「かみつきがいい」入れ歯—かめない義歯のイニシャルプレパレーション

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  • 生活の医療
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784990917609

作品紹介・あらすじ

「はじめに」より
 私の入れ歯の患者さんで,テレビの報道番組を見て,「あたしにも,かめる入れ歯をつくってもらえんじゃろうか」と再来院したおばあさんがいました.何か問題があるのだろうと,とりあえず薄く切ったリンゴを試してもらうと,不安気に前歯でかみます.徐々に厚いリンゴを食べてもらったのですが,難なく食べられることがわかりました.このおばあさんは,自分の入れ歯は,普通の入れ歯だから食べられないものと決めてかかっていたのです.
 「かめない」人の中に,かめないと決め込んで「かまない」人がいるのです.新発見でした.
多くの義歯の患者さんは,反対に「かめない」ことに気づいていません.あるいは,テンから入れ歯はかめないものと諦めています.何度か歯医者に行っても,かめるようにならないので,ついに諦めたという人も少なくありません.歯医者が,余程高級な入れ歯でなければ無理というものだから,真に受けて諦めている人もいます.「かめない」と決め込んでいる点では,先のおばあさんと同じです.
 私たち歯医者はどうでしょう.驚くほど「かめない」ことに,歯医者は気づいていません.かめないか,かめるか,調べたこともないのでは話にもなりません.「痛い」といって来院した患者さんのアタリをいくら調整しても,しばらくするとまた来院して患者さんが痛いというような経験はありませんか? 
 「かみにくい」と訴える患者さんに咬合紙をかませて咬合調整をするが,どこをどう調整すればいいか見当がつかないという経験はありませんか?「義歯が動く」と文句をいわれるが,保険では十分なティッシュコンディショニングもできないし,精密な印象も採れないので辺縁封鎖が難しい,と自分を納得させていませんか?「痛い? しばらく我慢すれば,慣れますよ」で,またひとつ信用を落としています.どれもこれも,勘違いです.
 咬合が安定しない義歯に対してリラインを行うことは,プラークコントロールをせずに歯肉切除をするようなものです.まずはバランスドオクルージョンを与えて,義歯の安定を回復し,かめるという実感を患者さんに経験してもらいましょう.

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