打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]

アーティスト : 奥菜恵 
3.69
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  • / ISBN・EAN: 4521458002027

感想・レビュー・書評

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  • 1993年、岩井俊二監督で放映された
    テレビドラマ。
    (その後劇場でも公開)


    真っ青な空と
    光を反射して
    きらきらと煌めくプール。

    焼け付くような日差しの中
    プールサイドには
    白いワンピース姿のまま
    目を閉じて寝そべる少女。

    彼女の首筋に這うアリにドキリとする少年。


    いやぁ〜
    何度観ても
    岩井監督の映像美にはシビれてしまう。
    (なお今作の助監督は行定 勲!)


    夏になると何度となく
    見返したくなる作品だけど、

    最近ではドラマ版「モテキ」で大根仁監督が
    あえて原作にはない
    今作品のロケ地巡りのエピソードと
    満島ひかり扮する中柴いつかちゃんを使った完全再現カットを
    ドラマで使用したことでも話題になりましたよね。


    花火を真横から見るとどんな形なのか?

    丸なのか、
    平べったいのか、

    子供たちは好奇心に駆られ
    真実を確かめに
    祭りに繰り出します。


    引っ越していく少女の複雑な想いと
    名作「スタンドバイミー」を思わす
    少年たちの男の友情。


    しかし三つ編み姿で浴衣を着た
    奥菜恵の可憐なこと。

    少女と大人の間を行き来し
    彼女の恋心が香る
    繊細でいて大胆な演技力には
    ホンマ脱帽です。


    主演のまだ幼い
    山崎裕太も
    等身大の素晴らしい演技を見せてくれます。


    これを観ると
    誰もが持つ
    小学校の頃の切ない思い出や
    その頃の空気感が
    リアルに甦ってきます。


    夏休みの友達との浮き足立った会話や
    切なさが溶け込んだ花火の匂い、
    夜のプールの静けさ、
    好きな女の子への淡い想いなど

    今考えれば
    なんでもないようなことが
    キラキラと輝いていた日々。


    そんな切ない、
    カタチには出来ないものを
    そのまま真空パックにした作品です。


    元々テレビドラマの為50分と短編ですが
    岩井監督お得意の
    透明感のある映像も本当に綺麗で
    充分に満足させてくれるし、

    毎年夏になると
    アイスとうちわ片手に観たくなる作品です♪
    (今作を観てから
    ドラマ版「モテキ」を再見すれば
    二倍楽しめますよ笑)

    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      うわっ、これ助監督、行定勲だったんですね!
      それは知りませんでした。なんて豪華な。

      これは『If もしも』放送当時、リ...
      円軌道の外さん!

      うわっ、これ助監督、行定勲だったんですね!
      それは知りませんでした。なんて豪華な。

      これは『If もしも』放送当時、リアルタイムで観て、他と比べて突出したクオリティの高さに驚いた記憶があります(のちに劇場にも足を運びました)。

      『世にも奇妙な物語』でも、ちはると豊川悦司で『ルナティック・ラヴ』という作品があって異彩を放っていました。
      あれもおそらく岩井俊二だったと思います。

      いま考えればTVの現場でこれをやるって、尖っていたんだなぁ。
      岩井俊二は、最初から岩井俊二だったんですね。
      2013/05/09
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、
      コメントありがとうございます!

      つか、ええーっ
      リアルタイムで見てたなんて
      うらやまし過ぎますよ〜(>_<...

      kwosaさん、
      コメントありがとうございます!

      つか、ええーっ
      リアルタイムで見てたなんて
      うらやまし過ぎますよ〜(>_<)

      しかし岩井監督は
      結構テレビでの作品も残してるんですね〜(驚)

      自分が岩井監督を
      最初に意識した作品は
      確か中山美穂の
      「Love Letter」だったと思います。

      まるで夢の中にいるみたいな
      儚くて美しい映像に
      すっかりハマってしまって、
      一体どんな顔の人なんやろって(笑)調べたら
      映画監督のイメージとはかけ離れた
      結構綺麗めなイケメンで
      ちょっとビックリしたんですよね(笑)

      あと「リリィシュシュのすべて」と
      「スワロウテイル」は
      当時ホンマ衝撃的でした(◎o◎)

      2013/05/12
  • 仙台出身の岩井俊二が、脱原発を表明し、friends after 3.11というドキュメンタリーを撮ったとニュースで見た。BSスカパーのみの放映のため未見だが、最近では、AKB48の「桜の栞」のPVを作ったり(これは秀逸)、その後AKBのドキュメンタリーを撮ったり、web上で岩井俊二フィルムフェスティバルを毎月Upしたりと、相変わらず精力的な活動を見せている。
     そんな彼が、東日本大震災復興への願いを込めて、17年前のこの作品をWebで無料配信したと報道されていたため、久しぶりにDVDを取り出してきて鑑賞してみた。
     本作は、フジテレビの「if もしも」という、世にも奇妙な物語の枠で放送された実験的なドラマで、当時小学生だった僕は、奥菜恵に一目惚れしたことを今でもはっきり覚えている。ロケ地である千葉県飯岡町は、今回の震災で津波の被害を受けたという。

     岩井俊二の作品は、好き嫌いが分かれる。岩井俊二好きを公言することは、男性としてはちょっとタブーのような気がしているのだが、この作品は主人公が小学生であることもあってか、わりとはばからず好きと言えるのではないだろうか?

     リリイ・シュシュのすべて、花とアリス、PICNIC、四月物語など、岩井俊二の映画では、よくヒロインの女性が雨や水に濡れるシーンが出てくる。岩井俊二の描く女性は、いつも清涼感があり爽やかで、雨や水に濡れるシーンは、そんな彼女たちの心の揺らぎを象徴的に切り取っているように見える。

     この映画でも、奥菜恵演じるナズナが、夜の学校のプールで服のまま水に入るシーンは、何度見ても、今見てもグッとくる。
     プールの中に潜っていたナズナが顔を上げ、自分の顔に水をかけ、じっとノリミチを見つめる。それまで彼女の身勝手な言動に振り回されていたノリミチは、そうして涙を拭く彼女の姿を見て、理由はわからぬとも彼女のもとに全速力で泳いでいく。これまで初恋相手としてどこか遠くから見ていた彼女が、一瞬にして身近になり、一目散に彼女に駆け寄る。この直線的なクロールがまず素晴らしい。そこに、REMEDIOS(麗美)のFOREVER FRIENDSが重なる。まさに「映画的な瞬間」を瑞々しく切り取ることに関して、この人は天才的だと思う。そして、彼女は「今度会えるのは2学期だね」と言い残して再び水の中を去っていく、ノリミチは胸につかえたモヤモヤを抱えながら、夜の夏祭りの雑踏を一人歩く。
     
     どことなく「銀河鉄道の夜」を彷彿とさせる物語。鑑賞後の、せつなさをはらんだ清涼感は、映画ならではの味わいだと強く思う。

    • kwosaさん
      gudonさん

      『桐島、部活やめるってよ』のレビューの素晴らしさに引きこまれ、ついつい本棚に長居をしてしまいました。
      短いレビューも長めの...
      gudonさん

      『桐島、部活やめるってよ』のレビューの素晴らしさに引きこまれ、ついつい本棚に長居をしてしまいました。
      短いレビューも長めのレビューも、どれも読み応えがあり大変面白く魅了されました。
      是非、フォローさせてください。

      『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 』は「if もしも」放映当時も頭一つ抜けていた印象があります。
      それより数年前の「世にも奇妙な物語」にて、ちはると豊川悦司出演の『ルナティック・ラブ』という一話がかなり異彩を放っていたのですが、あれも岩井俊二だったのではないでしょうか。
      ソフト化されているのか気になります。

      長文、失礼しました。では。
      2013/03/08
    • gudonさん
      kwosaさん

      コメントありがとうございました。
      ルナティック・ラブは岩井俊二映画祭でやっていた気がします。DVDにもなっているみたいなの...
      kwosaさん

      コメントありがとうございました。
      ルナティック・ラブは岩井俊二映画祭でやっていた気がします。DVDにもなっているみたいなので、見てみます。

      リフォローさせていただきました。ミステリーは未開拓分野です。今後ともよろしくお願いします。
      2013/03/08
  • ifでリアルタイムに観てから久しぶりの鑑賞。

    初めて観たのは小学6年。
    ちょうど物語の主人公達と同じ年齢で、どちらの選択をしても結局結末は変えれない(転校して離れ離れになる)ことに納得できなかったのを覚えてる。

    あれから20年。

    社会に出て、結婚して家庭を持って、多くの経験の中で、結局世界は自分の思い通りにならないことを学んだ今、傷つくことは少なくなったけれど、あの頃感じていたワクワクする気持ちはどこに置いてきたんだろう、なんて思いながら観ました。

    結局、花火はどこから観ても同じカタチだけれど、そこに疑問を持つ好奇心、行動する探究心の大切さを思い出させてくれる映画です。

  • 今さらだけど、やっぱり名篇。
    少年期のキラキラした純粋さを切り取って見せてくれる。
    明るく、切なく、胸が痛い。
    蝉の声。花火の音。BGM。映像も音響も完璧。

  • 『if もしも』でやってたのを再放送で観たときに気づかなかったこと。スラムダンクの最新刊やストリートファイター2や炭酸系飲料や夏休みのプール掃除が一緒になった夏はあの時代の僕らにしか体験できなかったということ。

  • 子供の純粋で敏感な心理描写が鮮やかだった。
    展開はあまりないけど、まとめ方が素敵。エクスタシー!

  • 田舎町の夏の花火大会に小学生のドラマが混ざって、なんとも言えず甘酸っぱい感じ。
    やっぱり岩井俊二監督の映画は好き。映像美と音楽の美しさに惹かれる。田舎の花火大会に行きたい!

  • 2011年4月現在ベスト映画。最後の花火が消えた後の喪失感たるや、なにものでも補えないです。おとなになるのは切ないすなあ。
    花火を見上げるマコトの表情がなにげにいい。

  • 2011.Jan.4

    モテキでのオマージュから観てみたら…何だこれ!すごくいい!

    少年たちの自然すぎる演技(どこまでが演技?というくらい)、奥菜恵のかわいさ、映像、細かいカット割とか専門的なところはよくわからないけど、観ていて飽きない。とにかく心の琴線に触れた、もといビヨンビヨンに振れた。

    後半のノリミチが勝ったパターンがノリミチの妄想だと考えると悲しいけど、もともとは「if-もしも-」というA編B編から成るパラレルワールドな企画だったということなので、そう考えておきます。

    この作品を観ると、山崎裕太も、奥菜恵もこの瞬間が一番輝いていたんじゃないかと思わせられる。岩井俊二、すごい。

    改めて、自分が自然な演技に価値を置いてるかというのも感じた。

  • 表面的に、ただ単純に面白い映画は腐るほどある。

    嬉しさ、哀しさ、もどかしさ、切なさ・・・
    こんな些細な瞬間を実に鮮明に描いている。

    奥菜恵がとてつもなく可愛い。

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