったと心底思う良書でした。

     読んでいて、外国人のフィルター越しという印象もなく、事実を誇張・虚飾し、困難に立ち向かう単なる感動記録でもありません。
     ここにあるのは、綿密な取材と被災者に寄り添ったインタビューを基に、被災者目線でそれぞれの人生にまで深く立ち入り、悲しみ・怒りなどの感情を丁寧に掬い上げた迫真の記録の積み重ねです。
     また、地震・津波・原発の過去の記録、メカニズム、震災前の対策とその後の対応まで、日本のメディアが伝えてこなかった事実、多岐にわたる反省点にも踏み込んで取り上げています。

     本書が埋もれたままでは不憫です。全国の公立図書館に置いて、震災を知らない若い世代へ届いて欲しいと願うとともに、震災の姿を世界に伝えた2人のジャーナリストに感謝したいです。

     余談ですが、元日の能登半島地震の被災者の方々に、3.11の教訓はどれだけ生かされているのか、国の在り方を見直しているのか、検証が待たれます。
     これまで、災害発生時の日本人の冷静さわ忍耐強さ、規律正しさに、世界中から度々賞賛の声が寄せられました。これは日本人の気質として、長所であり誇れる部分でしょうが、悪く言えば現状への自己主張をしない、無関心で事なかれ主義の側面の裏返しでもあるような気がします。
     2人のジャーナリストは、この辺の日本人のプラスとマイナス両方の特性を見抜きながら、エールを送ってくれている気がしてなりませんでした。
     日本、日本人が問われているようです。「震災の記憶」の風化と戦っていく必要がありそうですね。

     内容も、宮沢賢治の精神を継ぐ『雨ニモマケズ』(原題 : STRONG IN THE RAIN)のタイトルも、胸に響く一冊でした。

  • 『雨ニモマケズ』|ネタバレありの感想・レビュー - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/11226487?review_filter=netabare

    Strong in the Rain: Surviving Japan’s Earthquake, Tsunami, and Fukushima Nuclear Disaster: Review
    https://x.gd/4VPit

    Lucy Birmingham:著者紹介|美術館・アート情報 artscape
    https://artscape.jp/dictionary/author/10094125_1827.html

    Lucy Birmingham | FCCJ
    https://www.fccj.or.jp/number-1-shimbun-article/lucy-birmingham

    雨ニモマケズ ルーシー・バーミンガム(著) - えにし書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784908073311
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    (NO Book & Coffee NO LIFEさん)「本とコ」(本と珈琲のない人生なんて)の本棚から

  • 外国人記者ならではの視点で書かれたりもしていて、初めて知ることもありました(フライ人など)。大体の本でもそうですが“国トップの政治家”“東電のトップ”“大手マスコミ”には本当に怒りを覚えます。原発に対する考え方もこの本を読んで、私は変わりました。東日本大震災関連の本は涙なくしては読めないものばかりですね。この本ももっともっと多く方々に読んでもらいたいと思います。あの大きな災害からあまり変わっていない日本、良くも悪くも「やっぱり“日本”だなぁ」と思いました。

  • 当事者の方々の証言を読み何度も涙が溢れた。誰も止めることが出来ない自然災害、道が一つ違っていたら助かっていたかもしれない命、その中で助け合う人達。
    政府や東電への疑問、批判もあり、すんなり読める本では無かったが、正確な事実を報道できない日本社会のまずさは感じた

  • 誰にも恐ろしい話があった。彼の家は跡形もなくコンクリートの土台だけになっていた。自宅周辺は完全に消え失せていた。彼は大声で泣くような男ではない。辛い仕事や、浮き沈みのある人生にも慣れていた。なみだは流すまい、ただ受け入れよう。俺たちはここを再建できる時彼は思った
    東北地方の地形と気候の過酷さによって、当時の人々の生きるための本能は研ぎ澄まされてきた。この地方の冬は厳しく、長い

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