海の本屋のはなし: 海文堂書店の記憶と記録

著者 :
  • 苦楽堂
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本棚登録 : 186
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908087011

作品紹介・あらすじ

2013年9月に閉店した神戸の海文堂書店。あの本屋はなぜ、こんなにも愛されたのか。最後の店員・平野義昌が綴る99年の歴史と、最後まで一緒に働いた仲間たちの声。レジ、アルバイト、実用、外商、教科書、文芸、新書、児童書、人文、そして中央カウンターと海事書…。本の話よりも、棚の話よりも、だれもが皆「お客さまとの思い出」を語った。今、本屋の現場で働く仲間たちに届ける渾身の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • これは読んでおかないといけない気がするので先に登録。
    発売されたら購入する予定です。

  • ふむ

  • 児童書購入でお世話になりました
    閉店してからずいぶん時間がたってしまいました

    三宮や元町はホームタウンみたいに
    親しみを持っているけど
    震災の頃のことは知らなくて
    心が閉じるようなショックを感じました
    ドンクの本の時はどこか遠い昔のような気がして
    物語のように読んでしまいましたが
    …きっと自分の中でショックを受けないように
    活字を眺めるだけにしてた
    今回は無防備だったのかも

    重い気持ちで読み進めていたけど
    古書のところでは明るい気持ちになりました!

    経営者からの一方的な通告で閉店だったとは驚きでした
    この本が非公式本っていうのもそう言ったところがあるのかな

    店員さんとの繋がりが直接みえるような
    昔ながらの本屋さんってもう少なくなってきているんでしょうね
    自分が通った本屋さんも今はもう無いかな

  • 阪神淡路大震災が起きる以前だった。仕事の関係で月に一度、宝塚市
    に通っていた。1泊か2泊になるこが多く、空いた時間は自由に使えた。

    よく神戸を散策した。書店を見掛ければふらっと立ち寄った。本書の
    海文堂書店も、そんな書店のひとつ。多分、2~3回くらいしか訪れて
    いないのだがブックカバーが素敵だったのと、海関連の書籍が充実し
    ていたことが印象的な書店だった。

    仕事をいくつか変わり、箱根の山を越えることもなくなって随分と
    経過した頃、神戸在住の友人から海文堂書店閉店の報せが届いた。

    本書は書店員の目線で海文堂書店の約100年の歩みとエピソード、
    閉店の当日と「その後」が綴られている。

    私は数回、ふらりと訪れた客に過ぎないが、本書を読むといかに地域
    に根付き、愛された書店だったかが分かる。特に閉店が公表されてか
    ら、同店を訪れた幾人もの客が「これからどこで本を買えばいいんだ」
    と口にしている。

    ふと、思い出したことがある。地元駅前には子供の頃から2件の新刊
    書店があった。仮にA書店とB書店とする。売り場面積はB書店の方
    が広かったのだが、私のひいきはA書店だった。

    小学校高学年の頃、毎月母からもらった千円札を握りしめて図鑑を
    1冊ずつ購入するのが楽しみだったし、長じてからは棚を眺めながら
    面白そうな本に出会う楽しみを与えてくれた。

    そんなA書店は駅前の再開発と共に街から姿を消し、再開発後は
    B書店しか残らなかった。海文堂書店の常連客と同様に、私も
    思った。「ああ、これからはどこで本に出会えばいいんだろう」
    と。

    当たり前にずっとそこにあって、これからもあるだろうと思っていた
    ものがなくなってしまう寂しさ。きっと、海文堂書店の閉店を惜しんで
    足を運んだ人たちも、私と同じような気持ちだったのではないか。

    地域に根差した書店は遠くない将来、本当に絶滅してしまうのかも
    しれない。本を愛した店員たちがいて、客に愛された書店があった。

    こうやって、その足跡が書籍と言う作品として残る書店の方が少ない
    のだろうが、きっとどの地域にも、誰にでも、海文堂書店のような
    書店の記憶があるのではないかと思った。

  • 閉店が決まって騒ぐくらいなら普段から通って本を買わなくちゃ。

  • 2年半前に惜しまれながら閉店した元町・海文堂書店の記録と記憶。著者は海文堂に務める前の三宮ブックス時代より、こっちが勝手に存じ上げていた平野義昌氏。100年に亘る海文堂の歩みをひもときながら、話は神戸の書店の栄枯盛衰に筆は及ぶ。以下話個人的回想と嘆き。

    僕が本格的に本を読みだした中学生の頃にタイムスリップすれば、新開地〜三宮までには辻々に本屋があったというのも決して大げさでなく、ハシゴができた。店の規模は小さくともそれぞれが個性を放ち共存していた。震災から20年経ち元町・三宮に現存する書店はわずか2店。神戸はコンパクトシティ。街歩きにはもってこいなのに、そこにはあるべきものが失われ、類似業種が点在する現実。まぁ、この現実は神戸に限った話ではないけど、「衰退業種だから〜」と訳知り顔で片付けたくない現実を噛み締めた一冊。

  • お客さんと繋がっていた本屋。記憶のそばにあった本屋。あたりまえにある(と思っている)存在を大切に。

  • 平成25年、冬。
    真っ暗、がらんどうになった海文堂を見て、しばらく立ち尽くしたのを思い出します。
    そういえば、ニュースで聞いたかもと。

    港町から海の本屋が消えたんだ。
    港町神戸も、終わったんだ。

    学生時代、海の世界を目指す友人と一緒に行ったのが最初。
    その後、神戸を散歩する度に寄ってました。

    常連という立場に無くても、寂しいですね。

  • 今から数年前、神戸の名書店が閉店した。
    閉店のニュースは当時、業界新聞などで随分目にした。その書店、海文堂の閉店までの歩み。
    読むと、往時の賑わい、スタッフの仕事が蘇ってくるよう。 これほど精魂込めて作られていた本屋も閉店を余儀なくされる時代。
    従来の〝あるべき本屋像〟を追い求め過ぎた故の閉店とも想像出来る。
    でもそんな〝想像〟ができてしまう事が尚更悔しくて悲しい。
    こだわりが無きゃつまらない、こだわり過ぎりゃ一般受けしない…難しい時代だ。

  • 地元の本屋を大切にしたい。

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著者プロフィール

平野義昌(ひらの・よしまさ) 1953(昭和28)年、神戸市生まれ。1976(昭和51)年、関西学院大学卒業後、コーベブックス入社。化粧品販売会社を経て、83(昭和58)年、三宮ブックス入社。2003(平成15)年、海文堂書店入社。2013年9月、同店閉店まで勤務。著書に『本屋の眼』(みずのわ出版、2006年)。

「2015年 『海の本屋のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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