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- / ISBN・EAN: 9784924938298
感想・レビュー・書評
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乗り物や働く車の絵本といったら、もっとシンプルなストーリーを頭に描いていたが、バージニア・リー・バートンの場合は、息子達のために描いたパーソナルな部分と、1942年発表のコールデコット賞受賞作、「ちいさいおうち」とも繋がるような普遍的で大切なことを教えてくれた、絵本作家の部分とが見事に調和した、働く車が好きな子どもに限らず、お勧めできる絵本です。
デビュー作「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」は、バートンの長男アーリスのため、二作目となる本書は、次男のマイケルのために描いており、前者は、まさに元気ないたずらっ子そのものといった印象の機関車を、はつらつと描きながらも、親子愛の素晴らしさを感じさせてくれた作品で、後者は、どんなことがあっても、頑なにスチーム・ショベルの、「メアリ・アン」と共に生きていくことを誓う、「マイク・マリガン」の、その信頼を込めた眼差しには、機械へのそれというよりも、一人の、かけがえのない友人としてのそれを強く感じられた、友情の素晴らしさである。
そうした長い付き合いの末に築かれた確かな絆は、たとえ、科学の進歩により、新式のガソリン・ショベルや、電気ショベル、ディーゼル・ショベルが発明されて、彼らの仕事が取り上げられてしまい、他のスチーム・ショベルが次々とくず鉄にして売られたり、砂利堀り場の穴に捨てられたりしても、マイクだけはそうできなかったことからも感じさせられて、それだけメアリのことが大好きだったのである。
そして、そこには仕事の利便性や効率性の向上は一切関係ない、誰と一緒に仕事をしていくことを人生の喜びとするかだけの思いがあると共に、時代の流れに左右されない、恒久的にひとつのものだけを愛し続ける素晴らしさも感じられ、それはまるで、子どもがいつまでも大切に側において、決して手放そうとしない、ぬいぐるみのような一心同体の様には、本書の、たくさんの人に見られるほど、仕事の成果がより良いものになることが、彼らそれぞれの存在価値を認めてくれるようにも思われた、それぞれにとって大好きなものの価値が認められたような、この上ない喜びである。
また、そんな大きな仕事を達成することが出来たのは彼らだけではなく、『そこで一緒に働いた人たち』もいたからであることを、何度も繰り返し書いている点には、バートンの絵本作家としての眼差し、『世界はどのようにして成り立っているのだろうか?』といった、主役は彼らなんだけれども、そういった現実的な視点も同時に絵本の中で展開していることには、読んでくれる人達へ向けた外的な思いと、次男マイケルへ向けた内的な思いとが両立しているような、より本書を味わい深いものとしている部分であり、そうした視点には、本書の山場で彼らの前に現れる子どもが、ひとつの鍵となっていることも相俟って、未来へ目を向けた希望は、一見、何でもないようなささやかなところにあることを、そっと教えてくれているのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たぶん図書館より拝借。
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「マイク・マリガンと、スチーム・ショベルのメアリ・アンは、ずっと一緒に仕事をしてきました。その仕事ぶりは、「100にんのにんげんが1しゅうかんかかってほるくらい、1にちでほってしまう」と自慢するほどでした。
本当に、ふたりは、これまで、運河を堀り、線路のために山を切り開き、空港のために地面を平らにしてきました。
でも、新式のショベルが活躍するようになり、ふたりは、仕事を求めて、遠い町までやってきます。] -
良かった
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マイクとスチームショベルのメアリ・アンは穴を掘ったり
山を削ったり大活躍
ところが,ガソリン・ショベルやディーゼル・ショベル、電気ショベルなど新型のショベルが出てくると,スチームショベルのメアリは仕事に読んでもらえなくなりました
田舎のポッパベルで市役所の地下室をほる仕事を募集していることを知ったマイク達はポッパベルに出かけていき,1日で市役所の地下室をほるという賭けをすることに・・・
読み聞かせ時間は14分位です -
表紙裏の図解が好き。
あと、文章の文字の配列そのものが絵の一部に感じられるところもよく練られているなと感嘆。
乗り物好きな子が好きになりそうなハッピーエンドの物語。あと、男の子の活躍も、子どもなら、なんだか自分が認められているようなくすぐったい感覚を覚えるのでは!? -
スチールショベルのハッピーエンドがすてきなのです。
インフラ整備の様子が、いかにもアメリカ的だなぁと思う。 -
機械類はどんどん新しくなってゆくので…でも頑張った
事には報いはあるわね -
バートンの絵本はどれも好き。これも長男が好きだった絵本のひとつ。
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絵もストーリーもとても良いです!