- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784938551094
感想・レビュー・書評
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あまりに難解で、途中でほったらかしていたけど1週間ほど前から再開してようやく読了。「社会科学における因果関係は、いつも再生産された行為の意図した結果と意図せざる結果の「混合」に関連している。社会科学の法則はその性格において歴史的であり、しかも原理上その形式において可変的である」(p266)。
なんか当然のことを言っているような気もするけれど、ギデンズのすごいところは「行為」の背景に「実践的知識」すなわち「暗黙知」を置いているところ・・・だそうだ。「暗黙知」の定義は極めてむつかしいのだけど、解説によると「行為を実行するさいにたくみに用いられるが、行為者が言説によって定式化できない暗黙知」だそうだ(p291)。
とはいえ、「暗黙知」の問題は、歴史学では色んな形で取り上げられていたように思う。「通俗道徳」とかそういうもんだろう。そう思うと、歴史学って、歴史的事象からその背後にある〈見えないもの〉をすくい上げる営みをやろうとしていたわけで、ギデンズが社会科学の法則に歴史性を見るのも、方法論的に通底しているからなのかな、と思う。
ただ、「行為」についての社会理論を歴史学は受け止めてきたかというと、そうでもないように思う。結果的に歴史をやると、「行為」についての社会理論と親和性を持った、というだけのことなんじゃないか。それでいいのか。理論を排除することなく、使えるものは使ったほうが、より説得的な歴史像を構築するのに資するんじゃないだろうか。理論はいらないなら使わなくていいけど、でも手持ちのカードとしては持っておかないと、「使えるかどうかの可能性を吟味する」ことができなくなってしまうのだから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ギデンズの読書量に感服する本です。
「構造化理論」に関してもっとも詳しく書いているのではないでしょうか。
本著の前に、『社会学の新しい方法規準』を読んだほうがいいと書かれています。
非常に難解な本なので、読む前にそちらを読んでもいいと思います。