永遠と一日 [DVD]

監督 : テオ・アンゲロプロス 
出演 : ブルーノ・ガンツ  イザベル・ルノー  アキレアス・スケヴィス 
  • JVCエンタテインメント
4.10
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4975769225857

感想・レビュー・書評

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  • テオ・アンゲロプロス監督。
    カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞(そうだったんだ!)。
    DVDではなく運良く安価で手に入ったVHSで再見。
    ときどき頭の中で鳴り出す音楽があり、今まで何の曲だかわからなかったのだが、本作のテーマ曲だったと判明してスッキリした。

    20歳前後に観たときは本作の時間の流れがひどく遅く感じられたが、いまはちょうど良い。

    本作も『ユリシーズの瞳』と同様、旅がテーマ。
    詩人アレクサンドロス(ブルーノ・ガンツ)が、病にかかっているのか、明日は病院に行かなければならない。どうやら死期も迫っていそうだ。

    しかし彼はその前日、永遠によって守られたような長い長い旅に出る。それは時の旅でもあり、亡き妻や死者らしき人々も登場する。

    旅の同伴者は子ども。アルバニア系の移民の少年である。人身売買をなりわいとする男たちにさらわれた少年を、アレクサンドロスが助ける(なかば象徴的に!?)のだ。

    このコンビがなんとも良い。
    後半、2人が乗ったバスに、いろんな人々が乗ってくる幻想的で演劇的なシーンがある。

    自分の心の中にもこういう部屋がある気がして、それを目の前にしている気がして、なんだか切なくなった。
    子どもの頃に初めてアルルカンを見た時の、怖いような、惹きつけられるような、泣きたくなるような、よく分からない感情を思い出した。

    死出の旅にでようとしている詩人と、移民の少年の立場が逆転する。詩人は子どものようであり、少年は悟った顔でひどく落ち着いている。
    その先に希望があるかどうかは判然としないが、やがて少年が生きるために旅立つシーンがものすごくカタルシスだった。

  • 詩人の最後の一日。
    バスのシーンが素敵です。

  • 心に余裕があるときに観たかったかなあ
    白い夏の過去に冬の黒い恰好のまま入っていくのに違和感を感じてしまった

    雰囲気は好き
    アレクサンドレと少年の訥々とした会話が

  • 余命いくばくもないことを知り、旅に出る作家アレクサンデレ。難民の子どもを連れて旅路をたどる現在と、子ども時代や妻との思い出の間を、イメージは自在に行き来する。
    戦火によって故郷も家族も失った難民の子どもは、「どこにいてもよそもの」だと自分を感じ、ことばを「買い戻す」ときにしかホームを感じられない老作家自身の姿である。彼岸へ赴こうとする作家が、国境を越えようとする子どもと「こわい」という気持ちをうちあけあい、「いっしょにいてくれ」と懇願するシーン、ふたりが乗り込む真夜中のバスの旅の幻想的なうつくしさは胸をしめつける。「暗い、怖い」とふるえながら暗い国境をわたる難民たちは、私たち自身の姿なのだ。
    明日という時間は、永遠と一日。

  • 少年の屈託のない笑顔がいい。

    はっとするような、映像美にも出会える。暗闇を自転車で駆ける黄色いカッパの男3人、バスの中から暗闇の海に浮かぶ豪華客船。崖の上から白いハンカチで自分の存在を伝えるロングショット。すばらしいです。

    過去、現在、未来、現実、幻想が、アンゲロプロスにしてはわかりやすい。ヨリのショットも多くて、過去の作品より一般ウケしそう。。

    【ストーリー】
     北ギリシャの港町、テサロニキ。作家で詩人のアレクサンドレ・アレクサンドロス(ブルーノ・ガンツ)は不治の病を得て、入院を明日に控え、人生最後の一日を迎える。
     母の呼ぶ声を耳に3人の親友と島へと泳いだ少年の日の思い出の夢から覚めた彼は、3年前に先立たれた妻アンナ(イザベル・ルノー)が遺した手紙を託すため、娘カテリナ(イリス・ハジアントニウ)の元を訪ねる。手紙の1通は30年前の夏の一日、生まれたばかりの娘を囲んでの海辺の家での思い出をよみがえらせ、妻の深い愛情を改めて知らしめた。
     町に出た彼はアルバニア難民の少年(アキレアス・スケヴィス)と出会う。アレクサンドレは国境まで少年を送り帰そうとするが、彼は離れようとしない。
     河辺で少年に前世紀の詩人ソロモスの話をするアレクサンドレ。幻想のなかでかの人ソロモス(ファビリチィオ・ベンティヴォリオ)に出会うふたり。
     痛みをこらえながらアレクサンドレは少年と旅を続けるうち、さらに過去の記憶が甦る。
     夏、アンナをともない親戚らと島へ向かったこと、島に残る少年の日の思い出の崖。少年の仲間の死は病院で別れを告げた母(デスピナ・ベベデリ)を思い起こさせる。
     仲間と旅立つという少年とバスに揺られれば、さまざまな年代の人々が夢かうつつか乗り込んでくる。結局、少年は深夜、大きな船で去った。思い出のこもった海辺の家は解体される。病院行きをやめたアレクサンドレの耳に、亡き妻の声が響く。
     詩人の人生最後の一日の心の旅を重厚なタッチで描きだした映像叙情詩。監督・脚本は「ユリシーズの瞳」のギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス。脚本協力は「シテール島の船出」以来アンゲロプロスと組むイタリアの名脚本家トニーノ・グエッラ(「ノスタルジア」)と、ペトロス・マルカリス、ジョルジオ・シルヴァーニ。
     製作はアンゲロプロス、シルヴァーニ、エリック・ユーマン(「ユリシーズの瞳」、監督作『ジェマ港』)、アメデオ・パガーニ。撮影のヨルゴス・アルバニティス(冬のシーン撮影)とアンドレアス・シナノス(夏のシーン撮影)、音楽のエレニ・カラインドルーはアンゲロプロス作品の常連。美術はヨルゴス・パッツァス。編集はヤニス・ツィツォプロス。録音はニコス・パパディミトリウ。衣裳はヨルゴス・ジアカス、コスタス・ディミトリアディス。
     出演は「ベルリン 天使の詩」「星の王子さまを探して」のブルーノ・ガンツ、「恋する女」のイザベル・ルノー、実際にアルバニア難民の少年アキレアス・スケヴィス、『親和力』のファビリチィオ・ベンティヴォリオ、「狩人」のニコス・クロウスほか。98年カンヌ映画祭パルム・ドール(大賞)受賞。

  • ギリシャ、テサロニキなどを舞台とした作品です。

  • 死にたくなるような色の海に包まれて何もかもが哀しく美しい。
    必ずもう一度観たくなる映画。

  • カフェで鏡のなかに男の子が映っているシーンが、フェルメールの絵画のようで好き。ブラウンの、市松模様の床。
    白く烟った街に、黄色い服の男の子がぽつねんと立っている。その黄色がひどくやさしい。幼い子と老人という組み合わせは、見ていてあたたかい。
    「ベルリン・天使の詩」をもう一度観たくなった。

  • いいもの観た。
    きっと、またいつか観たくなると思った。
    おじさんが男の子に「一緒にいたい」と言うシーン、二人が嬉しそうにバスに乗るシーン、いろんなシーンが心に残る。

  • 心理描写に徹底した映像がどこか純文学的
    ただ私には難しかったかも

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