ひまわり デジタルリマスター版 [DVD]

監督 : ヴィットリオ・デ・シーカ 
出演 : ソフィア・ローレン  マルチェロ・マストロヤンニ 
  • 東北新社
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4933364710024

感想・レビュー・書評

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  • 1970年イタリア映画。
    戦争によって切り裂かれた男女の運命を壮大なスケールで描く感動作。

    ひまわり畑が印象的で音楽が悲しげだけど心に残る。
    愛一筋に夫の生存を願ってひたむきに探す妻の姿が素晴らしい。
    生きてさえいてくれれば…でも愛しているのに…複雑すぎる結末。
    戦争がもたらした悲劇…あまりにも残酷で悲しく切なすぎる。
    もし自分だったらとても耐えられない。
    古い映画だけど良い作品です。

  • ソフィア・ローレン、名前だけは知ってたけどキレイ。
    随所で流れるこの映画のメロディが泣けます。

    戦争に行って負傷して、別れた奥さんや恋人を残して介抱してくれた現地の女性と結婚してしまうっていうのはきっとありふれた現実だったと思う。

    再会してももう一緒にはなれない事実をお互いを責めたくてもどうしようもなくて、戦争を憎むしかないのがとても悔しい。

    何年も戦地に行った夫の帰りを待ち続けて、こういう結末だと本当に辛いです。むしろ戦死より残酷かもしれない。

  • I GIRASOLI
    1970年 イタリア+フランス+ソ連+アメリカ 107分
    監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
    出演:ソフィア・ローレン/マルチェロ・マストロヤンニ/リュドミラ・サヴェリーエワ
    http://himawari-2020.com/

    第二次大戦下のイタリア。海岸で恋に落ちた32歳のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)とナポリ娘のジョバンナ(ソフィア・ローレン)。しかしアントニオはもうすぐ兵役に行かねばならない。結婚すれば12日間の休暇がもらえるため、二人は結婚することに。しかしあっという間に幸福な新婚の数日は過ぎ、出征の日が近づくが、アントニオを兵役逃れさせるため二人は狂言芝居をする。しかし嘘がバレてしまい、アントニオは最も過酷なロシア戦線に送られることに。終戦しても戻らないアントニオをジョバンナは待ち続けていたが…。

    あまりにも有名すぎて筋書きも人口に膾炙しているため、すっかり見た気になっていた(もしかして何十年も前にテレビで見たかも程度の)名作を改めて。序盤からソフィア・ローレン演じるジョバンナの気性が見るからに激しく、あまりにヒステリックなのでちょっと怖い。帰らない恋人を健気に待ち続けた献身的なヒロイン…的な漠然としたイメージで見始めると、意外と引くレベル。アントニオも、兵役逃れのために結婚を決めたかのようだし、さらにやっぱり兵役逃れのために気が狂ったふりをするなど姑息で、二人がラブラブなことは伝わるが、正直彼らのしてることに心から共感はできない…。

    二人の結婚に反対していたアントニオの母親が、彼が帰還しないためジョバンナに会いにきて、ジョバンナも彼女を受け入れる場面あたりから、ジョバンナ結構良い子だなと思い始める。その気性の激しさゆえ、帰らないアントニオを一途に待ち続け、ついにロシアまで探しにいく行動力を発揮するくらいになってようやくジョバンナを好きになれた。

    ロシアからの帰還兵が戻ってくる列車を待つのが、彼らの身内だけではなく、行方知れずの身内の写真を持った家族らが大勢待っている場面は、戦後の悲劇を知る意味もあり印象に残った。ジョバンナもそうしてアントニオの写真を見せてまわり、一人の帰還兵の男から、最後に会ったアントニオの消息を聞くことができた。寒さと飢えで過酷なロシア戦線、雪の中を行軍するイタリア軍、ばたばたと倒れていく兵士たち。アントニオもついに歩けなくなり…。

    その話を聞いてもジョバンナはアントニオが生きていると信じ、ソ連へ向かう。言葉の通じない国で、アントニオの写真を見せてまわるジョバンナは、その途次で壮大なひまわり畑を見る。その下には、戦死した大勢のイタリア軍の兵士や捕虜らが眠っているという。諦めかけたジョバンナだが、あちこちで根気よく写真を見せてまわっていると、ある村で彼を知っている人々と出会い、家に案内してもらう。そこにいたのは若い女性と幼い子供…アントニオの新しい家族だった。

    その女性マーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)は、凍死しかけていたアントニオを見つけて助け、必死で看病したこと等をジョバンナに話す。そして工場で働いているアントニオが戻ってくる列車の駅のホームにジョバンナを連れていく。列車から降りてきたアントニオと見つめあうジョバンナ。しかしジョバンナは、ひとことも話さず、その列車に飛び乗って去る。

    自分の記憶では、映画はここで終わるようなイメージ(ジョバンナがアントニオの帰らない理由を知り、泣く泣くあきらめて去る)だったのだけど、実はこの後も結構続く。ミラノに戻ったジョバンナは、いろんな男性と遊んだり、お酒を飲んだりしてアントニオを忘れようとする。一方アントニオは、ジョバンナと再会したことで心が揺れ動き、マーシャや娘と引っ越しすることを決めても心ここにあらず。ついにイタリアへ、ジョバンナに会いに行くことを決意。マーシャは不安に思いながらも彼を送り出す。

    正直、このあたりからのアントニオの言動にはイライラしかなかった。彼はいったい何がしたかったのだろう?ジョバンナに会って言い訳?とにかく未練がましい。ジョバンナが自分を探して会いに来てくれたこと、ずっと自分を愛し続けてくれていたことを知って心が揺れるのはわかる。しかしではなぜそれまで手紙ひとつ寄越さなかったのか。一時的に記憶をなくしてたのって最初のうちだけで、ジョバンナに会うまで全部忘れてたわけではないようだし、自分の母親に生きていることを知らせることくらいはできたはず。

    案の定、ジョバンナに連絡してきて強引に会いに来て、彼が真っ先にしたのは言い訳。もちろん過酷な戦争中のこと、助けてくれた親切な女性と家庭を持ったところまでは仕方がない。ジョバンナもそう思ったから、ソ連まで探しに行きながらも黙って去った。それを未練がましく追いかけて戻ってきたアントニオは「全部捨てて二人で一緒にやりなおそう」と言う。おいおいふざけんな、ロシアに残してきた妻子は捨てて平気なのか。あの地獄のロシア戦線で自分は一度死んだ、とアントニオは言う。それはわかる。だから別人=むこうで妻子を持ったというのなら、もうジョバンナのところに戻ってこなければいいのに、今更本当に愛してるのはジョバンナで妻のことはなりゆき、愛してないみたいなこと言い出すのほんとどっちの女性にも不誠実でめちゃめちゃ腹が立った。

    嵐で停電したジョバンナの部屋で抱き合う二人、しかしそこで赤ん坊の泣き声がする。もちろんジョバンナの子供。彼女もまた新しく家庭を持っていたことがここで明かされる。子供の名前はアントニオ。自分の名前を…というアントニオにジョバンナは「聖アントニオからとったのよ」と突き放す。なんかね、アントニオは結局さ、「自分は新しい女と結婚しても、別れた女は今も自分を好きでいてほしい」的な都合の良い幻想を抱いてただけだと思うんですよね。確かにジョバンナはずっとアントニオを想っていたかもしれないけど、そこにつけこんで都合のいい女扱いするのは男の身勝手。妻に飽きたら元カノと、なんて都合よすぎる。もちろんジョバンナは、アントニオに心を残しつつも、彼とやり直すことはできないとはっきり言う。男はようやく諦めてソ連に帰る。

    あまりにもアントニオにむかつきすぎて、ジョバンナの心情は思いやりつつも、個人的には全く泣けず…。もちろん、戦争さえなければ二人がこんなことにならなかった、という部分では悲劇の恋人たちで、桜の木の下ならぬひまわりの咲き乱れる丘の下には死体が埋まっているとわかる場面の美しさ、反戦テーマとしてはとても良かったと思う。でも一人の男としてアントニオの言動は最悪。二人を引き裂いたのは戦争だけでなく、アントニオの優柔不断とどこまでも利己的な性格にも原因があると思うよ。音楽は良かったです。

    • 淳水堂さん
      こんにちは。

      >二人を引き裂いたのは戦争だけでなく、アントニオの優柔不断とどこまでも利己的な性格

      この感想の男女逆で感じたのが「...
      こんにちは。

      >二人を引き裂いたのは戦争だけでなく、アントニオの優柔不断とどこまでも利己的な性格

      この感想の男女逆で感じたのが「シェルブールの雨傘」でした。二人を引き裂いたのは戦争ではなく…
      2021/04/09
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは!

      「シェルブールの雨傘」、確かに!

      随分昔に見たのでちょっと記憶が怪しいですが、あれは女性のほうがちゃ...
      淳水堂さん、こんにちは!

      「シェルブールの雨傘」、確かに!

      随分昔に見たのでちょっと記憶が怪しいですが、あれは女性のほうがちゃんと彼を信じで待ってれば良かったのに…!という感じでしたよね。

      昔の名作映画って、美男美女が出ていて音楽が良くて映像が美しくて…という部分では満足ながら、心情としては現代からみるとツッコミどころ満載で共感できないことが多々ある気がします(^_^;)
      2021/04/10
  • とにかく情感豊かな作品だ。
    幸せに結婚生活を堪能する姿、戦争で行方不明になった夫を諦めずに捜索する姿、ようやく夫を見つけたものの記憶喪失により図らずも裏切られる形となった姿、そして、記憶を取り戻した夫の誘惑を苦難の末に拒む姿。
    どの場面を切り抜いても喜怒哀楽がとてもはっきりしていて、心を打つ。テーマ曲も哀愁を引き立たせて印象に残る。

  • 何がいけなかったのか
    何に許しを請えばいいのか
    何を愛すべきだったのか
    何を恨めばいいのか



    心の中がモヤモヤで埋め尽くされていく。

    みんなが心のどこかで分かっていて、でも認めたくない事実、それを認めたら自分の存在が消えてしまいそうになることを見せつけられた気分。

    出会いは、誰か他の人とでもありえた出会い。
    いくつもの偶然が重なって今が作られる。でも偶然はいくら層を重ねても必然にはならない。

    頭では分かっているはずなのに、どうして恋愛ではうまく心を割りきれないのだろう。

    主人公の女性の重いカバンは彼女だけが抱えている"必然"の歴史に思えた。

    この映画には「すべき」がない。後に残されるのは、映画を観ている「私」だけ。それだけにモヤモヤが募るのだ。

    映画好きな人に自信を持って薦められる、素晴らしい映画。

  • 戦争が生んだ悲劇をヘンリー・マンシーニの名曲にのせて物語る。 ひまわりと言うとこの物語とメロディーを思い出すぐらい私にとっての衝撃作。 

  • 時は第二次世界大戦期のイタリア。燃えるような恋に落ちたジョバンナとアントニオだったが、結婚して間もなくアントニオは戦争へ行ってしまう。
    帰ってこないアントニオを探し続けるジョバンナは、夫を探し独りロシアへ行く・・・。


    戦争によって引き裂かれた男女。
    世界中にジョバンナとアントニオがいたはずである。
    この映画には、戦地の様子も、敵も見方も描かれていないが、どんなに悲惨な記録映画よりも、戦争の悲惨さと虚しさを訴えかけてくる。

    画面いっぱいに咲き誇るひまわりと、真夏のイタリアの青空が哀しい。

  • 「映画は女優がきれいに映っていればよい」
    主演のソフィア・ローレンが、本当に魅力的。強さと可愛らしさが共存している女性を演じている。
    当時は戦争によって引き裂かれた愛は山のようにあって、戦争が身近にあった世代にはもっとささったんだろうな。
    隣に戦争があったから、よりリアルに観客の心に届いた。
    自分の身にも起こりうる、あるいは既に起こったことのように感じられる。

    年月の残酷さと、それでも生きていく人間の強さってのが一番思ったことかな。
    coccoの「強く儚いものたち」を思い浮かべた。

  • 嫁さんがレンタルしていた「ひまわり(原題:I GIRASOLI)/1970」を嫁さんと一緒に観ました。

    -----story-------------
    ナポリの女性「ジョヴァンナ」は、ソ連の戦線に送られて以来、戦後も行方不明になった夫「アントニオ」を探すことを決心する。
    だが、探し当てた夫は、シベリアの娘と幸せな結婚をしていた……。
    戦争によって引き裂かれた夫婦の悲劇を描いたメロドラマ。
    「H・マンシーニ」のメロディが涙を誘う。
    -----------------------

    久しぶりに観ましたが、テーマソングを聴くだけで、哀しく切なくなってきますね。


    ロシアに渡り、ようやく夫を探し当てたと思ったら、そこには幸せそうに暮らす可愛い妻子がいた… その光景を目にして列車に飛び乗り号泣する「ジョヴァンナ」、、、

    このシーンは何度観ても泣けてしまいます。


    そして、ラストシーンで、列車に乗る「アントニオ」をプラットホームから見送る「ソフィア・ローレン」。

    ここも哀しい。


    この二つの列車が発車するシーンと、オープニング&エンディングの広大なひまわり畑が映像的には印象に残っています。


    気丈な女「ジョヴァンナ」を演じる「ソフィア・ローレン」、

    優柔不断(戦争という不幸な背景がありますが… )な男「アントニオ」を演じる「マルチェロ・マストロヤンニ 」、

    純朴で可憐なロシア(ウクライナ)での妻を演じる「リュドミラ・サベリーエワ」、

    配役も、これ以上ない… ってくらいぴったりですね。



    「ヘンリー・マンシーニ」の音楽は、映画を観終わったあとも当分頭の中でグルグルとリピートされている感じ。

    秀逸です。



    トータル的にクオリティの高い作品だと思います。

    時々観たくなる大好きな作品ですね。


    --------------------------
    監督: ヴィットリオ・デ・シーカ
    製作: ヴィットリオ・デ・シーカ
        カルロ・ポンティ
    脚本: チェザーレ・ザヴァッティーニ
        トニーノ・グエッラ
        ゲオルギ・ムディバニ
    撮影: ジュゼッペ・ロトゥンノ
    音楽: ヘンリー・マンシーニ
    出演:
    ソフィア・ローレン
    マルチェロ・マストロヤンニ
    リュドミラ・サベリーエワ
    アンナ・カレナ

  • ずっとラッタッタで翔んでるキレイなお姉さんのイメージだった。「ひまわり」は名作だというのも知っていたが20歳すぎまで見る機会がなかった。そして・・
    男友達の下宿のマンションの一室、汚い顔した二人の男が互いに顔をそむけて泣いていた。はずかしい・・
    男も女もそしてもちろん男を助けた女も誰も悪くない。ただ戦争がいけないだけ、でも戦争で知り合えたふたりでもある。やるせない。
    今でも、頭の中で「タララーラタンタタン♪♪・・」と流れるだけで、目の表面の湿度が高くなる。市役所のエライさんになったアイツは当時の事覚えているだろうか。また二人で泣きたい。

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