葬式ごっこ (TOKYOブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784924644199

作品紹介・あらすじ

すべての親と子よ、この現実から目をそらさないで欲しい。ドキュメント東京中野富士見中学校「いじめ自殺!」

感想・レビュー・書評

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  • 1辺が1メートルにも満たない地下食堂街の暗いトイレ。トイレのフックに首を吊って自殺した少年がいる。中学2年生の鹿川裕史(しかがわひろふみ)君。1986年の寒い冬のことだった…。自殺の原因はいじめだ。当時は新聞などで大きく取り上げられた。その理由は、彼が生きているときにされた「葬式ごっこ」だ。クラスメイトが追悼色紙を書いた。注目されたのは、その色紙には教師4名が署名していたことだ。彼の担任はいじめがあったことを知っていた。そして彼が自殺した後、彼の家に電話をし「色紙を隠してほしい」と頼む。
    教師も人間だ。自分の事が一番可愛いだろう。けれども「その行動はだれのため?」と常に問う必要がある。生徒に「色紙に署名をしてください」と頼まれたとき「この色紙に書くのは誰のためだろう?」と問う。いじめを知っていたのに何もしないのは「いったい誰のためなんだろう?」と問う。教師になってこれを大切にしたいと実感した。

    いじめの内容を読んでいると大津市のいじめ事件を思い出す。大津の中学校は道徳教育研究校に指定され、1番のスローガンを「いじめをなくす」にしていたそうだ。その影響もあってか、教師たちは自殺した少年のことを隠した。それっていったい誰のためなんだろう。ちなみにこの事件でも「葬式ごっこ」がされていたと言われているが、報告書では「そのような事実はない」と記している(大津市立中学校におけるいじめに関する第三社調査委員会「調査報告書」 p.27)。この報告書、読み応えがあるので、ぜひ読んでほしい。

    俺だってまだ死にたくない。
    だけどこのままじゃ「生きジゴク」になっちゃうよ、
    ただ俺が死んだからって他のヤツが犠牲になったんじゃ、
    いみないじゃないか、
    だから、もう君達もバカな事をするのはやめてくれ、
    最後のお願いだ。

    「俺だってまだ死にたくない」という遺書を書き、自殺する彼の心境。
    …想像できない。

    (まっちー)

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