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- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784930689184
感想・レビュー・書評
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今日当たり前になっている大学の役割の1つとしての研究は、800年の大学史の中で19世紀に入って取り入れられた考え方だった。しかも日本におけるこのドイツ型の移植は、東大でなく、京大で明治32~40年の間で行われたという事実が本書で明らかになっている。それが後発の帝大の挑戦だった。
東大はフランス型で、定められた教育プログラムを消化し、知識を記憶し序列付けされる試験をこなすものだった。本書を読み、特に指摘されていないけれど、とりわけ法科大学はまさに日本版の行政官を養成するグランゼコールのような印象を受けた。
ドイツ帰りの高根義人によるドイツのゼミナールが京都に取り入れられた。それは、今日では常識になっている、既存の知識に対して「組織的懐疑」を加え、その過程から新しい知を創造することを志向した。その彼が明治40年に退官した理由は本当のところ何だったのだろうか。これは明らかにならない。
本書は法科大学のごく限定された時代が舞台となっている。工学部や文学部の東西比較研究があれば、ぜひ読んでみたい。京大は法科では敗れたけれどその他の挑戦では勝った分野もあるのではないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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