クリスマス・キャロル

  • 太平社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784924330160

作品紹介・あらすじ

クリスマス・イブの夜、情け知らずの孤独の老人スクルージの前に、7年前に死んだ友人のマレーの幽霊があらわれます。生前の行いを後悔し、苦しむ彼は、スクルージに忠告を与えるためにやってきたのです。続いてあらわれる3人の幽霊たち。そして、次々にうつしだされる、過去、現在、未来のクリスマスの影…。スクルージのかたくなな心は、しだいにクリスマスの意味にめざめていきます。

感想・レビュー・書評

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  • この季節になると毎年読み返す。
    岩波・角川・新潮社・・と様々な出版社から出ているが、ツヴェルガーの挿絵入りで読んでみた。縦長の大きな判型で、大人向けの豪華挿絵本といったところ。
    Lisbeth Zwergerの絵さえあれば良いというファンの方が相当数いそう。
    私もそのひとりだけど、やはり最初から読んでみた。

    クリスマス・イヴの夜。
    お金が一番と信じ込んだ情け知らずで孤独な老人・スクルージの前に7年前に死んだ友人・マーレーの幽霊があらわれる。鎖をひきずり、長く辛い旅を続けているマーレーは、スクルージに忠告を与えてくれるためにやってきた。
    更に3人の幽霊たちもあらわれ、過去・現在・未来が次々に映し出されていく。。

    最大の読みどころは幽霊たちが見せる世界だろう。
    スクルージがどうそれを受け止め、その後どう生きたか。
    幽霊たちが彼を変えたわけではない。
    スクルージの中でがっしりと蓋をして眠っていた部分が、過去と未来を確認し、現在を見つめ直すことで姿をあらわしたのだ。
    1843年の発表作というから今から177年も前の作品ということになる。
    日本なら黒船がやってくる少し前。そんな時代から読み継がれている。
    何度読んでもさすがの名作で、今更と言われようが魅力は色あせていない。

    「おとぎ話だ」「出来過ぎだ」という声もあるかもしれない。
    それでも気づきの奇跡は胸をうつものがある。
    私も少しでも変わったのだろうか。
    今年こそ、今度こそと思うだけの日々だが、この本を読む意義は捨てたくない。
    せめて彼の甥・フレッドのように明るく感謝して生きられたらと願っているがそれさえ困難な時もある。
    [スクルージは自分の心が思う存分笑えば、それでもう十分でした]
    今年もありがとう、ディケンズ。

    ほぼ完訳なのでテキストはぎっしり。挿絵は数ページに一枚といったところ。
    場面の切り取り方が斬新で、スモーキーな色彩が19世紀英国の風俗を感じさせる。
    表紙は二人目の幽霊におびえるスクルージ。場面を追うごとに彼の表情も変化していく。
    尊敬するというアーサー・ラッカムの絵に多少似ているかな。
    マーレーの幽霊と対面する場面では、背景のタイルの一枚一枚に絵が描かれている。
    そんな発見も楽しくて、何度も目を凝らしては見入った一冊だった。

    (クリスマス本のカテゴリーを立ち上げてみました。お役に立てたら嬉しいです)

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      hiromida2さん
      このスレの発端は1年も前だったのか、時が過ぎるのが早くて嫌になってしまう。。。

      nejidonさん
      お帰り...
      hiromida2さん
      このスレの発端は1年も前だったのか、時が過ぎるのが早くて嫌になってしまう。。。

      nejidonさん
      お帰りをノンビリお待ちしております、、、
      2021/12/09
    • hiromida2さん
      猫丸さん、
      ホントですよね、時の流れははやいけど…
      私もnejidonさんを
      のんびりとお待ちしています。
      私の時間ある限り…。
      もう一度、...
      猫丸さん、
      ホントですよね、時の流れははやいけど…
      私もnejidonさんを
      のんびりとお待ちしています。
      私の時間ある限り…。
      もう一度、じっくりと
      クリスマス.キャロルを読みながら、、
      2021/12/09
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      hiromida2さん
      にゃ〜ん
      hiromida2さん
      にゃ〜ん
      2021/12/09
  • チャールズ.ディケンズ 作
    リスベート.ツヴェルガー 絵

    ブク友さんのレビューから、以前にも読んだか?
    映画で観たこともあろうかと思いましたが、
    クリスマスの夜に、猛烈に読みたくなり しかも、私の大好きなツヴェルガーさんの挿絵ともなれば
    ワクワクしないわけにいかない…!
    が、しかし、やはり…と思ったが、昨年のクリスマスの日は図書館で借りようとしても、予約できる範囲の図書館も含め どれも、貸し出し中であった。
    結局、年明けの今に至ったわけです(^^)
    ま、しかし、いつ読んでも構わない内容だし
    すごい作家さんだから いつ読んでも心に響く
    私の中では…ディケンズといえば
    「オリバー.ツイスト」を思い出してしまうのだが…
    作家の伝えたいことは、どの物語にも共通するテーマだと思うし、改めて心に宿る作品だと思う。

    1800年代の、ヴィクトリア時代のイギリスを代表する作家。元は新聞記者で、弱者の立場から社会を風刺する小説を多く手掛けており、随分作品が映画にもなっています。
    イギリスでは国民的作家であり、紙幣の柄にもなっているディケンズ 名を聞けば こんなに古いのに
    誰でも、名前に聞き覚えがあるような著名な作家。

    そんな彼の名を世界に知らしめたのは、やはり
    『クリスマス・キャロル』だったのかな。

    彼は58歳で死去されてるとのこと 早い…( ; ; )その墓碑には
    「故人は貧しき者、苦しめる者、そして虐げられた  者の共感者であった。
     その死により、世界から英国の最も偉大な作家の1人が失われた」と記されているという。

    強欲で心さみしい…主人公スクルージを通して
    過去、現在、未来へと 幽霊が見せてくれる世界
    暗い影が ラストには光へと導いてくれる。


    「世の中には、幸せを感じること、喜びを与えられることがいくらでもありますよ」

    「 世の中はうまくなっているもので、病気や悲しみは伝染するが、
    その一方で笑いや喜びもとても移りやすいものなのだから
    道理にかなっているということだ。」

       『クリスマス・キャロル』より引用

    ツヴェルガーさんの絵も、やはり素敵だけど
    やはり…ディケンズの作品は、こちらに語りかけてくれる優しさに溢れていた。

     人は時に強欲で、自分以外の者に関心を持てない
     でいたりしても、小さくて弱い生き物
     一人で生きてる訳じゃない 
     そのことを思い知る大切さを感じ
     誰かに何かを感じて、生きる喜びを見つける
     自分の人生を振り返る時間、感謝のひとときを
     常に心に反芻して生きていけたらなぁって
     思わせてくれる作品でした。

    • nejidonさん
      hiromida2さん、こんばんは(^^♪
      この本、読まれたのですね!
      本書の良さが伝わる、しみじみと素敵なレビューです!
      ディケンズ...
      hiromida2さん、こんばんは(^^♪
      この本、読まれたのですね!
      本書の良さが伝わる、しみじみと素敵なレビューです!
      ディケンズはいいですよねぇ。
      私は「大いなる遺産」が好きで何度も読みました。
      映画も見ましたよ。イーサン・ホークとデ・ニーロの。
      ただ感動させるだけでなく、何かしら宿題を残す作品を書くのが上手い人ですね。
      そうだ!遅ればせながら・・
      今年もよろしくお願いします(*'▽')
      2021/01/05
    • hiromida2さん
      nejidonさん、今晩は!
      新年おめでとうございます。
      時間も、遅く失礼します。nejidonさんのレビューに惹かれて 読みました 本当に...
      nejidonさん、今晩は!
      新年おめでとうございます。
      時間も、遅く失礼します。nejidonさんのレビューに惹かれて 読みました 本当に良書だと思います。ありがとうございます。
      そうそう、そうでした!
      私も「大いなる遺産」大好きな作品です
      映画も、観ました 配役の俳優さんも好きでした 何だか、懐かしい(^.^)
      やっぱり、ディケンズって 素晴らしい作家さんですね 納得!
      今年も、nejidonさんの色々な本の紹介楽しみにしています。今年も大荒れの状況下に始まりましたが、、今年もよろしくお願いします
      nejidonさんのパワーを頂いて 頑張ろう!
      ありがとうございます(^^)
      2021/01/05
  • 忘れていなかった。
    この幽霊騒ぎの最中にも、これがすべて、ジェイコブ・マーレーが自分のためにしてくれていることだということを。

    ほんとにね、幸せなことですよ。
    こんなに人から想われて。

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著者プロフィール

Charles Dickens 1812-70
イギリスの国民的作家。24歳のときに書いた最初の長編小説『ピクウィック・クラブ』が大成功を収め、一躍流行作家になる。月刊分冊または月刊誌・週刊誌への連載で15編の長編小説を執筆する傍ら、雑誌の経営・編集、慈善事業への参加、アマチュア演劇の上演、自作の公開朗読など多面的・精力的に活動した。代表作に『オリヴァー・トゥイスト』、『クリスマス・キャロル』、『デイヴィッド・コパフィールド』、『荒涼館』、『二都物語』、『大いなる遺産』など。

「2019年 『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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