渡辺荘の宇宙人: 指点字で交信する日々

著者 :
  • ヴィアックス
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784915513398

感想・レビュー・書評

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  • 誰の語り口調に似ているのかな…と思いながらページをめくっていたけど、椎名誠!なるほどそうかも似てるかも

    内容は簡単に笑っていいのか悩むものも多いけれど、それより生きることはユーモアをもっていれば大丈夫だと感じる

    人とのつながり、コミュニケーション、「夢」、新しい経験…生きる喜びを、感じるセンサーを高めて、表現していきたい

  • 図書館で。
    盲ろう者、という言葉を初めて知りました。不便だろうし大変な毎日だろうなぁ。でも創意工夫とユーモア心で過ごされてるんだなぁということが文面から伝わってきました。
    変な言い方かもしれませんが生命ってたくましいな、とも思いました。

  • 914.6
    先に読んだものと内容がかなり重なっていたため初読みの箇所だけ拾い読み

  • 先に福島さんの『生きるって人とつながることだ!』やら、途中でちょっと止まっているが『盲ろう者とノーマライゼーション』を読んだこともあり(これらの本には、この『宇宙人』本からの再録がそこそこあるので)、半分くらいは読んだものだったけど、この福島さんが30代前半の頃にまとめた本は、これはこれで若さといきおいと、そしてやはり笑いがあって、楽しく読む。

    若い頃の写真をみると、福島さん、めっちゃ細い!そんな細い写真をちらっと見ながら、チャーシュー話に大笑い。

    盲ろう者が海で泳ぐための工夫として(自分の位置を確認することができないので)福島さんが考え出したのが"海における宇宙遊泳的盲ろう者遊泳法"。「母船」であるボートから、「命綱」として長いロープをのばし、それを腰に巻きつけて、ロープの届く範囲を自由に泳ぐ。

    あるとき、その遊泳法により、といっても、その日はボートが出せなかったので、「命綱」を大きな浮き輪に結び、その浮き輪に友達が座って「母船」の役割をはたしてくれて、海で泳いだという日、しばらくして浜にあがり、友達がサンダルの砂を捨てている間、福島さんはロープの束を持ってぼんやりと立っていたそうだ。

    友達が笑いころげている、指点字も震えるほど笑いころげている。何?何?と聞く福島さんに友達の答え。

    ▼「おたく、やっぱりおかしいよ。ピンクのひもを大きなおなかに巻いてさ。肩から何重にも巻きつけてぼーっと立ってるんだもん。思わず『チャーシュー』って言葉思い出しちゃった。ギャハハハハ」
     何がギャハハハハ、だ。憮然とした私だったが、ピンクのひもを巻きつけた「巨大なチャーシューのかたまり」を連想し、思わず私も笑い出してしまったのだった。(p.39)

    これは「スポーツ」と題された一文の終わりのところ。盲ろう者にとって、スポーツを気軽に楽しめないという問題があると福島さんが書く内容は、たしかになかなか難しいなあと思わせる。自由に開放的に好きなときに(それはサボるのも好きなときにという意味も含む)スポーツを楽しむ"宇宙遊泳的遊泳法"みたいな方法と一緒に笑って楽しめる人がいれば、たとえチャーシューでも、それは何よりなこと。そうよなーとつくづく思った。

    かつて全盲だった福島さんは、聴力を失うまでは、「視覚障害を補う適切な援助があれば、健常者と同等・互角に生きていける、そのことが目標だ」と思っていた時期があるという。しかし、その考えは、盲ろうになって変わったという。

    ▼移動やコミュニケーションにおける適切な援助が大切なのはもちろんだが、それらは、健常者と、"同じに"生活できることが目的なのではなく、盲ろう者がそのハンディとともに、自然に豊かな人生を送るためにこそ必要なのだと思う。(pp.73-74)

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著者プロフィール

1962年生まれ。専門は障害学、バリアフリー論。9歳で失明、18歳で失聴し、全盲ろうとなる。東京都立大学(現・首都大学東京)大学院人文科学研究科教育学専攻博士課程単位取得。現在、東京大学先端科学技術研究センター教授。博士(学術)。
社会福祉法人全国盲ろう者協会理事、NPO東京盲ろう者友の会顧問、世界盲ろう者連盟アジア地域代表。主な著書に『盲ろう者とノーマライゼーション』(明石書店、1997年)、『生きるって人とつながることだ!』(素朴社、2010年)がある。

「2011年 『盲ろう者として生きて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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