社会理論の最前線

  • ハーベスト社
3.50
  • (1)
  • (3)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 32
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784938551094

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あまりに難解で、途中でほったらかしていたけど1週間ほど前から再開してようやく読了。「社会科学における因果関係は、いつも再生産された行為の意図した結果と意図せざる結果の「混合」に関連している。社会科学の法則はその性格において歴史的であり、しかも原理上その形式において可変的である」(p266)。

    なんか当然のことを言っているような気もするけれど、ギデンズのすごいところは「行為」の背景に「実践的知識」すなわち「暗黙知」を置いているところ・・・だそうだ。「暗黙知」の定義は極めてむつかしいのだけど、解説によると「行為を実行するさいにたくみに用いられるが、行為者が言説によって定式化できない暗黙知」だそうだ(p291)。

    とはいえ、「暗黙知」の問題は、歴史学では色んな形で取り上げられていたように思う。「通俗道徳」とかそういうもんだろう。そう思うと、歴史学って、歴史的事象からその背後にある〈見えないもの〉をすくい上げる営みをやろうとしていたわけで、ギデンズが社会科学の法則に歴史性を見るのも、方法論的に通底しているからなのかな、と思う。

    ただ、「行為」についての社会理論を歴史学は受け止めてきたかというと、そうでもないように思う。結果的に歴史をやると、「行為」についての社会理論と親和性を持った、というだけのことなんじゃないか。それでいいのか。理論を排除することなく、使えるものは使ったほうが、より説得的な歴史像を構築するのに資するんじゃないだろうか。理論はいらないなら使わなくていいけど、でも手持ちのカードとしては持っておかないと、「使えるかどうかの可能性を吟味する」ことができなくなってしまうのだから。


  • ギデンズの読書量に感服する本です。
    「構造化理論」に関してもっとも詳しく書いているのではないでしょうか。
    本著の前に、『社会学の新しい方法規準』を読んだほうがいいと書かれています。
    非常に難解な本なので、読む前にそちらを読んでもいいと思います。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

アンソニー・ギデンズ( Anthony Giddens )
1938年、イギリス生まれ。社会学者。ケンブリッジ大学教授などを経て、LSEの学長を務めた。現在はLSE名誉教授、イギリスの上院議員。著書に『親密性の変容』、『第三の道』、『社会学』など多数。

「2021年 『モダニティと自己アイデンティティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アンソニー・ギデンズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×