◆21年の経年を感じさせない迫力の作品◆
※(以下、WOWOWオンライン解説欄より引用させていただきます。)
「氷の微笑」「スターシップ・トゥルーパーズ」の鬼才P・ヴァーホーヴェン監督が、またも「氷の微笑」のようにセクシーなヒロインを描いた、センセーショナル話題作。
ギャンブルの街ラスベガスに来たヒロインがカリスマ人気ダンサーとなっていくまでを、鬼才ヴァーホーヴェンはショービズ界の裏事情と合わせて力強いタッチで活写。主演は本作の公開当時、“第2のシャロン・ストーン”として期待を集めた新星E・バークレー。ラスベガスのストリップバーの名物である“プライベート・ダンス”の場面も含め、全裸も辞さない体当たりの熱演は、まずは圧巻。賛否両論呼んだ衝撃作だがそのショッキング度はぜひその目で見て確かめよう。TV「ツイン・ピークス」のK・マクラクラン共演。
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本作品、WOWOWで公開当時に観賞したので本当に久しぶりの再見となった。 21年も前に製作された作品とはとても思えぬその鋭い際どさは、鬼才P・ヴァーホーヴェン監督ならではのものだろう。
ノエミに扮したE・バークレーの大胆演技には脱帽の一語。 ザック役のK・マクラクランと絡む、チェアーとプールでのシーンはまさに生つばもの(マクラクランも若く素敵であった頃であるからして…/照れ笑)
単なるストリッパーではなく、ソウルのあるダンサーとして自身の魅力を最大限にアピール、表現することに情熱を燃やすノエミ。
だが、憧れのラスベガスで、ここに集まる女子たちは誰もがみなTOPショーガールとしての座を射止めんと連日、汗まみれのメイクと共に惜しみなくその自慢の肢体をさらしていたのだった。
女王ダンサーとして君臨しているジーナ・ガーション扮するクリスタルの何とも意地悪な上から目線と言葉使い。 が、それはノエミに「自分も伸し上がってやるッ!」という奮闘努力を炊きつける火種以外の何物でもなかった。
そんなある日のショーでのこと---
階段を下りて行く際にクリスタルは背後を押され階段から転倒。 これを機にショービズの世界から去ることを決意するのだった。
《ノエミは故意に押したのか…??》
//氷で乳首を立たせよと命じられ始めは怒ったノエミが、差し出されたひと粒の氷を持って乳首を一周させるシーンに、この世界で生き抜くことの過酷さ・TOPに君臨して居られる短命さ・虚しさを、ノエミがそれとなく感じ始めている心情が、さり気なく描かれているように思えた。//
友達が在ろうことか、彼女が心酔しているアーティストとノエミが引き合わせたところ、何と彼とその仲間によって激しく甚振られ入院してしまう事態に至る。
暗躍する札束の世界。男どもの欲求。それを満たして上へと伸し上がろうとする女。そうしたフィールドの部外者である女友達を弄り物にされたノエミはブチ切れた。
ノエミは心を鬼にし、《ラスベガスでの「自分の夢を投擲」する》のだった***
夢と現実の狭間でノエミが見た者(物)、得た者(物)は決して求めるものと違っていた訳ではないのだろうが、あまりにも代償が多すぎた。
故郷に帰ることを決心したノエミは、またヒッチハイクで車を止める。 何とそれは、最初ベガスに向かおうとした際に遭ったトラックのコソ泥野郎ではないか!(苦笑) ◆「夢」は、心に希望の土壌がある限り何処に居ようと、何をして居ようと、きっと、きっと芽吹いてくれるはず。 迫力のダンスに導かれながら、どこか憎めないノエミのピュア(清廉)な部分に支えられ、「故郷に帰っても頑張れよー!」と、エールを送りたくなるそんな締め方に救われた。
【蛇足になるが…】1951年、高峰秀子さん主演作品に『カルメン故郷に帰る』というのがあったなぁ…と、唐突にも思いだされた。