- Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
- / ISBN・EAN: 9784943843641
感想・レビュー・書評
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以前読んだ、斎藤孝さんの『読書入門』にて取り上げられており、いつか読んでみたいと思っていたが、なかなか近所の本屋、古本屋にも置いておらず、久方ぶりにネットで中古本を購入し読了。
美輪明宏さんの幼い頃から、33歳位までの事を所々詩を交えた自伝の体裁となっている。男女間をはじめ、過去の様々なエピソードも美輪さんであれば、すんなり受けとめられるのが不思議。ぶれない考え方と同時に醸しだされる本物感。どうすればこのように生き方が出来るのか?
何をやってもお子様レベルのワタクシに、かなり薬の効いた一冊である。 -
三島由紀夫が「昭和有数の奇書」と書いた美輪明宏の自伝。だが、「あとがき」で美輪自身書いているように脚色も加えられており、なおかつ詩的な文章も合間合間に挟まれるなど、単なる自伝に留まらない「聖なる怪物」の美しい物語である。美輪(丸山)を巡って男が殴り合いの喧嘩をしたとか、霊感の話とか「ホントかよ」と突っ込みたくなる話もあるが、なぜか「美輪明宏ならそうなんだろう」と思ってしまう。また、「スター」としてのプロ意識、美学について書かれた後半の節などもかなり興味深い。『オーラの素顔』と併せて読めば、美輪明宏を見る目が変わることうけあい。
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まさに、美輪さんのリアルな履歴書。 過去、数々の大変な経験が今の美輪さんを作っているんだなあ〜と納得しました。
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美輪さんのことは、子どものころは謎めいた人、としか
思っていなかった。
この本は、前半生について書かれていますが
美輪さんがとても一言では言い表せないくらい激動の
日々を過ごされていたのがわかります。
過去の恋愛の話、信仰の話など、何度も読み返しては
心に刻みます。 -
まぁこの世の中ではなんと二流品が持て囃されていることだろう。って言葉が、響いた。
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スピリチュアル系の番組で発言する美輪さんは正直苦手ですけど、この本に出てくるパンクな美輪さんは大好きです。
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『齋藤孝のおすすめブックナビ 絶対感動本50』より
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美輪明宏さんの『紫の履歴書』(水書坊)から
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小林先生から、
「丸山さん、あんた誰かを恨んでるんじゃないかい」
御宅へ伺いざま、頭から図星をさされた。
「ええ、でもどうしてわかりますか?」と僕が呆れると、
「私には、何でもちゃんとわかるんだよ。今のあなたは地獄に居るんだよ」
「ええ、まあ地獄と言えば地獄でしょうね」
「何だか、そのわけを話してご覧」
僕が株で騙されたこと、その男が卑怯な奴で僕は七代まで祟ってやろうと思っていることなどを、かいつまんで話した。
「そうかい、それは気の毒なことだったね。でもね、よく考えてご覧、騙されるからには騙される方にもそれだけの油断と慾があるんだよ。万事、人まかせなどにせず、自分の力で身分相応に地道にやっていたとしてご覧。誰からも騙されるに済んだはずだろう。
たとえ向こうが騙そうかとかかって来ても、“ええ、私はこれで結構です。自分なりに努力してみます”という気持でいたとしてご覧。相手は騙そうたって騙せないじゃないか。相手に人を騙すという罪を犯させたのはあなたの方だよ。気の毒なのは向こうの人なのだよ。あなたは、むしろ、貸しがあっても、向こうの人は、一生あなたに人生の借りを背負って生きていかなければならないんだよ。
それに比べてあなたは胸を張って大手を振って誰からも指をさされずに生きてゆけるじゃないか。あなたはいい勉強をさせてもらったんだよ。高い月謝だけど、まあいいじゃないか。一度、失敗すれば二度と同じ失敗はしなくなるだろう。
“すなわち変化(へんげ)の人を遣わして、これがために衛護(えご)となさん”で、きっとその人はお釈迦様を修行させるために悪魔の役を果たした提婆達多(だいばだった)と同じ役目であなたを修行させてくれた菩薩なんだよ。その人に向かって嫌な役目を引き受けてくれて有難うと感謝してもよいくらいじゃないかしらん。あなたが向こうの立場になったとして考えてご覧?向こうの役を演じなくてよかったと思うだろう?その人のことを気の毒だと哀れんでも、決して怨むことは、ないんじゃないかね?」
私は、ニコニコしながら、ゆっくりと順序よく説かれる先生の言葉の一つ一つが素直に受け止められた。何だか自分が段々と浄(きよ)められていって、尊い仏になったような気持になった。
「どうだい、気持が晴れたろう」
「はい、何か、もやもやしたものが、なくなっていったようです」
「そうかい、それはよかった。それが極楽というものだよ。地獄、極楽はあの世ばかりにあるんじゃない。おのおのの胸三寸にもあるんだよ。スイッチの切りかえ一つで、地獄にでも極楽にでもなるんだよ。それを悟りといって仏になる第一歩なんだよ。つまり即身成仏ということだよ」
「なるほど、よくわかりました。よい勉強になりました。これからも何かにつけてご指導ください」
「いいえ、柔和質直な心で何の抵抗もなく聞いてもらえて、私のほうこそ感謝しますよ。どうもありがとうね」
私は来た時と異(ちが)って、身も心も軽くなり、爽やかな心で家へ急いだ。
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『オーラの泉』では菩薩のように思える美輪さんにも僕たちと同じように恨みや嫉妬などで苦しんでいた時が過去にあったこと、そしてそれを救ってくれた先人たちがいたことをこの本で知った。“すなわち変化(へんげ)の人を遣わして、これがために衛護(えご)となさん”、この言葉が胸に残る。
きのう引き受け氣功東京講習会があったんだけどそこでも藤谷康充先生が「憎いあの人は鬼の面をかぶって気付かせに来てくれたんですよ」と話された。そう、上の美輪さんの話と同じなんだね。