- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784939103575
作品紹介・あらすじ
本書では、投資家がトレードで一貫した結果を出せない隠された理由を明らかにし、奥底に潜む心の習性がもたらす障壁を乗り越えるため、実践的なプロセスが提示されている。ダグラスはマーケットの神秘に挑戦し、見事にひとつひとつそれを明確にした。すべての株式トレードを支配する「不確実性の原理」を本書から理解すれば、ランダムな結果を大局的に見て、リスクの本当の現実を受け入れられるようになるだろう。
感想・レビュー・書評
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【みきまるさん株式投資本オールタイムベスト2017年度版第38位】
P13からの「はじめに」だけでも、かなり要約されているなぁ。
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売買に自信のあるトレーダーは、自分を信頼し、
自分の成すべき事を躊躇なく実行する。
これこそ成功するトレーダーだ。
マーケットの気まぐれな値動きを恐れず、
不安を助長するような情報に気をとられるよりも、←(ツイッターとか見たらいかん)
収益機会を伝える情報に神経を集中させる能力を身につけている。
①利益を出すために次に何が起こりそうか知る必要はない。
②何事も起こりうる。
③どの瞬間も唯一のものである。
結果がどうあれ、次に現れる機会を待ち、手順どおりに何度も何度も繰り返す。
第一章「成功への扉」から
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最高のトレーダーと最悪のトレーダーに分類される人たちとそれぞれ仕事をしてきた経験、
また最悪のトレーダーが最高のトレーダへと変身するのを教育してきた経験から、
私は最高のトレーダーがその他を凌駕し続けている理由を特定できたと断言できる。
その理由を簡単に言えば、
「最高のトレーダーは他人とは違った考え方をする」からだ。
最上級者は、何のためらいも葛藤もなくトレードを仕掛ける。
そしてトレードが機能しなくても、同じくらい何のためらいも葛藤もなく、
容易にその事実を認める。
たとえ含み損で手仕舞っても、不愉快な感情はみじんも見せない。
つまり、トレードに内在するリスクで、自分の規律、集中力、
自信を失うことはないのである。
…これ、ほんとに大事だなぁ。
裏を返せば、不愉快な気持ち(特に恐怖心で)トレードをしているのであれば、
トレードに内在するリスクを受け入れる方法を学んでいないことになる。
これは大きな問題だ。
なぜならリスクが許容できない度合いとリスクを避けようとする度合いは比例するからだ。
そして避けがたいものを避けようとする試みは、
トレードを成功させる能力に壊滅的な打撃をもたらすのだ。
トレードには、「常に不透明な将来に直面しているなかで、どのように自己規律、
集中力、自信を維持するか」という根本的な逆説が存在する。
まさにそのことを達成するには、トレーダー的「思考」法を習得しなければならない。
そのトレーダー的思考法のカギとなるのが、
リスクを完璧に許容できるように自分の売買行動を再定義する方法の習得である。
私には一貫した勝利者とその他大勢との差が、「最高のトレーダーは恐れない」
という点以外にあるとは思えない。
自信と恐怖は正反対の精神状態だが、両方とも信念と姿勢から生まれる。
自分がリスクと考えている以上の損が容易に出やすい環境で成功するには、
自分自身を完全に信用する必要がある。しかしその信頼感の確立には、
一貫して成功するトレーダーの「自然とは逆の思考法」を身につけなければならない。
マーケットの動向の分析法を習得したからといって、
適切なトレードができるわけではないのだ。
まず、トレードに適した姿勢と信念を習得する必要がある。
そうすれば、微塵の恐怖もなくトレードできる。
しかし同時に、無謀になるのを防ぐため、枠組みを維持する。
それこそがまさに本書の意義である。
第三章「責任をとる」から
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トレードで適切な成功原理を習得するには、責任の取り方が絶対に重要だ。
トレーダーとして大成するには、いかに自分で責任を取れるかということに
かかっているのだ。
最高のトレーダーは、多くの独特な考え方をしている。
彼らはそのひとつとして、恐れずにトレードを実行し、また同時に軽率なトレードと
恐怖心によるミスを防ぐ心構えを習得している。この心構えには多くの構成要素があるが、
まず注目すべきは、成功者が恐怖心や軽率さの悪影響をトレードからほぼ完全に
取り除いている点だ。軽率なトレードと恐怖心によるミスの排除が、
一貫した収益の達成を可能にしているのだ。
大多数の成功しないトレーダーは、
どのようにマーケットを研究すれば儲けられるかを考えている。←耳が痛い。。。
トレーダー的思考法を習得しようとは考えていないのだ。
「マーケットについて知らないことがあるから損をしてしまう。
だから一貫した結果を残せないのだ」と考え、多くの心理的要因を軽視している。
しかし、事実はまったくそうではない。
私たちが探し求めている一貫性は、自分の心のなかにある。マーケットにはないのだ。
ほとんどの損失の原因が、浮かれているときの間違いや損失、
軽率なトレードを犯す姿勢と信念にある。←鋭い。真実だ。
恐怖心がない状態は、無心の状態「ゾーン」とも言える。
ただ直感的に行動し、反応する。選択肢は検討しない。結果は気にしない。
悩まない。ただその瞬間に「するだけ」なのだ。
ある精神状態を築き、前向きに勝つ姿勢を養えば「ゾーン」の近道に立つことができる。
前向きな勝つ姿勢とは、自分の努力に前向きな結果を期待する姿勢である。
…要は、どのように努力して勝っていたとしても、ほとんどが「姿勢」のおかげなのだ。
自己批判と後悔をせず、マーケットが提供する絶え間ない売買機会を
素直に受け止められるトレーダーは、自分に最適な資金管理方法で行動し、
経験から学習できる最高の心理状態にある。
マーケットがどう動こうが責任はない。
しかし自分のトレード行為による結果には責任を持つ。
今までの知識だけでなく、これから自分に発見されるのを待っている
まだ学んでいないすべてのことに責任を持つのだ。
成功に必要なものを発見する最も効率的な筋道とは、
勝つ姿勢の確立である。勝つ姿勢の育成が成功のカギとなる。
責任をとる。それが勝つ姿勢に不可欠なことである。
第四章「一貫性」から
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一貫して成功しているトレーダーは、一貫して自分を自然体で表現している。
一貫しようと「試みる」必要がない。すでに一貫しているのである。
最高のトレードは簡単で難しくなかったはずだ。やさしくしようと試みる必要がなかった。
最初から簡単だったのだ。そこには葛藤がなかった。見るべきものを見て、
見たものに沿って行動した。その瞬間、機会の流れの一部となったのだ。
流れに乗っていれば、試みる必要がない。なぜなら、マーケットについての
知識のすべてが利用可能だからだ。自分の認識を阻んだり隠したりするものはない。
そして何の葛藤も抵抗もないので容易に行動できる。
最高のトレーダーは流れのなかにいる。
なぜなら彼らはマーケットから何かを得ようと努力していないからだ。
ただ単に時期が来るのを待つ。
したがっていつどのように動いても優位性を獲得できる。←この姿勢、スタンス大事。
☆リスクを本当に理解する
本当にリスクを受け入れた状態とは、精神的不快感や恐れなしに、
自分のトレードの結果を受け入れることである。
「損切りする」「流れに乗る」「絶対に恐怖心なくトレードできると理解する」
第六章「マーケットの観点」から
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☆「不確定性」理論
トレードの本質に秘密となるものがあるとすれば、以下の能力がそうだ。
①恐怖心や過信なくトレードを執行する能力
②その観点からマーケットが提供しているものを認知する能力
③「今この瞬間の機会の流れ」のなかで完璧な集中力を維持する能力
④自然に「ゾーン」へと達する能力
リスクを前もって定義しない、損切りをしない、システム的に利食いしない、
これらが最も一般的で、そして常に最もたかくつく、犯しやすい3つの過ちである。
第七章「トレーダーの優位性ー確立で考える」から
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☆感情面のリスクを排除する
確率で考えるためには、確率的環境の基本原理と一致する
心の枠組みや心構えを確立しなければならない。トレードに適した確率的心構えは、
次の5つの根本的真実からなる。
①何事も起こりうる。
②利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。
③優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。
④優位性があるとは、あることが起きる可能性がもうひとつの可能性よりも
比較的高いことを示しているにすぎない。
⑤マーケットのどの瞬間も唯一のものである。
損失は単にビジネスのコストでしかなく、トレードに勝つための必要資金でしかない。
第11章「トレーダー的思考法」から
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トレードを最も簡単な形で説明せよと聞かれたら、パターン認識の数学ゲーム
だと答えるだろう。…トレードには成功もあれば失敗もあり、どちらにせよ
次のトレードを執行する。…自分が知っていると考えるほど、成功できなくなる。
得た結果が何であれ、自分の成長レベルや、より良い行動をするために学ぶ
必要があることを完璧に反映したものだと受け入れる必要がある。
一貫して偉大なスポーツ選手がその他の選手と違うのは、
ミスを犯す恐怖がまったくないところである。←ホントならすごいなぁ。
彼らが恐れない理由は、ミスを犯しても自虐的になる理由がないからである。
「ミスは自分の成長と向上のため、
精神集中すべきところへの方向性を示す糧でしかない」
という信念を習得できたからではないだろうか。
☆一貫性の信念を確立する
「私は一貫した勝者である」という信念の確立が最終目標である。
一貫した勝者は、次の信念を確立している。
①私は自分の優位性を客観的に認識している。
②私はすべてのトレードでリスクを前もって決めている。
③私は完璧にリスクを受け入れている。あるいはトレードを見切ることを厭わない。
④私は疑念も躊躇もなく自分の優位性に従う。
⑤私はマーケットが可能にしてくれた勝ちトレードから利益をつかみ取る。
⑥私はミスを犯すことへの自分の対応を継続的に監視している。
⑦私はこうした一貫した成功の原理の絶対的必要性を理解している。
したがってけっしてそれを破らない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心技体、心が一番大切。
常に不透明な将来に直面しているなかで、どのように自己規律、集中力、自信を維持するか。
存在もしない確実性を手に入れようとする。
自分の規則に厳格であり、自分の期待に柔軟である。これができないと、怒り、不満、不安、恐怖、いらだちをもたらす。
環境の発する情報を認識、解釈するのは、自分の信念、知識、思い込みである。
期待とは、ある将来の瞬間に投影された自分の信念。知らないことは期待できない。 -
参考図書。
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トレーダーのための心理学本。実際にトレードしているからこそ吸収できることが多い
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評価
★★★★★ 毎日読みたい
★★★★ 引越しても持って歩きたい
★★★ 仕事の優秀な道具
★★ 人に推薦したい
★ 途中で読書中止 -
「ミスを恐れなければ、自虐的になることもない」
一貫して成功するトレーダーになるには、テクニカルだけでは無理で、安定したメンタルの維持を重視すべきだと、筆者は断言しています。
FXトレーダーである私が本書を読んだのは、ちょうど前月に加熱しすぎた円売りが一時減速した2022年5月のことでした。5月に入り利益確定の調整相場に突入すると、私は前月に獲得した利益を吹き飛ばすようになり、メンタルが壊れ始めました。
本書ではトレードで犯しがちな典型的なミスを繰り返し(くどいほど)述べており、読み初めの頃は自分のミスを反省していたものの、トレードでさらに負けが続くと平穏な心理状態が保てなくなって、筆者が言っていることに反抗的になり半ば自虐的になってしまいました。
結局のところ、第9章まではモヤモヤした気持ちで読んでいましたが、10章と11章(最終章)を読み終えたところで、自分のマインドがかなりリセットされ、心が軽くなってきたことに気づきました。その理由は、相変わらずトレードは上手く行っていなかったものの、そこには私が日頃してしまっているマイナスの信念から生じている言動が説明されていたからです。
筆者は「すべての思想、言葉、行動は、自分の信念を増強する」と言っています。そして、「思想において、信念はそれを表現する方法を探し、錯乱状態や自己卑下の感情を生む原因となる。言葉においては、他人に同じ性格を見いだした場合、自分の信念を反映する発言をする原因となる。行動においては、明らかに自虐的な振る舞いをする原因となる」と付け加えています。
私の場合は負けが続くと「自分はバカなやつ」だと思い(たまに声に出して言い聞かせることも)、同じようにミスが多い人に遭遇すると苦言を呈することもありました。
こんなメンタルでは何事もうまくいかないはずです。トレードに限らず、人は良いことが続くと有頂天になりがちで、ミスが続くと錯乱状態になってしまいます。そんな時はミスを犯しても自虐的にならず、ミスは自分の成長のための精神集中すべきところへの方向性を示す糧であると認識することが大切です。
そして、自己規律構築のトレーニングとして、筆者が紹介していた20回トレードをやってみます。 -
負けてもマーケットのせいにしない。自分が下した投資判断、自分が責任をもつ。リスクテイクするとはそういうこと。
じぶんと -
Audibleにて。
読むのはけっこーしんどいと思うのでおすすめ。
相場に対する向き合い方について、最後まで読んでくとなるほどなとなります。
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トレードの本質はマーケット分析でなく思考法であることを改めて意識する。
別の機会でこれに類することを学んでいたので言っていることの3割程度はなんとか理解できただろうか。単独でこの本だけを読んでいたら理解できなかっただろう。
第11章のトレーダー的思考法の「機械的」演習をまさにデモトレードで実践中。それもあって本書の言わんとするところを少し理解する。結局のところ思考の変化は行動が伴わなければできないということなんだろう。
もう少し経験を積んで再読すると新たな発見があるように思える。 -
トレード心理学。
確率的に行動ができているか。それ以上でも以下でもない。
信念や恐怖を感じるものについて普遍的な内容なのが魅力的。
ポーカーや麻雀にも応用できる考え。
リスクを理解しているのか本当にわかっているのかの問い。
マーケットは鏡であり、今起きていることそのものに直視できるかを試されている。
これはトレードに限らない自己の確立へのいざない。
簡単にまとめられる内容が冗長に感じる人は、この自己の問いと向き合っていないか必要がない人だろう。
この周りくどさはそれだけ人の心理のしつこさに手を加えている結果だからだとみる。