プラネタリウムに星がない

著者 :
  • ノンカフェブックス
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990530327

感想・レビュー・書評

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  •  荒木スミシは、安定剤と眠剤がないと穏やかに過ごせない日々に腐っていた。そんな中読者から一枚のファンレターが届く。
     ファンレターをくれた少年にシンパシーを感じるスミシは、会いたいという気持ちと会うべきではないという気持ちとでゆれ動くが……。

     荒木スミシとは、彼が自費出版にて出した本の内容が同年に起きた神戸連続児童殺傷事件との共通点から、犯人の少年がその本を読み、影響を受けたのではないかと言われた作家さんで、それを題材にした本作は彼にしか書けないものだろう。
     書いた人がどんな意図やメッセージをもって作品を書き上げても、すべては受け取る側によって変化する。それにいちいち責任を負うことなんかできるだろうか。
     作者が作品に入り込んでるものは好きではないけど、本作については別で、これは彼が出るからこそリアルで、痛い作品だと思えた。すべてのマスコミ関係者の肝にぶちかましたい本。

  • 【ザッツ・カンニング!】の放送中に緊急速報で「少年A、逮捕」と流れたのを覚えてるよ。事件もショッキングやったけど、逮捕ってのも何かショッキングやった記憶があるなあ。

    それはさておき、なかなかよかったよ。
    小洒落たデザインの小説。

  • 幻の第八章も含め、読みました。どちらの終わりかたにしても考えさせられました。うーん。

  • 4.「プラネタリウムに星がない」 荒木スミシ

    サラサラと読める、心地いい本みーつけた★

    本屋さんに行って、目を引くタイトルって、あり得ないような否定だと思う。
    この本屋もそうだった
    ヴィレッジヴァンガードで
    ふらふらしてたらパッて表紙に目が行って、タイトル見て、帯に「酒鬼薔薇事件の未来について」の小説って書いてあって、読みたい!!って思ってたら隣にいた彼がプレゼントしてくれた。

    核心をつくようなストーリーではないんだけど、モヤモヤというか、ふわふわというか…した感じが心地よかった。

    私にとって、酒鬼薔薇事件って言うのは、アメリカ同時多発テロの次ぐらいに衝撃的で忘れられないニュース。
    荒木スミシさんの初めて出版した本は、酒鬼薔薇事件を題材にしていて、この作品はデビュー10周年の記念出版らしい。

    数年前に、何かがキッカケで酒鬼薔薇事件についてネットで検索しまくってた時期があったので、これを機に「シンプルライフ・シンドローム」も読んでみよう。って思った。

    この本を買ってもらった次の日にプラネタリウム行ったけど、すごく良かったよ!綺麗で感動した。それも「想い出」。

  • 彼の作品を読んだのは初めてだった。
    帯と宣伝文句に惹かれてとっさに手にとったがあのときの感覚は正解だったと思える。作者が入り込む作品は好まないが、これはきっと彼にしか書けない絶対唯一のものであったと思う。"荒川スミシ"がテラに抱く異常とも思える愛情は彼にとって己を救うための手段だったのだ。
    最初、結末の意味がわからなかった。何故編集者・ミゾグチが目に涙をためているのかも。しかしレビューの「もし自分が”荒川スミシ”だったら」という感想を見てはっとした。テラとヒガシガワさんが見なかったプラネタリウムの美しさと、タイトルの意味について。彼は言う。「みなかったからこそ美しい」と。知らないからこそ、眩いものだと心にとどめておける、希望として抱いていられる。テラにとってヒガシガワさんときて父と会った場所の先(未来)にあった綺麗なもの、手に届かないもの(プラネタリウム)、本当に目にしてしまえばその人工的な光に失望してしまうかもしれない。だから、知らないまま綺麗なまま。
    テラのそれと”荒川スミシ”にとってのテラやヒガシガワさんの存在とその人生は彼らにとってのプラネタリウムそのものだったのかもしれない。
    小説の物語と現実を混濁し、二十年以上罪の意識に苛まれた彼の痛々しさ。さけび、ねがい、あがき。
    希望をテラとヒガシガワさんに託した。どうかこうであってほしい。それはプラネタリウムのうつくしさと同じだ。
    しかし。プラネタリウムに星はない。本当の光も美しさも尊さもない。
    だから、知らないことほどいいのだ。
    うつくしいのだ。

  • 2011.08.23 読破。

  • 久しぶりのスミシ本。
    テラとヒガシカワさんは物語上本当にいるのだろうか。
    一読した上での意見は、いないに一票。
    プラネタリウムの件の辻褄を考えると、そうとしか思えない。
    となると、テラの父と作中のスミシとは重なり合う存在かとも感じた。
    装丁も、いつも通り好き。

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