ライク ア ローリング ストーン

著者 :
制作 : 池上 遼一  真崎 守  上村 一夫  ダディ・グース  中条 省平 
  • フリースタイル
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784939138140

作品紹介・あらすじ

「この単行本の初刊行によって、
ようやく日本マンガ史に開いた大きな空白が
ほぼ半世紀ぶりに埋められることになります。
これは大きな事件です」
(中条省平、宮谷一彦『ライクアローリングストーン』帯より)

ふたりの女性 そして まんがと革命の時代——

激動の60年代末から70年代にかけて、凄まじいスピードで時代を駆け抜けていった
〈伝説の漫画家〉宮谷一彦。

氏の代表作『ライク ア ローリング ストーン』が、雑誌(『COM』)発表から約半世紀の時を超えて、初単行本化!
(併録作品の『白夜』も初単行本化です)

感想・レビュー・書評

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  •  宮谷一彦の『ライク ア ローリング ストーン』(フリースタイル/1620円)を購入。
     手塚治虫の虫プロが出していたコミック誌『COM』で1969年に連載されて以来、半世紀近く一度も単行本化されていなかった「伝説の名作」の初単行本化である。

     文春文庫ビジュアル版の『マンガ黄金時代  ’60年代傑作集』というオムニバスに、この作品の第1話が収録されたことがある。私はそれを読んだことがあるのみで、全編を通して読むのは今回が初めて。

     帯に「ひとりの漫画家の1969年3月からの120日間の記録」とあるとおり、作者の宮谷一彦自身(ただし、作中での名は「画村一彦」となっている)のマンガ家としての生活を描いた「私マンガ」である。

     中条省平は、本書の巻末に寄せた解説で次のように言う。

    〝まず本作の特徴は、日本初の本格的な「私マンガ」であるということです。(中略)作者・宮谷一彦は自分の分身である画村一彦を通じて、自分の思想とマンガ観をストレートに打ちだしています。本作は日本マンガ史上最も真摯な「マンガ家マンガ」なのです。〟

     私は、本作に先行する永島慎二の『漫画家残酷物語』(の中の数篇)こそ「日本初の本格的な『私マンガ』」であったと思うし、「日本マンガ史上最も真摯な『マンガ家マンガ』」という賛辞も、同作にこそふさわしいと思う。

     が、それはともかく、この『ライク ア ローリング ストーン』も、日本マンガ史上に突出する作品であることは間違いない。
     内容には観念的すぎて難解な部分も多いのだが、機関車や阿修羅像などのすさまじい細密描写を味わうだけでも、本書を買う価値は十分にある。

     この単行本の版元・フリースタイルが発行している季刊誌『フリースタイル』の直近号(36号)でも、宮谷一彦特集が組まれている。これも併せて購入。

     特集のメインは、宮谷一彦に大きな影響を受けた一人である作家の矢作俊彦(かつて「ダディ・グース」名義でマンガ家としても活躍)による宮谷へのインタビュー。
     インタビューというより対談になっているが、内容は(宮谷と矢作のファンなら)とても面白い。

     なお、フリースタイルは今年、宮谷一彦の初期作品集『俺たちの季節(とき)』と『ジャンピン ジャック フラッシュ』の電子書籍版も刊行している。

     じつをいえば私は、『ライク ア ローリング ストーン』以降、どんどん難解になっていった宮谷作品よりも、この2冊に収録された初期の青春マンガをこそ愛する者である。この時期の宮谷こそ、私にとってはベスト。1971年から72年にかけて、三崎書房から刊行されたこの2冊は、いまでも私の宝物だ。

     収録作全編が傑作とは言わないまでも、6割方はマンガ史に残るレベルの青春マンガであり、マンガ技術的にも当時の最高峰・最先端である。

     たとえば、『ジャンピン ジャック フラッシュ』所収の短編「ラストステージ」は、日本におけるジャズ劇画の最高傑作だと思う。
     『BLUE GIANT』より40年も早く、これほどリアルに絵の中にジャズを刻みつけた作品が、日本にはあったのだ。

     また、同じく『ジャンピン ジャック フラッシュ』所収の短編「逃亡者」は、わずか24ページの作品ながら、日本におけるカーアクション劇画の最高峰の一つだろう。

     余談ながら、この「逃亡者」の中に出てくる、“車で時速200キロから目にも止まらぬ速さでシフトダウンをくり返し、直角に曲がる”という描写は、のちに池沢さとしが『サーキットの狼』でそっくりパクっている。 

  • 「このマンガを読め!」で1位だったけど40年近く前の作品のリイシュー、しかも自社の刊行物をトップに据えるのはいかがなものかーと思ったものでした。

  • 1960年生まれの僕には1969年の「伝説の名作」はさっぱり理解できなかった(>_<)

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著者プロフィール

宮谷一彦(みやや・かずひこ)
一九四五年大阪生
主著 「性蝕記」「俺たちの季節」「とうきょう屠民エレジー」「人魚伝説」「孔雀風琴」

「2017年 『ライク ア ローリング ストーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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