- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784924420526
作品紹介・あらすじ
JRの夜行列車86本すべてを対象に、実現可能な改善策を提示。「夜行列車」再生への提言。
感想・レビュー・書評
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JR西が、人気の「トワイライトエクスプレス」の運転を来春までで終了すると発表しました。
車両の老朽化(元元新造ではなく、改造車両で走らせてゐた)を原因に挙げてゐますが、それよりも北陵新幹線の延伸による在来線の切り離しが大きいのではないでせうか。利用者の減少によるものではないだけに、まことに残念な気がいたします。ま、JR西としては、新たに走らせる超豪華列車の方で頭がいつぱいなのかも知れません。
車両を新造した「カシオペア」「サンライズ」以外の夜行列車は消えるのではないか、と以前から心配されてきましたが、いよいよそれが現実にならうとしてゐるのであります。
寺本光照氏による『これでいいのか、夜行列車』は、JR発足後まだ数年といふ時期の著書で、本書によると当時の夜行列車は特急急行快速含めて86本もありました。うーん。国鉄末期には「随分と減つたな」といふ印象でしたが、それでも今から考へるとまだまだ走つてゐたのです。
だいたい「これでいいのか」と問ひかける場合といふのは、「このままぢやいけない」と主張したい時でせう。実際、夜行列車についてはほとんど手を打たなかつたJR各社。現在の惨状が「これでいいのか」の強烈な返答となつてゐると申せませう。
夜行列車離れの原因については、「不便な時間帯」「高すぎる利用料金」「車両施設の陳腐化」「夜行バスや航空機の充実」等等挙げられてゐます。
寺本氏の主張をことごとく逆に行く政策で、国鉄が分割民営化された時点で、すでに将来の夜行列車全廃が視野に入つてゐたのでせう。
個人的に口惜しいと思ふのは、夜行列車の愉しさを知らずに一生を終る人が多いといふことですな。わたくし自身は、夜行列車には恐らく平均的日本人よりも数多く乗つてゐて、その愉快さを知悉してゐると自負してをります。
向ひのプラットホームでは通勤帰りの乗客で溢れる電車。それを眺めながらこちらでは個室寝台で一人宴会しながらの旅立ち。こんなに幸せでいいのかね、と申し訳ないほどであります。
かういふ愉悦をもつと多くの人に経験してもらひたい。しかし、肝心の列車がもう無い...
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