クトゥルー 1 (暗黒神話大系シリーズ)

制作 : 大滝啓裕 
  • 青心社
3.52
  • (15)
  • (26)
  • (46)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 341
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915333507

作品紹介・あらすじ

マサチューセット州アーカムにあるミスカトニック大学所蔵の異端書「ネクロノミコン」そこには失われた都市や国々の記録、さらに人類誕生以前の怖るべき暗黒の歴史が記されていた。はるか永却の昔、超越神との闘いに敗れ、星々と地球の奥深く封じ込められた暗黒の神々が今やよみがえろうとしているのだ。幻想文学の巨星ラヴクラフトが創造した"クトゥルー神話大系"ここに開幕。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ・クトゥルーの呼び声★3
     全集でも読んだが、相変わらず主語と述語の間に形容詞が多い。ルルイエの浮上。夢の偶然の一致。眠気が。

    ・破風の窓★4
     ダーレスがHPLの世界観をわかりやすくしたというのが納得の話。そして五芒星を使った魔術的行為は自分が求めていたクトゥルー話のイメージと重なる。

    ・アロンソ・タイパーの日記★3
     HPLの作風に近い。何かが起きそうなところで寸止め。不気味な館と環状列石での日記。

    ・ハスターの帰還★3
     ハスターとクトゥルーの召喚!いいですねー。いあ!いあ!の呪文がまたよい。

    ・無人の家で発見された手記★3
     少年の手記。人の少ない森にすむのは怖いね。「窓に!窓に!」で終わる話と似ている。

    ・博物館の恐怖★2
     蝋人形は不気味だものねえ。でも起きることは地味。

    ・ルルイエの印★4
     今までの受身的話とは違って、能動的。好ましい。ルルイエを捜しに行くとか、わくわくする。

    ・クトゥルー神話の神々★3
     神々の辞典。参考になる。

  • 嗚呼、素晴らしき哉、二次創作の開幕です。『ふんぐるい むぐるうなふ ~~ ふたぐん』な一冊■「クトゥルーの呼び声」まずは原典「破風の窓」ヘンリー・エイクリイの甥が相続した従兄の家の窓〈レンのガラス〉から眺めると!「アロンソ・タイパーの日記」サバト《魔宴》迄のタイムリミット・コズミックホラー「ハスターの帰還」ダーレス神話〈邪神大戦争〉の開始「無人の家で発見された手記」12才ウィリーの泣かせるモノローグ「博物館の恐怖」代作、蝋人形の館「ルルイエの印」大いなる遺産と目覚め「クトゥルー神話の神神」後代による設定集

  • 若い頃より読解力が増したのか、神話設定に対するこだわりが抜けたのか、大変面白く読めた。そもそも人知の及ばぬ世界の知識なので、呪文と怪物がどんな関係か分からなくても不都合はないのだ。 ダーレスによる『ハスターの帰還』にしても登場人物の見解だし、『ルルイエの印』は日本作家の神話作品を読みこなしてしまえば、逆に「こういう話もあるよね」って気持ちになる。 シュブ=ニグラスのサバトで呼び出されるショゴスもいるのだ。

  •  クトゥルフ神話――。それは、アメリカの作家であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトが創始し、フランク・ベルナップ・ロングやクラーク・アシュトン・スミスらが広げ、オーガスト・ダーレスらが体系化した、架空の神話体系です。最初は作家同士で架空の神々や地名や書物等といった固有情報や世界観を創作し、共有し、貸し借りする遊びでした。それに読者も気づいたことで追従者が続出し、それに伴って神話体系も拡大・拡散していきました。
     このシリーズは、創始者であるラヴクラフトと、神話の拡大と体系化に影響を与えた作家らの代表作を掲載したアンソロジー集です。彼らが楽しみつつ広げていったこの異形の世界の扉、あなたは開けることができますか――?

     TRPGリプレイ動画から興味を持ち、全集を購入し、ついにラヴクラフト以外の作品にまで手を出すまでにハマってしまいました。
    ---------------------------------------------------------
    『クトゥルーの呼び声』(ラヴクラフト/1926)
     亡くなった大伯父の遺品を整理していたわたしは、不気味な存在が描かれた粘土板とカルト教団に関する資料を見つける。追跡調査をする内に、ある海難事件の記事を目にし――。
    (TRPG手引書の題名に選ばれる程のラヴクラフトの代表作。短編ながらも物語と世界観は濃密。そのため、のめり込み過ぎてロールに失敗すれば、正気度を減らされること必至だろう。)

    『破風の窓』(ラヴクラフト&ダーレス/1957)
     急死した従兄の遺言により、彼の家を譲り受けて移り住んだわたし。その家は、一階に壁にとても奇妙な曇りガラスが嵌められた丸窓がある破風の部屋が特徴的だった。そして従兄の遺言には、その曇りガラスを粉々に破壊せよ、というとても奇妙な指示があって――。
    (ラヴクラフトの遺稿を元にして書かれたダーレスの作品。終盤で描写される恐怖は、アレを読んでいる小説や観ている映画に置き換えれば、その恐怖がより身近に感じられるだろう。)

    『アロンゾ・タイパーの日記』(ラムレイ&ラヴクラフト/1935)
     オカルト研究家のアロンゾ・タイパーが失踪する。後に発見された彼の日記には、生前に訪れた、忌まわしい屋敷の調査記録が記されていた――。
    (ラムレイの原稿をラヴクラフトが改作(脚色などして新しい作品にすること)した作品。『ダゴン』や『ダニッチの怪』や『インスマスの影』などをかけ合わせたような、過去作へのオマージュを思わせる内容。彼を連れ去ったのは千匹の仔を孕みし山羊か、それとも――。)

    『ハスターの帰還』(ダーレス/1939)
     全ては、エイモス・タトルの死に端を発していた。弁護士であり、エイモスの遺言執行者であるわたしだったが、エイモスの甥であり法定相続人であるポールや判事のウォルトンの異見により、住んでいた屋敷の破壊というエイモスの遺言執行を見送った。それがあのような事態を招くことになるとは、誰が予想し得ただろうか――。
    (あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜ! 『おれはホラー映画のような小説を読んでいると思っていたら、いつのまにか怪獣映画のような小説を読んでいた。』 な…何を言ってるのかわからねーと思うが、おれもどうしてこうなったのかわからなかった…。)

    『無人の家で発見された手記』(ブロック/1951)
     ぼくはウイリー・オズボーン。ここに書いたことはぜんぶ本当のことだと信じてほしい。ぼくは森の中で見たんだ。ひどいにおいのする、ねばねばした緑色の山羊の蹄みたような足跡を――。
    (少年の一人称独白体という、神話作品の中では珍しいジュブナイル小説。子供向けの入門書としては最適だと思う。なお、この作品で登場するクリーチャーは、クトゥルフ神話TRPGでは「シュブ=ニグラスの黒い仔山羊」と認識されている。)

    『博物館の恐怖』(ヒールド&ラヴクラフト/1932)
     ジョーンズは悪趣味な博物館の主人の不興を買ってしまい、猟奇的またはグロテスクな作品が展示される博物館の中で一晩を過ごすことになってしまう。なんとか心を落ち着けて耐え忍ぼうとするジョーンズに襲いかかってきたものとは――。
    (ヒールドの草稿を元にラヴクラフトが代作(その人に代わって作品をつくること)した作品。登場人物が神話生物をたわごと――フィクションと認識しているという、メタフィクショナルでセルフパロディな内容になっているのが異色で、かつクトゥルフ神話的ホラー作品として成立しているのが面白い。浅黒い肌の助手なんか明らかに「這い寄る混沌」っぽいし。あと「次元をさまようもの」の正体は、原作がっかり神話生物ランキングでベスト3に入ると思う。)

    『ルルイエの印』(ダーレス/1957)
     インスマスの旧家であるフィリップス家の末裔であるわたしは、亡くなった叔父の遺産を受け継ぎ、インスマスにある家に住むことになった。家政婦としてアダという女性を雇ったのだが、彼女は何やら目的があるようで、家事の傍らで家探しをしていた。はたして彼女の、そして叔父の秘密とは――。
    (インスマス/ディープワンズ作品群に連なる一編。謎解きとラブロマンスの味付けにより、ラヴクラフトの作風とは一味違う味わいになっている。インスマスを舞台とした過去の作品と地続きのため、『インスマスを覆う影』(ラヴクラフト)と『永劫の探求』(ダーレス)を読んでから読むといいだろう。)

  • 一回は読んだことがあると思っていたのだけれど、別のシリーズだったみたいだ。『無人の家で発見された手記』『博物館の恐怖』に全く覚えがない。
    覚悟はしていたけれど、読みにくいったら。訳というよりは原文の時代的なものだろうか。とはいえ、散りばめられた神話の諸々にときめかずにはいかず、しばらくシリーズをおってみよう。

  • 元々興味あって読んでみたら、沼にハマりそうな予感。
    あんまり神話生物とかよく分からんから、用語辞典も購入した。次からは用語辞典片手に続きを読むことになりそうだ。

  • クトゥルフ神話体系の代表的な作家「ラブクラフト」「ダーレス」の作品が載っていて、かつ初歩的な神話体系の説明が話の中で語られている

    「ラブクラフト全集」もまた怪奇小説マニアとしてはたまらない作品ではあるが、今日のクトゥルフ世界観はラブクラフトの設定を元にダーレス等が加筆したものであるので、そちら(特にクトゥルフ神話TRPG等)を知りたい方はこちらのシリーズをオススメする

  • ラヴクラフトとクラーク・アシュトン・スミスは好きだけど、ダーレスは二番煎じのイメージでクトゥルー神話系はあんまり読んでいなかった。
    初版1988年のこのシリーズはホラーマニア向けではなくて、クトゥルーの系統が割りとわかりやすい感じにまとまってて読みやすい。
    ラヴクラフトのクドくて壮大で大げさな語り口はホラー的としての怖さというより、世界観の異常さが面白い。

    余談。図書館で借りましたが、汚損が激しいのが哀しい。チョコ?やコーヒーの黒いシミで文字が読めない箇所もあるほど。借りる年齢層が若いのは予想つくけども。
    古い本を良く借りるけど、経年変化で傷んでいるのは多くても、こんなに食べ物の汚れがあるのは他では見た事ない…

  • 定期的に読みたくなるというね…魔的な魅力があります。ラヴクラフトの作品は想像力を掻き立ててゾクゾクする。闇の真実へ近づいてしまった者の恐怖と狂気。ブツ切れで終わる後味の悪いラスト。…あえて体系だてる必要はなかったんじゃないかなぁ。

  • やっぱりラブクラフト御大の書いたのが面白いなぁという印象。
    ホラーとしては、登場人物の恐がり方が微妙に理解できず、そう怖い感じじゃないってのが難点ですかね。
    もちろん、最近の小説でクトゥルーネタが多くて慣れちゃっていてそういう印象なのかもしれませんが。
    ダーレスが紹介をし始めた頃はホラーとして成り立っていたのかも。

    で、そのダーレスの話は、ちょっと説明しすぎな印象。
    大系としてまとめたかった気持ちもわかるけど、物語としてテンポ感がないのはどうかと。

全20件中 1 - 10件を表示

H.P.ラヴクラフトの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×