しあわせなモミの木

  • 童話屋
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784924684638

感想・レビュー・書評

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  • 静かなお話が多いシャーロット・ゾロトウの、これもまたとびきり静かなお話。
    版が小さめでテキストも多いため読み聞かせには難易度が高め。
    と言うよりも、大人向けのクリスマス本として、この冬ぜひどうぞ。植物好きな方には特に。

    お話の舞台は、アメリカのとあるセレブな住宅街。
    長四角の家が整然と立ち並ぶ美しい街並みに、一軒だけあるみすぼらしい空家。
    そこに住むことになったのはクロケットさんというおじいさん。
    自らの手でどこもかしこも綺麗に磨き上げてしまうため、変わり者の烙印を押されてしまうが、クロケットさんはいたって幸せにニコニコ暮らしている。
    ある日クロケットさんは、花屋さんで枯れかかったモミの木を一本買ってくる。そこから始まる物語。。。

    このお話を好きな友人が、クロケットさんを見ていると私を思い出すのだそうだ。
    いや、どんなに努力しても「おじいさん」にはなれそうもないのだけど(笑)。
    植物に話しかけて育てるところが特に似ているらしい。
    「いやいや、誰でも植物には話しかけるでしょ。可愛いもの」「いやいや、話しかけないでしょ、返事のない植物だもの」・・というのがその時の会話。
    お好きでない方には笑われるかもしれないが、話しかけるとその植物の気持ちが分かるのだ。今どうしてほしいのか、すぐに分かるようになる。社交辞令など言わないのが植物というものなので。

    クロケットさんもそういう人だったため、モミの木はやがてスクスクと育つことに。
    最後の方で、大きく育ったモミの木にたくさんの野鳥が集っている場面が素敵。
    飾りつけなど何一つなくても、小さなモミの木は最高のクリスマスツリーになっている。もうひとつ素敵なところは、鳥たちや子どもたちはクロケットさんのことを分かっていたということ。
    見せかけのきらびやかさより、心の内にある輝きが大切と言うメッセージが、温かく伝わってくる。そして、「生きているものたちは、みんなおたがいに気持ちがつたわる」ということも。

    ところで、モミの木に飛来する野鳥の中に、真っ青な「ブルージェイ」という鳥と、赤い「カーディナル」という鳥がいるのだが、それぞれ「アオカケス」「ショウジョウコウカンチョウ」という分かりやすい分類名がある。
    残念ながら生息地がアメリカなので、日本では見ることが出来ないが、挿絵の中でそれは美しい色で描かれている。
    この季節に読みたい、静かで慎ましい作品。

    • nejidonさん
      5552さん、こんにちは♪
      再訪してくださり、ありがとうございます!
      うわぁお!大勢のにゃんこがいるという共通点に俄然嬉しくなっておりま...
      5552さん、こんにちは♪
      再訪してくださり、ありがとうございます!
      うわぁお!大勢のにゃんこがいるという共通点に俄然嬉しくなっております。
      一番多かった時で30匹ほどでしたが、今は16匹までになりました。
      どの子も愛おしいですよ=ええ、毛だらけになってもね・笑
      子ども時代からずうっと猫がいる家で育ったので、いないというのは考えられないのです。

      「素晴らしき哉、人生!」は、何度観ても泣けますよね。そして深く考えさせられます。
      私は人間を丁寧に描いた作品を観たいので、どうしてもクラシックになります。
      (新しいものでも良作はたくさんありますけどね。)
      小津作品も溝口作品も黒沢作品も、全部観ました。
      300円のDVDで見られるなんて、贅沢な話です。
      映画製作者へのリスペクトをあまり感じませんが(笑)観る側としてはありがたいですね。

      2017/12/08
    • 5552さん
      またきてしまいました。
      nejidonさんがリアル大島弓子さんだったとは!
      ごめんなさい、大島さんもリアルでした...。
      私はレベルが...
      またきてしまいました。
      nejidonさんがリアル大島弓子さんだったとは!
      ごめんなさい、大島さんもリアルでした...。
      私はレベルが全然違いまして、今は3匹です。
      一番多かったときで7匹でした。
      それだけにゃんこがいれば、大島さんの『グーグー』シリーズは他人事ではなかったのでは?

      nejidonさんはクラシック映画がお好きなんですね。
      クラシック映画の名作は今お手頃な値段でDVD が出ていますよね。レンタルも100円以下で見られますし。贅沢を享受しているのに慣れてしまっていたのでお言葉にハッとさせられました。たしかにリスペクトが薄いかも(笑)
      あげられた日本三大監督もまともに観てこなかった映画人生なのでこれからでも観てみたいと思っています。
      基本‘なんか変’‘なんか可愛い’な映画が大好きなのでそれも追いかけつつ...。

      またおすすめの映画があれば教えてください♪

      お邪魔しました。

      2017/12/08
    • nejidonさん
      5552さん、ありがとうございます!
      お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
      大島弓子さんは(あ、一度言いましたね)私のバイブルです...
      5552さん、ありがとうございます!
      お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
      大島弓子さんは(あ、一度言いましたね)私のバイブルです。
      恐れ多くもあの方にたとえていただけるとは・・まぁお恥ずかしい。
      こちらは田舎なので野良ちゃんがたくさんおりまして、その子たちを捕獲して施術して、の繰り返しです。
      自治体からの補助は一切ないので、同じことをしている友人と「貯金は使い果たした」と
      泣き笑いしております。
      いいのいいの、それでもなんでも好きだから。
      5552さんのように3匹くらいだと、ひとりずつをよーく見られて良いんですよね。
      大勢だと、具合の悪い子を見逃していないか、いつも気になります。

      「なんか変」で「なんか可愛い」映画は私も観ますよ。
      最近は「奇人たちの晩餐会」を観て大笑いしました。
      下品にならずに笑わせるって難しいのですが、そこが上手いこと出来ていました。
      5552さんのレビューを読ませていただくと、映画鑑賞に情熱を持ってらして羨ましいです。
      私も「今一度」と思いながら、手近なクラシックで間に合わせてしまいます。
      こちらこそ、楽しいレビューをいつもありがとうございます。
      またお伺いしますね!
      2017/12/11
  • 久しぶりのゾロトウ絵本。
    クリスマスの夜の読むのにぴったりでした。クリスマスの日のアメリカの街の息遣いが見える。心温まるお話で、幸せなひと時を過ごせました。

    みなさま、メリークリスマス。

  • 枯れそうなモミの木を大切に慈しんで育て、美しい自然なツリーになるところが素敵♡
    こういう信念を持つ人にあこがれます。

  • ゆっくり時の流れる絵本です。少しずつ年月をかけていかなければ、実らない事を児童向けに表現したお話は、現代では少ないでしょう。冬になると読みたくなる、大好きな一冊です。高学年向きかな?

  • ルース・ロビンスさんの描く、建物の色合いが大好き。変わり者だと思われても、毎日を丁寧に暮らすことの大切さを教えてくれます。偏見や先入観なく物事を見ることができるのは、いつも子どもなのかもしれません。でも、タイトルはクロケットさんではなく、あくまでもモミの木。なかなかオツなクリスマス絵本です。

  • クロケットさんの暮らしぶりは
    モミの木も街の人にも幸せをもたらしている。

  • もうすぐクリスマス、ということで。

    売り物にもならなかった枯れたモミの木を育てるクロケットさん。
    「枯れているように見えるが、この木は立派に生きている」
    にっこり微笑み、子供に語りかけるようにモミの木に優しく話しかけながらせっせと育てる。
    来る日も来る日もモミの木に水をやり、まわりにパンくずをまく。
    やがて大きく育ったモミの木のまわりに集まる色とりどりの小鳥達と、そのまわりに集まる子供達。
    優しく穏やかなクロケットさんの作ったクリスマスは幸せの証。

  • 絵が、優しくてとっても素敵な絵本です

  • 図書館本。次女が手にとったら「これ面白いよ。(次女には)ちょっと長いけど。」と。そういう共有できる2人の関係がとても羨ましく嬉しい。風変わりなおじいさんがやせ細ったモミの木を植えて、大事に根気よく育て、立派なモミの木になります。

  •  読メのおかげで、いつも素晴らしい作品に出会えています。お友達に感謝です。シャーロット・ゾロトウ「しあわせなモミの木」、1991.11発行。花屋のすみに置かれた枯れたモミの木を買って帰り、一日も欠かさずモミの木の世話をし続け、木のまわりには鳥のためにパンくずをまいたクロケットさんのお話です。植物や動物を大切にする優しい気持ちを育む素晴らしい童話・絵本です。

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著者プロフィール

1915-2013年。米国ヴァージニア州生まれ。ウィスコンシン大学卒業。出版社で50年以上にわたり児童図書の編集者として活躍するかたわら、絵本作家として60冊以上の作品を出版。主な絵本に『うさぎさんてつだってほしいの』(冨山房)、『かぜはどこへいくの』(偕成社)、『ねえさんといもうと』(福音館書店)、『あらしのひ』『いつかはきっと』(ほるぷ出版)、『はるになったら』(徳間書店)などがある。

「2018年 『かあさん、だいすき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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