声の文化と文字の文化

  • 藤原書店
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784938661366

作品紹介・あらすじ

「書く」ことと、印刷およびエレクトロニクスの技術が、ひとびとの精神、文学、社会のうえにどのように影響を及ぼすか。本書は、文学と思考のなかにごく最近まで重く沈澱していた声の名残りをあとづけ、知的興奮をさそう新しい発見をとりあげる。その発見は、ホメロスの詩や現代のアフリカの叙事詩、およびその他の世界中の口承文芸に関するわれわれの理解を書き改め、哲学的、科学的な抽象思考の発生に関する新しい洞察を与えてくれる。

感想・レビュー・書評

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  • 言葉で話されていたときの思考の形態と言葉が書かれたときの思考の形態は異なる特徴があったのではないか―という興味深い発想から声の文化、文字の文化、印刷されたものと議論が展開。大変面白かった。トルストイの『イワンのバカ』や民俗誌の『ピダハン』を想起。近年のaudible的な作品鑑賞のついてやアクセシビリティの問題にまで考えさせられるような一冊だった。

  • これはとても面白かった。分厚い本なのに、どんどん読み進んだ。大学時代に先生が授業の中で挙げてた本だけど、卒業後、10年以上経ってやっと読めた。本には読み時がありますね…

  • 文字を持たない文化と文字を持つ文化の比較から人間を読み解く一冊。それだけでもシンガー、ラッパー、詩人は必読の書であると同時に様々な文字にまつわる知らなかった事実が知れて面白い。母語ではないラテン語は男性が学ぶものであった時代、ラテン語を学ばなかった女性作家たちが小説の発祥に貢献したことや、吟遊詩人の枕詞的な言い回しはテキストなして覚えやすくする要素であったとか、ひらがなにまつわる日本の古典女流作家や古典芸能の口伝継承と似たものを感じた。
    また、文字は読み書きを伴い、それが日記を生み出し人間を内省的にしていった話も興味深い。ボリュームもまあまああるけど、全く知らないエピソードが多数あってめちゃくちゃ良かった。

  • 声の文化と文字の文化を対比してそこにある心性の違いについて述べている。その前後で人びとの思考と表現に大きな変化が見られる。
    声の文化の中で生まれたお話への見かたが、この本を読んでガラッとかわった。

  • (メモ)
    ・書いたものは語り手から切り離された「死んだ」ことばとも言える。霊は「生きた」ものの名残。
    しかし、皮肉にも後世にまで残るものは書かれたことばである……というような割と前半に書かれていた言説。

    ・文字の文化を前提に声の文化を分析することはナンセンス。実際は「声の文化」→「文字の文化」(声によることばがあってこそ文字のことばも生まれうる)であり不可逆。

    ・声の文化の、ことばによる闘争的な面→ラップとかはその名残?

    ・声の文化でものを語るのに、内容を覚えやすくするための修飾語や決まり文句など。

    ・文字の文化での書かれた物語の人物の性質の、時代による変動。読者を明確に意識するかしないか。昔は「dear readers,」と書かれていたり。仰々しい人物から、次第に平面的な人物が主流になったり

    ・声のことばは常に相手がいる。書くことは完全に外界から切り離された孤独な営み。読み手が読むときにどのような状況・心情かは、書いているときにわかることはない。それは手紙でもそうで、読むときの相手のことを想像しながら書くしかない。読み手も、書き手の書いた時の状況はわからない。書いた時と今とではもう違っている。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/490193

  • タイトルどおり声の文化(orality)と文字の文化(literacy)の違いとその特徴を論じている。そして、現代の我々が文字の文化から逃れて考えることができないことを指摘する。原著は1982年出版だが、インターネット、SNSなどによって声と文字の関係が新たな段階にある現代においても示唆に富む本。

  • 日本の平家物語についてげんきゅうしていたものの、多くは西洋における対比であった。
     日本の場合のストーリーについて声の文化としての落語や浪曲についてが、書かれた文字に比較できるであろう。
    さらに、絵の占める位置が日本では大きいことを明らかにする必要があるであろう。

  • NDC: 361.45

  • 文学研究講義にて使用。

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